第11話:夏の猛特訓(絵画制作・集団行動編)
この話は、行き当たりばったりで小学校受験をする事になり、バタバタ受験をした結果無事私立小学校に合格するまでの受験反省ストーリーです。前回の話はこちらから:
今回も夏休み中に行った特訓についての内容である。引き続き、受験レベルを引き上げるべく家庭で練習をしていた我が家だが・・
絵画の特訓での迷走
絵画に関しては色々と迷走した。娘は元々絵が好きで得意な方だったのだが、お教室でいわゆる「受験的お絵かき」を教わってから、なかなかそのとおりに描けず苦しんでいたように思う。家でも一応フォローしたが、そのまま縮こまってしまっていった。
受験用のお絵かきでは、「人の輪郭をまんまるく描いた時点でアウトだよ」などの極端な噂を聞いていたが、意外にもお教室で教えてくれていた事は普通だった。ただ、もともと好きに描いていた娘が、途中から教わった方法で描こうとしてもうまく切り替えられず、絵は縮こまっていってしまった。このままではイカンと思い、一旦お教室で習った手法からは離れる決断をし、家で独自の絵画特訓をすることにした。
まずは、とにかく細かい所に着目して描く練習をした。植物であれば茎の太さ、葉の形、色が変化する位置など。動物であれば目の位置、手足の形、指の本数、特徴的な機能などである。どんな生き物も、その形状である事を説明できる、いわば遺伝的な理由があるので、豆知識もはさみながら絵を練習していった。
観察力がつけば絵は上手くなるし、絵を説明する時にも役に立つだろう、と思ったのだが・・・枚数を重ねてもただ言われるがままに描く状態から進化せず、娘に観察力はつかないまま、ただ時が過ぎていった。(準備期間が短すぎたせいもあるとは思う)
・・・しかも、何枚も描いた所で、それぞれの絵を正確に覚えられる訳がなく、むしろ種類が増えるたびに記憶がごちゃまぜになっていってしまった。
その次に試したのが、好きな動物を2、3匹決めて、それだけを練習する方法だ。さすがに同じ動物を何回も描くとスラスラと描けるし、細かい所も自分で説明できるまで詳しくなる。お題はたいていの場合、ざっくりとした範囲でしか出されないので、どうにか得意な絵に持ち込めば通用しそうだと思ったのだ。たしかにこれらの動物に関しては、絵が劇的に上達したし、説明も上手にできるようになった。
・・・しかし、ここにきて根本的な事が気になってきた。
練習すればするほど、試験管は果たして凄い絵を見たくてお題を出すのか、という疑問が湧いてきたため、更に練習の方針を変えることにした。
どんな絵を描くか、より「なぜ」それを描くか
絵画は、必ずお題に沿った絵を描き、試験官が質問をしてくる。実は、美しい絵を描くよりもここでちゃんと質問に答えられる事の方が大事なのでは??と思うに至ったのだ。
試験でのお題に対してどう考えて何を描くのか、その思考過程そのものが重要なのではないかと思い始めたのだった。「◯◯だと思ったから◯◯を描いた」という納得できる理由付け(その上で意外性があれば更によし)を説明できると良いのでは、と考えるようになった。いわば、小学校受験の絵画はパワポ作りと一緒であって、パワポ自体を綺麗にするよりも、内容づくりやプレゼン能力自体をブラッシュアップした方が良いと踏んだのだ。
というわけで、家ではお題を決め、時間を決め、絵を描くようにした。絵が描けたら、その絵について質問をいくつかした。その時に「どうしてそれを描こうと思ったか」「どこを工夫したか」を必ず聞くようにした。(もはや絵のスキルは全く気にしない事にした。)
最初は理由付けも何もできないのだが、毎回質問を繰り返す事によって、「まず何を描くかじっくり考える」「工夫するポイントを意識する」という訓練にはなった気がする。この「理由付け」とプレゼンの練習は、本番も無事、役に立ったのでやっておいてよかった事の一つだ。
制作の特訓
もともと放っておいても工作をするような娘であったが、この期間はあえて「お題」を出し、制限時間を設けて制作するようにした。終えてからはプレゼンのような事をしてもらい、私からもいくつか質問をするようにした。好きな事に関しては饒舌になるため、娘は工作のプレゼンの腕をメキメキと上げていった。
ペーパーの特訓
ペーパーの特訓は特別な事をしたわけではないが、お教室でもらったペーパーはちゃんとやる事にした。(←今さらか)選抜クラスからも志望校別クラスからもペーパーは出されるので、正直ものすごい量であったが、夏休みの間は時間も膨大にあるので、頑張れる範囲ではあった。
ところで、夏期講習でハキハキ先生に勧められた知識講座だが、本当にこのおかげでペーパーの点数がギュン!と上がった。いかに「知らない」だけで落としていた問題が多かったのかを思い知った。
集団行動の特訓
集団行動ばかりは、家では鍛える事ができない。家でいくら模範的な行動を教えた所で、子供は子供とつるんだ瞬間、教えられた事を100%忘れるからだ。
お教室では「発言しない子がいたら、意見を聞いてみいよう」「積極的に発言して」「お友達の話はちゃんと聞こう」「お友達の番では応援しよう」など色々都度「こうした方がいい」というポイントの知識はもらうのだが・・・・誰も作られた優しさなど求めてはいないだろう。我が子も人間、相手も人間。いくら練習した所で当日の組み合わせによって何が起きるかわからない。それだったら、誰とでも仲良く遊べれば万事解決なので、公園につれていくのがベストだと思った。
