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第12話:そして迎えた秋。本番は近…い?

この話は、行き当たりばったりで小学校受験をする事になり、バタバタ受験をした結果無事私立小学校に合格するまでの受験反省ストーリーです。前回の話はこちらから:

模試の点数が上がった!?

夏の半分ほどを夏期講習に費やし、家庭でも着々と特訓を積んだ夏休み。はたから見れば遊び呆けていたような感じだが、しっかり(ムッツリと)対策を進めていた。そんな中、引き続き開催されていた月々の模試に変化が訪れた。

点数が爆上がりしたのだ。

練習の成果が!!!・・・・と思いたい所だが、実はこれには訳がある。以前にも書いたが、小学校受験はとにかく本番のメンタルが全てに影響する。試験の時にいかに自信を持っているか、ということが最重要事項であるため、夏以降はお教室側もメンタル強化の時期へと移行しているのだ。すなわち、模試が簡単になっている。今まで60点台、70点台しかとれなかった子もあら不思議、夏以降は80点台を量産するようになる。子どもも親も大喜びである(笑)。

授業のプリントも、夏以降は急にスラスラ解けるようになってくる。事情を知る親から見れば「おいおい露骨すぎやしないかw」と思ってしまうが、当の子どもは無双感を感じており、相乗効果で他の能力も上がっているので、どうやら効果的らしい。

テストが簡単になっただけ、という事はつまり偏差値はそのままなのか、という点を見ると、いや偏差値も上がっている。これは、いわゆる「記念受験組」「国立だけ受けたいがお教室は通わない組」が夏の模試に大量参戦してきたため、比較的低得点の層が急激に増えているためである。点数も上がり、偏差値も上がる。悪い気はしないが本質的にレベルアップしたのかどうかが実感できずモヤモヤな気持ちのままの親…。

複数の模試を受ける家庭も

時期的には説明会に出席したり、願書を取り寄せたりと、そろそろ本番が見えてくる。手応えのありすぎる模試を手に、逆に本当にこれで大丈夫なのか?という不安が湧き上がってくるのもこの時期である。

今までは同じ種類の模試しか受けた事がなかったので、そういえば別の所が開催している模試も受けてみたい!と思い立った・・・が、時既に遅し。同じ事を考える家庭が多いのか、既に模試への申込みは満席になっており、我が家は他社の模試を受けることなく本番を迎える事になった。もし何種類かの模試で腕試しをしたい、という家庭は夏頃には他社の模試も調べてみる事をおすすめする。

怒涛の願書提出期間

夏の終りは願書作成真っ只中の期間でもある。たった1行程度の志望理由で済む学校もあれば、本を読んだ上で1面ビッシリ志望理由を書かなければ、という某有名校もある。しかも、一字たりとも間違えてはいけない、という日本の謎風習。(就活の時も思ったが、帰国である自分には理解できない風習である。)

願書を取り寄せる時は2部、3部購入し(パンフレット等もろもろついてくるから資源の無駄感半端ない)、間違っても大丈夫なように備える。夜な夜な子どもが寝静まった後に闘魂注入し、手の感覚がなくなるまで書き続ける日々が続く。(誰か、資源と時間と労力の無駄を省くために『修正ペン可。合否には影響致しません。』と書いてくれッ・・・!いやもうむしろweb提出ONLYにしてほしい。)

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お教室では希望すれば願書を先生に見てもらい、添削をお願いできる。我が家も例にもれずお願いしたのだが、ハキハキ先生から真っ直ぐな目で「お母さん、字と字は等間隔に書いて、下の線からははみ出さないと綺麗に見えますよ」と案に字の汚さを指摘していただいたのは今でも忘れない(笑)。達筆ライター(?)に清書をお願いしようかと思ったが内容が個人情報まみれなので依頼する気になれず、諦めた。

ちなみに、願書を受け取りに行く際には、可能な時は娘と一緒に取りに行った。駅から学校までの道のりを子どもを歩いてみると、気づける事は多い。子ども自身のモチベーションにもつながる事もあり、運が良ければ在校生の雰囲気も肌で感じる事ができる。

