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友達がいない私と中学時代の大親友

 中学時代、親友とはクラスが離れても休み時間に会いに行って話をしたり、毎日のようにLINEをしてたわいもない話で盛り上がっていた。それなのに、違う高校に進学してからは、LINEの頻度もすごく減ったし、休日に会うことはしなかった。
 小学校から高校までの学校生活は同じ学校、同じクラスの人といかに上手くやれるかで決まる。閉じたコミュニティである分、狭い世界での人間関係が学校生活の充実度を大きく左右する。
 そのことを私は人よりもけっこう敏感に意識してた気がする。クラスの中で仲の良い友達を作ること、自分の居場所を作ることに必死だった。入学当初やクラス替えのあった4月はめちゃくちゃ不安だった。
 だから、学校が離れてからは新しい環境で居場所を作ることばかりを気にして、中学時代の友達を無意識に遠ざけていたのかなあと思う。

 大学に入ってからは、一気にコミュニティが解放された。
 同じ学部の同級生は200人越え。クラスという単位もなく、たくさんの選択肢の中から自分で授業を選べるのだから、毎日顔を合わせる人は一握り。ましてや他学部の人なんてほとんど顔を知らない。
 アルバイトやサークルを通してもたくさんの同年代と関われる中で、人間関係は流動的で浅くて広くなった。
 固定されたコミュニティは誰も用意してくれないので、自分から行動を起こして濃い人間関係を築くことができない限り、自分の居場所を作ることは難しい。
 私は入学当初、サークルに入ったりバイト先で友達を作ってみたり、同じ学部の子と一緒に履修を組んだりして、なんとか自分なりに居場所を作る努力をした。しかし、なんとか1人でも多くの子に好かれたいという気持ちばかりが空回りした4月は、なかなか自分を出すことが出来ずに気疲れしてしまうことも少なくなかった。

 こうなってくると、これまで濃い人間関係を築いてきた中学時代や高校時代の友達のありがたみがすごい。新しい環境でみんなもきっと頑張っているだろうし、自分もここで頑張らなくちゃと思いつつ、心を許せる地元の友達に会いたいなあと思うことがすごく増えた。
 卒業をしてすぐにそんな壁にぶち当たったので、まだ連絡を取り合っていた高校の同級生達を遠ざけてしまうことは免れ、帰省の度に心の傷を癒やしていた。

 そんなこんなで、もう大学4年生になってしまった。コロナで大学に通えない時期もあり、大学での交友関係には苦戦はしたものの、なんとか心を許せる友達を作ることができ、それなりの生活を送ってこれた。
 しかし今、就活を終え卒論を書くだけとなったこの時期はかなり暇だ。この1年間は人生で1番暇な時間かも知れない。この暇を有効活用するためには、たくさんの友達と遊んだり旅行に出かけたりして、大学4年間の無念を相殺して余りあるほどの思い出を作りたいなあと思う。それなりの生活で築けた人間関係だけでは、1年間を充実させるには事足りないかもしれない。

 帰省し実家のリビングでダラダラしながら、あ~どうしようかな~とうなだれている春休み終わり目前。自分から声をかけるのが苦手すぎて友達を誘えず、帰省したことに気付いてもらえなければ誘われるはずもなく、リビングに寝転び、既にせっかくの春休みを棒に振りつつある春休み終わり目前。
 ついに人生最大の勇気を振り絞って、中学時代の大親友に声をかけてみた。おそるおそる、当たり障りのない文章を送るのに30分とか悩みながら。

 2時間後、飾らない文章で日程を合わせる返事がきた。変にこちらを気遣うこともなく、なんならちょっと当たりの強めな文章は、ぶっきらぼうだったけど、中学時代の私をからかう親友そのままだった。
 ついに数年ぶりの再会を果たした彼女も、見た目だったり大学生活での近況などを聞けばやっぱり変化はあるものの、やんちゃさやドジなところや私の話をからかうところは本当に何も変わっていなかった。
 1日を過ごした最後には、私のことをやっぱり親友だと言ってくれた。それに、彼女も友達は全然いないよ~とサバサバした様子で笑っていた。

 中学時代の親友に声をかけて会うことができて、本当に本当に良かったなあ。何年間も会っていないとお互いに声をかけづらいけれど、会ってしまえばそんな数年間を感じさせないほど当時の2人に戻れる。
 それに、大学での友人関係ってそういうものなんだなあ。もちろん中には濃い人間関係を築いて親友と呼べる人ができる子もいるのかもしれないけれど。浅くて広い人間関係を色んなところでたくさん築いて、自分が会いたい時に会いたい人とだけ会える。その場その場に応じて異なる人間関係や、その場のその時間を楽しむ。
 これまでと同じような人間関係を築くことに躍起になって、思い通りにならないことに不安を感じていたけれど、大学での人との付き合い方自体が、高校までとは違ってこういうものなのかも知れない。

 もっと気楽に地元の友達との関係をまた築き直して深めて、大学の友達にも気軽に声をかけて、思い思いに楽しめる1年間になるように、自分からがんばろーっと



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