娘は友達と遊ぶことに関してだけは才能(?)があったので、もうとにかく公園に行きまくった。その日会った子と遊ぶ娘をひたすら眺めつつ、気づく事があれば少しだけ口を挟むようにした。特訓という特訓ではないが、遊んだ帰りには必ず「誰でもすぐ友達になれてすごいね〜」と半ば暗示のように毎度褒めていたのは覚えている。(長所を自覚させて自信をつけるのもまた大事である)
実際に本番はどうだったのか
実際にこの中で役に立った特訓は2つであった。
1つは、「質問に答える練習」。案の定本番では絵画や制作があり、試験管からの質問に答える場面があったのだが、かなり筋の通った答えを返すことができた。しかし一方で、この練習の成果を発揮できない学校もあった。(※後術参照)
2つ目は、「集団行動」だ。実は受験した学校の中ではいわゆるわかりやすい「集団行動」の時間は無かったのだが、それでもグループに別れてレースする、などの場面で大いに活躍できたようだった。
逆に役に立たなかった特訓は、ペーパーの知識増やしであったwたしかに模試には役立ったが、本番には全く役にたたなかった。学校が事前に「お教室漬けにならないように」と説明会でも言っていただけあって、知っている/知っていないだけで合否をわけるような事はしなかった。(でもペーパー自体はやるんだ、ふ〜んへ〜えと疑問は残るが・・・)
無事、夏の特訓も終えたところで、次回に続く!
さてさて2回に渡ってしまいましたが、以上が我が家の夏の特訓内容でした。
幼稚園の夏休みはひたすら長く、7月中旬から9月上旬、約2ヶ月もあります。1日にすべて行っていたわけではなく、やる日もあればやらない日もあったのですが、コツコツ2ヶ月間、できる時にやるだけでも、結構変化があったのではないかな、と今では思います。
特訓すればするほど、何のためにぃぃー!(怒)という声が頭の中で止まらなかった記憶があります。特訓するにしてもできるだけ人生の無駄にならない特訓になるよう、心がけていました:
運動は、体幹。
絵画・制作は、論理思考とプレゼン能力。
集団行動は、社交性。
プリントは・・・・いや無駄かもしれない、やはり理解できません(笑)学校関係者の人、誰か教えてくださいw
そしてやはり「受験に支配されている生活」がどうしても嫌だったので、受験対策をしていない時は全力で遊んでいました。イベントに参加したり、お祭りに行ったり、友人とキャンプに行ったり、キャンプに行ったり、キャンプに行ったり・・・。
何をしていても私の頭の中はゴリゴリ受験一色だったのですが、おそらく他人から見れば普通に遊び呆けている感じになっていたかな、と思います。
それにしても、サラッと書いた「集団行動」ですが・・・これに関しては我が家はかなりラッキーだったのではないかな、と思います。他の項目に関しては家で特訓することができるものの、集団行動だけは家で特訓することができません。しかも、友達といざ遊ぶことになると指導なんてもっての他じゃないですか。友達と遊ぶ子が好きな子もいれば、一人で黙々と遊ぶのが好きなタイプのいますよね(むしろ邪魔されたくない)。
よく一人で遊ぶのが好きなタイプの子の親御さん達が頭を抱えて悩んでいたのを覚えています。当時はあまり深く考えていませんでしたが、今思えばたしかに悩むかもしれない。。!でも、蓋を開けてみればみんながみんな社交的な訳ではなく、内気な子もいれば社交的な子もいたので、少なくとも社交的なことが絶対条件ではないのかな、とは思います。
絵画・制作に関しては、制作物そのものよりプレゼン能力を磨く事にしました。・・・が、これには結構苦戦しました。というのも、こどもに「なぜ?」と聞いても大抵理由なんてありません。「なんとなく」です。「なんとなく」の次は「かわいいから」などの浅い理由です。子供ですから。。
正直、思考をはさむ余地がある問題と、思いついたままにしか描けない問題があったので、特訓した所でこのプレゼン能力が発揮されるかは懸けでした。本番ではやはり考える事ができた問題と、そうはいかなかった問題がありました。
能力が発揮できなかった学校では、無防備にうさちゃん♪やワンちゃん♪を描いてきて、うまく説明できずあえなく撃沈しましたが、逆に能力が発揮できた学校では大人でも「なるほどね!」と思えるような理由を言えました。もうこればっかしは運だったな、と思います。
もしもう一度受験するとしたら、絵や制作物について説明する時、質問の様子を録画して、子供とそれを一緒に見ると良いかな、と思います。一緒に見て、本人にどう思うかコメントをもらうと客観性が養われるし、自分も直接言わないで済む=ヒートアップせずに済むので良いかなと思います。
いかにヒートアップせずにいられるか、というのは当時も今も、最重要事項ですね・・・。
穏やかな人間に生まれたい人生だった!
それではまた次回!
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