ウィルスや菌に異常に敏感になる期間

本番が近づくと大切なのはもちろんメンタルだけではない。メンタルよりも何よりも、実は一番大切なのが体調管理だ。鼻がたれているだけでも子どもの集中力は半減するし、インフルにでもかかろうものなら一発アウトである。受験することさえ敵わない。

9月〜年末までは何がなんでも風邪をひけない期間がやってくるのだが、奇しくもインフルエンザ流行期間とドンかぶりなのである。予防接種はもちろんのこと、手洗いうがいの徹底や、「◯◯を毎日飲んでおくとインフルエンザにかかりにくい」などの民間療法にもすがる。我が家もこの時期予防接種はもちろんのこと、毎日R-1を飲み続けたのも良い思い出である。本人に緊張感がない分、親がひたすら目を光らせて除菌しまくる。

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・・・と、受験組は細心の注意をはらっている時期だが、幼稚園全体がそうかというと、そうでもない。受験をしない子もいれば、鼻をたらしたまま登園してくる年少さん、年中さんもたくさんいるのである。秋の芋掘り遠足や運動会も、ちょうどこの頃だ。バスでの長時間の密室や密接を伴う遠足・・・恐ろしすぎる。中には、遠足を休む事はもちろん、受験期間の1ヶ月ほど前からずっと園を休み続ける家庭も中にはいる。

我が家はこれまた、意地で全て出席した・・・が、正直めちゃくちゃ心臓に悪かった。内心、頼む!!!!と祈るような気持ちで登園していたのを覚えている。放課後にべったり遊んでいた子が次の日インフルにかかったと聞いた時は流石に覚悟を決めたが、なんと娘はその時も無事であった。娘の強靭さには感謝しかない。

10月に入り、突然終了するお教室

夏の終わりから本格的に秋に移行するころ、教室はいきなり最終回を迎える。いわゆる有名校が10月に軒並み試験日を迎えるので、その前にお教室は終了してしまうのだ。東京都の学校の試験日は11月からなので、11月から試験を受ける組は1ヶ月、国立組は2ヶ月もの間、放置されてしまう。

お教室が終わったあとは子どもの緊張の糸が切れがちなので、家庭で試験に向けてのモチベーションを保っておく事が重要である。

大手であれば、まだ試験を迎えていない「◯◯校対策」を実施してくれる所があるので、そういった単発の授業を履修しながら緊張の糸をつなぐと良い。どこまで直前の授業を履修するかは、子どもに合わせながら判断できるとベストだ。娘は身体が疲れていると集中力散漫になるタイプだったので、試験日直前に開催される「直前講座」などは履修せずにのんびり過ごした。

合格し始めるクラスメート達

学校によって試験日程は異なる。10月終わりにもなると、かなりの数、受験を終えた家庭が出てくる。我が家は東京都と国立狙いだったのでそもそもスタートが11月だったのだが、早くも受験から開放されていた家庭がものすごく羨ましかった。

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なかなか受験真っ只中の人に話しかけるのには神経を使うが、誰が受験を終えているかは、表情を見れば一発でわかる。もう、幸福感と安堵感と達成感やらもろもろで、めちゃくちゃ輝いているのだ。表情は柔らかく、服もカジュアルダウンし、髪だってツヤツヤだ(美容院に行ける)。受験の終わりを迎えた人同士のキャッキャしたサイドに早く参入したかったのを今でも覚えている。

本命校以外の「合格」の扱い

そんな状況の中、本命校に向けてモチベーションを維持しなければならないのだが、これが実に難しい。というのも、用意しすぎても、しなさすぎてもいけないのだ。2つ例を紹介しよう。

Aちゃんは、11月に行われる試験が本命であったが、練習も兼ねて、8月頃から色々な県の私立小を受けていた。無事合格をもらい続けていたのだが、数を重ねすぎて11月の本命試験を迎える頃には疲れてしまった。また、今まで合格をもらい続けた事もあり「どうせ合格できる」と思ってしまったらしく、本番は気の抜けた態度になってしまった、と親御さんが嘆いていた。(それが原因で不合格だったのかは神のみぞ知る。)

