元気と肌がありあまっているから

電車のシートでぎゅうぎゅうで眼をつむるスマートフォンの呼び出し音で表示される知り合いの名前と流動する空気のなか怪我した親指で動かす短文とアナウンスが告げる到着の駅と光っているみたいなホームのフェンス越しに見える車のヘッドライトが19:13の階段に吸い込まれていくスーツ姿に紛れこむ剥げたSuicaの文字に改札の向こう側にある押したことのないスタンプ台(駅の名前と風景が合成されていて、看板には40個くらいのスタンプの一覧がのっている。パット見だと違いがわからない。ぜんぶ押したことのある人はどのくらいいるのだろう)

スタンプを押す快感は人並みには持ち合わせているつもりだけど一年に一回くらい押せば満足するようなタイプの人間だから本格的にスタンプについて考えたことがない。スタンプ愛好家もいるだろうね。東京ディズニーランドに行くと再入場するために押すブラックライトのスタンプがあって家に帰るときでも一応押してもらう(もうないと思う)。自分で見ただけではわからない模様が人体に刻印されているというのは愉快だしスタンプを押してもらうと肌が気持ちいいというのもある。

いまはLINEでスタンプを送りあってるけど実際に外へ出てハンコを持って友だちにつけて回ったらいいよ。元気と肌がありあまっているからちょうどいい。