海外投資で詐欺を見分けるたった4つのチェックポイント
海外不動産投資詐欺、架空FX取引詐欺、国際ロマンス詐欺、クラウドファンディング詐欺・・・
テーマは違えども、今も昔も変わらず、海外投資で巨額の詐欺被害が後を絶たない。
誰もが最初から自分が詐欺に遭うなんて思っていない。むしろ慎重になっているはずだ。
「うまい儲け話が自分のところにだけ来るはずがない」ということも分かっている。それなのに、気がつくとつい手を出してしまうのが海外投資詐欺の怖いところだ。
被害に遭ってしまったが最後、投資したお金が一部でも返ってくると期待してはいけない。全損を覚悟しなければならない。高い利回りを求めて海外投資したのに、資産運用の元本や老後のための退職金がなくなれば、人生設計そのものが狂ってしまう。
そこで、本日は、海外投資詐欺を見分けるための最も効果の高いチェックポイントを4つご紹介する。
詐欺にさえ遭わなければ、海外投資で資産を安定的にふやして、数年でFIRE(早期リタイア)することも夢ではない。
これから海外投資を始める方も、すでに経験がある方も、自分が詐欺に遭うかもしれないということを頭の片隅においた上で、読んでいただきたい。それだけで成功に大きく近づく。
1. リスクに対する説明があるか。
投資にはリスクもリターンもつきもの。
リターンは、利回りとも呼ばれ投資した金額に対する収益を指す。企業に投資する場合、利息や配当に加え、手放したときに得られる売却益も含まれる。そして、リスクは、リターンが振れる「不確実性」を指す。
通常の投資において、リスクとリターンはこのようになる。
一定の比例関係が見られるけれど、リスクが高い割にリターンが小さいギャンブルや海外不動産みたいな商品もあれば、リスクが低いのに高いリターンが得られる海外未公開株やオフショア積立保険のような商品もある。
したがって単純にリターンが高いからといってすべてが詐欺だとは限らない。たとえば、海外未公開株の世界では、あえて市場の非効率性に着目して大きなリターンを狙う。今の安いうちにある企業の株を手に入れて、上場やM&Aで数倍もの利益になった成功例は、めずらしくない。
どんな投資商品であっても、それが積極的に販売されている以上、高リターンをうたい文句にして集客されるのは当たり前のことだ。過去の実績だって、都合の良いところだけが切り取られている(加工されている)こともある。多かれ少なかれ、積極的に売る側はみんなやっていることだ。
投資を進める上で、リターンが過大にアピールされがちなことは、前提として受け入れなければならない。
しかし、売り手からリスクについて説明がないなら、とたんに話が怪しくなる。
リスクはリターンの「振れ幅」のこと。最も安全といわれる定期貯金でさえ、銀行破綻によるリターンの「振れ幅」があるので、リスクが存在しない商品は、厳密には存在しない。
それなのに、投資商品の売り手が「元本保証」を言い出したら要注意だ。リターンがあるのに元本保証でリスクなし、そんな投資はあり得ない。しかもその投資は「今しか」買えなくて「あなただけ」に案内しているとなれば、間違いなく投資詐欺と思って良い。
本当にそんなうまい儲け話があるなら、独り占めするに決まっている。
「万が一下がったら当社が保証します、当社が買い取ります」という言葉は、「当社は計画的に破綻して、夜逃げします」と言っているのと同じだ。絶対に信用してはいけない。
このように、投資商品が高リターンだから怪しいと考えるのではなく、リターンにかかわらず、リスクの説明がないから怪しい考えることができれば、高収益の機会を逃すことなく、詐欺被害も回避できるようになる。
これは海外投資の基本中の基本だ。
2. 紹介システムがやたら充実しているか。
海外投資の商品を探していると、紹介システムを取り入れたものに出会うことがある。知人を紹介したら多少ボーナスがもらえたり、キックバックがもらえたりするボーナスプログラムだ。友人紹介キャンペーンはどの業界でも新規顧客獲得のために行なっているので、それ自体は問題ではない。
しかし、紹介料やアフィリエイト報酬が、期待利回りの数十%にもなるほど高額で、商品説明そのものよりも、その紹介システムや報酬発生の仕組みの説明の方に力が入れられているなら、すぐさま投資詐欺を疑うべきだ。