Bくんは、12月に行われる国立の試験が本番であった。しかし10月に入った途端お教室が終了してしまったので。2ヶ月もの間、期間が空いてしまった。その間、なあなあで過ごしていたのだが、12月の試験を迎えた時にはペーパーの知識は飛んでしまっており、体操の機敏さも失われてしまっていた、と親御さんが嘆いていた。(これまた、原因がこれかは不明。)

・・・と以上、お受験幼稚園にいると「お兄ちゃんお姉ちゃんの失敗談」などをたくさん聞くことができる。家庭によっては、合格したと聞くと「もうやらなくていい」と気が抜けてしまうので、本命校を受けるまでは合格を隠し続ける、という家庭もいた。逆に、元々自信の無い子の場合は「合格したよ!」と伝える事により自信がつき、自信みなぎる状態で本命校に挑める子もいる。つまりはモチベーション維持の方法は子どもによるのだ。

合格と聞いて自信をつけて次はもっと頑張れる子なのか、はたまた緊張の糸が切れてしまうタイプなのか、見極めつつうまく情報開示をする必要がある。受験期間が長期間に渡りすぎると親も子も疲れるので、期間も調整できるものなら調整したいものだ。

国立の出願と絡まって鬼スケジュールに

見逃してはいけない、国立の出願もこの時期であった。国立の願書はどこも古風な出願方法である所がほとんどで、受付した順番=受験番号になる。抽選なんてwebでやってくれれば良いものを、当時は抽選会場にわざわざ集まって抽選の様子を見届けなければならない、という謎ルールもあった。(去年はさすがにコロナをきっかけにweb化してくれただろうか…。)

早い方の受験番号を勝ち取るべく、願書提出の早朝から学校に並ぶという風習も未だに続いていた。(その後抽選が行われるので無情にも落ちてしまう人はいるのだが)もちろん、願書提出の際に下の兄弟を連れていけるような雰囲気ではない。つまり、お教室と習い事と願書関連の行事があるたびに下の子を預ける必要が出てくる。

しかも、我が家はこの人手が足りない時期に限って、夫の海外長期出張が多数入ってしまった。遠慮も恥じらいもなく人という人の手を借りまくって、なんとか成り立つ受験であった…。数年前のメモが残っていたので、正確な日程をふせつつ書き起こしたのがこちらである:

10/xx(土) 10:30〜国立A 説明会&願書、お教室16:00〜 下の子担当:夫
10/xx(土) 国立B 第一抽選&願書配布13:00〜、お教室16:00 下の子:夫
10/xx(日) 体操教室9:30〜 下の子:夫
10/xx(水) お教室16:30〜18:00 下の子:実母
10/xx(金)お教室16:30〜18:00 下の子:夫母
10/xx(土)お教室11:00〜下の子:夫 
10/xx(日)体操教室9:30〜 下の子:夫
11/x(金)学校A試験 下の子:夫
11/x(月)国立A 入学願書受付:夫 下の子:母
11/x(木)学校B試験(時間未定)、国立C抽選会(夫)、下の子:実母
11/xx(日)体操教室 下の子担当:夫母
11/xx(月)幼稚園参観日 下の子担当:母
11/xx(金)下の子健康診断 上の子お迎え:実母
11/xx(日)11:00〜体操教室 16:00〜お教室 下の子担当:夫母
11/xx(水)学校B実技(時間未定)下の子担当:実母
11/xx(水)国立A 総合調査Day1、下の子担当:未定
11/xx(木)国立A 総合調査Day2(私・娘)、国立D1次抽選13:00〜(実母) 下の子:夫母
12/xx(金)国立A 総合調査合否発表&最終選考(抽選)下の子:実母
12/xx(月)国立D 1次抽選 下の子:未定
12/xx(木)国立D 2次検定 下の子:一時保育?

