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ブルーオーシャンに飛び込んだ日

1999年、起業に至った「きっかけ」は、"自分のやりたいこと" ができる会社がなかったから。

カッコよく言うと、そんな感じ。

ノストラダムスが1999年7月に「世界は滅亡する」と言ったから焦っていたわけではない。

「会社辞めてきちゃった」

 そう妻に話した。

明日の保証など何もないのに、だ。

 ただ、会社を辞めてでもやりたかったことがあった。

それは、日本市場に進出している、もしくはこれから日本に来るアジア、主に台湾の会社にデザインとプロデュースを採用してもらうことだった。

台湾の企業と仕事をすれば、更にその先のアジアに行くことも出来ると確信していた。

当時、日本に進出していた台湾企業のパッケージや印刷物は、原産国に適切な日本語フォントが無かっただけでなく、失礼ながら「はい、安かろう悪かろうの商品だよー」感が満載。

体裁を気にする日本のマーケットで販売するには少々厳しい。

そこに自分のサービスを提供すれば、せっかくの進出に活路を見出す手助けができると、そう考えたのだ。

そのビジネスアイデアは、楽器メーカーで13年、アメリカとの仕事を経験したことで英語でのコミュニケーションに自信があった私の、「最初のブルーオーシャン」だった。

 妻の「面白そうだから会社つくっちゃえば」の一言で、こともあろうに " 株式会社 " を設立した。

なぜ株式会社にしたかって?

真面目に答えると、取引先候補のひとつが「法人」であることを条件に、取引に応じると言ったのが大きな理由。

当時は「有限会社」という選択肢もあったのだが  "どうせなら " という意味の分からない理由で株式会社にしようと考えたため、自分で自分の首を絞めるようなことにもなった。


何せ、現金で最低1000万円なければ「株式会社」を設立することができなかった時代。しかも、6ヶ月間も口座に留保したままにしなければならないというルールがあったので、別に運転資金も用意しなければならなかったのだ。

今考えても " 無謀 " だ。

 昨日まで、普通に会社に行っていた「普通の勤め人」だった私が出来ることといえば、「どうしたらお客様が喜んでくれるか」考えることだけ。


  1999年 (平成11年 ) 8月5日、設立日はこの日とした。 
一体、この先自分の人生がどうなるのかなんて、想像もしていなかった。

ただ、全身全霊ひとつひとつの仕事に愛を。お客様に成功を。
これだけしか考えていなかった。

 では、一体どこがブルーオーシャンだったのか・・・

 

◎ コミュニケーションは英語

これだけでもライバルは減る。

台湾とは言え、日本語が堪能なクライアントばかりではないので「英語OK」は、先方の安心材料となったようだ。

勤めていた会社が私の新規事業のアイデアに対し、首を縦に振らなかったのもこれが理由だった。

「一体誰が英語を喋るんだ?」
・・・売上上げろって言ったの誰だよ。

 

◎ デザインと製造、デジタル化 ( WEB媒体利用など ) をワンストップで受注

お客様にとって、外注先を一元化することは充分な業務省力になる。

アナログとデジタルは当時、分野が分かれていたため一元化できる会社も少なかった。工場を持たないファブレス ( fabless ) 経営の基本は、製造のアウトソーシング化 ( outsourcing ) だ。

通常、データのみを提供するデザイン会社に工場はいらない。しかし、窓口となってすべての生産管理もサービスとして提案すれば、確実にお客様のためになる。

このような考え方をしているデザイン会社は、当時ほとんど無かった。
いや、わざわざ新しい事をしなくても仕事がまわっていたのだ。

他にも理由はある。
生産した製品 ( 印刷物やパッケージ ) に責任を負いたくないというのが理由だ。
リスク回避は、提携工場と契約時に取り決めれば問題ないのだが、その役割を担う人事的システムが無かったのだろうと推測する。

しかしながら、先方の業務省力を考えた提案は、当時充分にブルーオーシャンだった。とりわけ海外から参入したての企業には、メリットを感じていただけたはずだ。

 

◎ 一元化によるコストダウンの提案

すべてをお任せいただければ、当然利益率を下げることが可能。いわゆるボリュームディスカウントである。全体を受注することでコスト削減の提案をすることは容易となる。 

今となってはやはり古さは否めないが、当時はかなり先進的だったのだ。

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最初のクライアントはASUS だった。パッケージや印刷物など、ブランディングの一端を担わせて頂いた。 

 

では一体何のためにブルーオーシャンに飛び込むのだ?
もちろんそうしなければならない事情があるからだ。

 

それはまた次の機会に。

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