なぜなら、投資に複雑な仲介制度は必要ないからだ。投資の収益は、資産の稼ぐ力と相場の変動によってもたらされる。紹介料が高いか低いかは関係がない。紹介料に目がくらんで投資商品を決めてしまうのは、投資の本質をまるっきり理解していないことになる。
費用の点でも理にかなっていない。報酬制度やそれの管理システムがやたら充実しているということは、費用をたくさんかけている証拠。その費用は投資家のお金から支払われている。日本の金融機関や仲介業者の手数料を節約するために、わざわざ海外投資しているのに、費用がかかる仲介制度を採用している投資商品を選ぶのは本末転倒だ。
海外投資詐欺の典型的な紹介システムは「ポンジ・スキーム」と「マルチ商法」を悪用して作られる。
「ポンジ・スキーム」とは、いわゆる「タコ足配当」と呼ばれる自電車操業的な詐欺の手口。「出資金を事業投資や株式運用して、出た利益を配当金として支払う」と言って多数の投資家からお金を集める。でも、実際は運用など行っておらず、新しく得た出資金の一部を以前からの投資家へあたかも配当金かのように支払う。実際に配当が支払われている実績があれば、どんどん出資者が増える。解約を希望した一部の人に元本を返す実績を作れば、信用が増して出資額もさらに増える。
いずれピークを超えて、払戻額が新規出資額よりも多くなると、様々な理由をつけられて配当金が減ったり、遅延したりするようになり、いずれ破綻して支払われなくなる。
これを維持、最大化するための仕組みが「マルチ商法」だ。
「マルチ商法」は「ネットワークビジネス」や「MLM」とも呼ばれ、会員が新規会員を誘い、その新規会員が更に別の新規会員を勧誘して、連鎖的に階層組織を拡大する仕組みのこと。
海外投資詐欺では、出資を募る過程で、出資者が新たな出資者を紹介したら紹介料をもらえる形がよく見られる。紹介者は自分が利用者あり、(最初だけ)実際に配当も払われるので、素晴らしいスキームと信じて、紹介にも熱が入る。
しかし、紹介相手は有限であるから、最終的に必ず崩壊するようになっている。毎月1人の出資者が新たに2人の出資者を紹介できたとしても、27ヶ月目で1億3千万人以上もの新しい出資者が必要となり、日本の人口すら上回ってしまう。
「ポンジ・スキーム」と「マルチ商法」は巧妙に組み合わさると、数ヶ月から数年かけて、被害総額が数億から数十億円にのぼる大きな詐欺案件に発展することも少なくない。
紹介システムがきちんと設計・管理されていると、信用できる相手だと思いがちだが、実際は、充実すればするほど、投資の実態からかけ離れて行く。単なる紹介キャンペーン以上の紹介システムがある時点で要注意だ。
3. ウェブサイトやアプリがやたら充実しているか。
海外投資では、ひんぱんに現地に足を運びにくい分、情報収集や投資判断をインターネット経由で行うことが多い。
投資仲介会社や投資先の事業会社のウェブサイトが存在するかどうかや、運用状況を確認できる会員ページがあるかどうかを、詐欺を見分ける基準として推奨する政府機関も多い。
たしかに、ウェブサイトに企業概要や投資先リストが掲載されていて、会員ページから資産の残高や利回り確認できれば便利だし、安心感がある。大手金融機関を経由しているなら、あって当然のサービスだ。
しかし、ウェブサイトのコンテンツをいつも最新状態に維持するのも、資産残高をリアルタイムに確認できるアプリを開発するのも、非常にコストが掛かること。
小さな投資仲介会社や事業会社が、そこをアピールするなら、逆に注意が必要だ。そんな予算はないはずだし、本業でもない。事業会社なら事業で、投資会社なら投資でどれだけ成果を出したを、アピールすべきだ。
中には海外の大手金融機関ですら対応していない日本語ページや操作マニュアルを持っていることをアピールするところもある。日本人向けにきめ細やかなサービスがあって信用できると思うのではなく、何も知らない日本人投資家からお金を騙しとるための、ハリボテだとすぐに疑わなければならない。
インターネットから情報を得られるかどうかではなく。必要以上に情報を得られるかどうかが、詐欺を見分ける基準となる。
海外FX架空取引詐欺がその典型例。