兄弟もちに優しくなさすぎる。中には私と娘が2次試験に行き、私の母が国立の抽選に行き、夫の母が弟と留守番するなんて日もあった。どうにかしてくれ受験業界よ。仮にも教育業界ならば小さな子どもの事も考えんかい!!!っていうか共働き家庭とかどうすんのよ。ド平日に不親切すぎるだろうがあああ!webで出来ることはwebでやれええ!(怒)

(補足すると、これは受験した学校が全て合格して進んだ場合のスケジュールである。実際には早めに合格をいただいた事により後半の国立はほぼ受けずに済んだ。)

徐々に近づく本番

以上のような細か〜い出来事が無数に発生する秋だったが、それでも夏の後半から本番までは、随分と長く感じたのを覚えている。

説明会、願書受け取り、願書提出、抽選会、特別講習、普段の習い事に加え、通常の幼稚園生活もあるので、こなしている事は多い。だが、夏の間あんなに頻繁に通っていたお教室がいきなり無くなると、途端に手持ち無沙汰になる。頭の中は試験でいっぱいなのでいっそ早く迎えたいのだが、9月からは約2ヶ月もある。なかなかやってこない試験日にやきもきしていた。

とりあえず昔に手をつけようともしなかったプリント類を引っ張り出してきてこなしてみたが、夏前のプリントはやはり難易度高く、正答率が低くて直前なのに自信喪失したりした(笑)。また、せっかく慣れたサーキットの指示行動などを忘れると困るので、定期的に公園などに行き、模擬サーキットも続けた。やはり複数指示を覚えるという事は一時的なスキルなので、やらないとすぐ覚えられなくなる。今現在なんてもう(以下略)

ひたすらに平常心を保ち、日々ルーティンをこなし、時折お教室に参加し、緊張の糸をつなぎ続ける日々が2ヶ月続き、ついに本番試験を迎える時期がやってきた・・・!

続く!

当時の自分に教えてあげたい事

願書を受け取りに行く際には、学校によっては親子で願書を取りに行く事もできます。この場合、通常であれば親子ともお決まりの紺色ファッションで行くのですが・・・我が家の場合、とある学校の願書を受け取りに行ける唯一の日がBBQの直前であったため、夫と娘はBBQファッションで願書を取りに行きました。見事に浮いていたようだが、なんの縁なのかそれが今通っている学校である。(つまり誰も見ていない。)

「この学校に行くと工作たくさんできるんだって!」と親の吹き込みなども添えつつ見に行った学校でしたが、娘は学校をひと目見て気に入ったようでした。以降、モチベーションが下がりつつあった時にはこの時の体験が大いに役に立ちました。「合う・合わない」なども肌で感じる事ができるので、個人的には親子で行くのはオススメです。

これは後半になってわかってきた事ですが、あらかじめ別日に駅から学校への道を歩いておくと、試験の日も「ああ、この道ね!」と知っている風景があるだけで、リラックスするきっかけとなります。

話は変わりますが、結局私達はどの国立も最後までは進みませんでした。受験資格のある4校中、1校は抽選に当たり、1校は外れ、残り2校は先に志望度の高い学校に受かったので受験を取りやめました。しかしこの過程でも随分とわかる事はあり、数十年変わっていない抽選方式にドン引きした我が家は、受験する気がゼロに陥っていました。(結局は抽選に外れたのですがw)

ところで、夏の終わりから秋にかけて、夕方以降に紺色親子を見るとその状況がわかりすぎてめちゃくちゃ切なくなります。未就学児を連れて20時過ぎの乗車、しかも親子とも全身紺色。めちゃくちゃ目立つ上に、「こんな時間まで何をさせているんだ・・?」という視線が痛いこと痛いこと。(被害妄想かもしれませんが)この時期は、今までの夕方の時間が早くも来年の受験生(新年長)に向けて明け渡されるため、本番試験直前の子達は更にその後、つまり夜の時間帯での受講となってしまうのです。

本当この時間だけは、どうにかせえよ!!!と思っていました。幼児に不健全すぎる。

・・・なので夏以降、車内で夜の時間に疲弊した紺色親子を見かけた場合はできるだけ温かい目を向けてあげてほしいです。超がんばっているのです・・・。おつかれさまです・・・!

それではまた次回!


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