夢の設計図

布団には夢の設計図が収められており、必要に応じて図面を人間の脳に転写することで睡眠を誘発し、それによって夢を見ます。

夢の中を流れる河川と街並みは、夢生活者にとっては特別な空間です。河川へ下りる階段は、現実世界を反映しており凝ったものになる場合もありますが、いずれにしてもこれを通して、夢の流動音と慌ただしさが、この場所を現実だと錯覚させます。

河川を覗き込めば、水底の静かで落ち着いたリズムに持ち込まれることになります。実際の現実は水底の小石に表現されており、処理できない記憶の個数分だけ存在しているとされています。

夢とは何であるかを話し合う際、夢理論家は自分がもっとも適切であると見なす批評方法を推進し、夢にとって最も基本的で特徴的なはずの設計図に目を向ける批評は稀です。

仮に夢が高度にパターン化された現実であるとするなら、夢の研究とは、そこに表出されているかもしれない精神やそれが反映しているかもしれない現実に注目することではありません。夢の設計図のパターンに目を向けることになります。

ちなみに夢の設計図を作るための機械はありますが、夢を見るための機械はありません。

一方、現実が無くても夢は存在します。風景、人物、町並みなどはしばしばモデルが存在しないものであり、それらは現実的であることなく、幻想的でありえます。

一度見た夢の設計図は脳内の奥に仕舞われ、その持ち主が死ぬと再び流通し始めます。


※みんなのフォトギャラリーを初めて使用してみました。