SNSやインターネット広告を通して、顧客にFX取引の自動売買ソフトを購入させ、海外の金融機関の口座に資金を送金させる形を取ることが多い。海外FX取引所で、資産運用のプロが作成したソフトを使って自動売買をすると、損しないようにプログラムされているから必ず儲かると言うのが常套句だ。
ソフト自体はウェブサイトからダウンロードできて、操作も簡単なので。なんとなく自分でも取引ができている気持ちになる。会員ページやアプリ画面上では、自動売買によって順調に利益が出ているように見えるので、指示されるまま海外の業者の口座にどんどん投資してしまう。
でも、いざ出金しようとすると、業者は知識のない被害者にもっともらしく聞こえる理由をつけて出金に応じない。次第に連絡が取れなくなり、画面へのアクセスもできなくなる。そのとき初めてすべてが見せかけで、詐欺だと気がつくことになる。
近年は、海外FXのほかに、「ビットコイン」をはじめとする仮想通貨による取引でも、同じ手法で詐欺被害が急増している。
海外FXやビットコインのようなテーマは、インターネット経由の投資と相性がいい。
詐欺師は、あえてインターネットに情報を出して、投資家を油断させる。だからこそ、必要以上にウェブサイトやアプリが充実していないか、投資する前に必ずチェックが必要だ。
4. 権威やライセンスを強調していないか。
人間にはイメージだけで人や物を評価してしまう傾向がある。例えば、ある分野の専門家が専門外のことについても権威があると思い込んだり、外見のいい人が信頼できると感じたりしまうことは、誰しもが経験あるのではないだろうか。これを社会心理学では「ハロー効果」と呼ぶ。
「ハロー効果」を悪用した海外投資詐欺は後を絶たない。よくあるのは資産家や医師などの肩書を持っているように見せかけ、それらしい立ち振る舞いと話し方で投資家を信用させてしまう例。手が込んだケースでは、実際にスポーツ選手、タレント、皇族関係者などがセミナーやパンフレットに登場してくることもある。彼ら自身は広告料をもらって仕事をしているだけで、投資詐欺に勝手に名前を悪用されていると知らない場合も多い。
もしあなたが、有名人や上流階級も投資しているから安全に違いないと感じたら、詐欺師の思うつぼだ。他力本願であったり、肩書に弱くてよく調べずに鵜呑みにしてしまったりする人ほど、被害に遭いやすい。
石橋を叩いて渡る性格の人も油断してはいけない。最初は疑心暗鬼でも、知人に誘われて有名人や上流階級がいるパーティーに参加して、心変わりしてしまうこともある。一生関わることのできない人たちから挨拶されて、会話できると、警戒心を忘れてすっかり舞い上がってしまう。
そんな中で、月に5%の利益が出る、1年でほぼ元が取れて、その後は全部利益になるみたいな「うまい儲け話」をされると、宝くじにあたった気分になる。海外だと周りに止めてくれる人もいない。平常心を失い、大事な資産を渡してしまうのも無理はない。
帰国して平常心に戻ったころには、電話が通じなくなり、数カ月後に時間を作って現地を訪問しても、事務所はすでにもぬけの殻。お金は取り戻せないと覚悟しなければならない。
まとめ
海外投資案件の情報は玉石混交。
むやみに他人を疑っても、人間関係が悪くなるだけで先に進めないし、かといって警戒心を持たなければ、一瞬で詐欺師の餌食になってしまう。だからこそ自分の中にあらかじめ判断基準を持つことが大切。
ここでご紹介した4つのチェックポイントを実際に活用すれば、初心者でも容易に海外投資詐欺を見分けられるようになる。
最後に、それぞれをもう一度確認しておこう。
1.リスクに対する説明があるか。
→説明がなければ、詐欺の可能性大。
2.紹介システムがやたら充実しているか。
→充実していれば、詐欺の可能性大。
3.ウェブサイトやアプリがやたら充実しているか。
→充実していれば、詐欺の可能性大。
4.権威やライセンスを強調していないか。
→強調していれば、詐欺の可能性大。
最後に
自分で海外投資に取り組んでみると、忙しくて時間が取れない、思ったよりむずかしいといった壁にぶつかる。
そんなときほど「楽して儲かるうまい話」に惹かれがちだ。海外投資をするときは、ここで説明した4つのチェックポイントを使って、ぜひ冷静に投資判断していただきたい。それだけで、きっと成功に近づく。
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