
【こばなし】 シリア内戦
シリア内戦がついに終わりましたね。わたしの物心ついた頃にはすでに独裁政権が樹立し、ずっと内戦状態が続いていたので、「シリア内戦終結」を聞いた時は本当に驚きました。
アラブの春として始まった民主化運動反対し、市民を抑圧してきたアサド政権がついに反政府組織に倒されたそうです。当のアサドはロシアのモスクワに亡命中。政府側の中心人物がいなくなったことで、内戦は終結し、国内に存在する複数の武力勢力もお互いに争わないことを約束ました。
また、独裁政権が倒れたことでアサド政権下で民主化を支持していた市民たちがどのように扱われているのか、どのような悲惨な状態であったのかが一気に明らかになりました。特に絶滅収容所と説明されているサイドナヤ刑務所での、ジェノサイドに世界が注目しています。まだ小さな子供まで収容されていたこの絶滅収容所では、「殺害」を目的とした拷問が行われていたそうです。つまり、自白を要求するわけでもなくただただ人間を痛めつけるためだけの場所でした。
この刑務所のことをある人がTwitterで、『ナチス支配下の近代的なアウシュビッツ収容所』と表現していて、、、悲惨という言葉では表せないほどでした。(詳しくは描かないので気になる方は調べてみてください)また今だに地下3階に広がる秘密監房の入り口を発見できておらず、地下に空気を送るための装置が壊れてしまったため、一刻も早く地下にいる人を救出しなければいけない、予断の許さない状況です。
わたしがシリア内戦終結を知ったのは、元シリア難民の友人からのメッセージでした。
「シリア内戦がおわった」
「本当に嬉しくて泣き続けている」
「もう2度と帰ることができないと思っていた故郷を今度の休みに訪ねる」
このような言葉にわたしも感無量でした。彼が難民としてオランダに辿り着くまでの話や、トルコやオランダで難民として生きてきた経験も聞いていたので、本当に本当にもう一度国に行けるようになって良かったと思いました。
シリア内戦終結を聞いてすぐに思い浮かんだのは、きっとわたしにとっては韓国が統一を果たしたみたいな感じなんだろうなということでした。韓国にルーツを持つわたしは、祖国に帰れなくなった人々の苦しいまでの切ない気持ちを少しは理解しているつもりです。自分が生まれ育ち大事なものが全てある場所を捨てて、命を守るためだけに必死で違う国を目指すつらさも。祖国の、同じ国の住人であるはずの人々が互いに殺し合い、憎しみ合うことの悲しみも。
だから本当にシリア内戦が終わり、友人が国に帰れるようになってよかった。わたしには直接的には関係がないことなのに泣きそうになるほどには嬉しかったです。
日本やオランダなどの平和な国で暮らしていると、どうしても今この瞬間にも叫び出したいほど苦しんでいる人がいることに鈍感になってしまいます。内戦が起こるとはどういう状況なのか。祖国に帰らないとはどういうことなのか。右傾化がすすみ、移民や難民に厳しい世界となりつつある国際社会で、できることはなんなのか。オランダにいる今、地続きに存在するシリアがとても近い国のように思えて、そんな近くであまりにも非道なことが行われていたことが末恐ろしいです。きっと私たちにできることは関心を持ち続けること。これからのシリアがどうなっていくのか、みんなで行方を見守っていきましょう。
長々とわたしの若干ポエミーなnoteにお付き合いいただきありがとうございました。