![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172628637/rectangle_large_type_2_b7318ccdac306d8da14a73bb9a511492.jpeg?width=1200)
KAN『弾き語りばったり#19』の風景
今年は、新年から流行りの感染症にかかって、ようやく落ち着いたと思ったら、あっという間に2月。この記事も、年末年始に書こうと思っていたのに、すっかり時が経ってしまった。
年末に、NHKでKANさん関連の番組の放送が2本あった。どちらもKANさんがいなくなってから制作された番組。
ひとつ目は、『サラメシ』という、サラリーマンをはじめとした、いろんな職業の人のランチを紹介する番組。中井貴一さんがナレーションしている番組といえば、思い出す人もいるかもしれない。その中で、「KANが愛したピザの店」というタイトルで、南青山のイタリアンの店が紹介されていた。大事な記念日、時に親しい仲間と、時に奥さんと、訪れていた店だという。私も、いつか行くことはできるだろうか。
ふたつ目は、NHK福岡放送局が制作した、『もうひとつの“愛は勝つ” 〜福岡 KANをたどる旅〜』という番組。KANさんゆかりの人たち、それも、著名なアーティストというわけではなくて、中学生や高校生の同級生が、当時のKANさんを振りかえって語る、という実にコアな番組。この番組に出てくる、中学、高校時代の旧友の方々のKANさんに対する感覚は、私がKANさんのファンになった当時の感覚に、すごく近い。
ある、高校時代の同級生の方の言葉・・・
「『愛は勝つ』は正直 ぼくとか福岡の友だちの中では ベストワンではない」
「もともと彼のキャラクターは もうちょっと哲学的」
これは、当時のKANさん自身も感じていて、ラジオや著書の中で語っていたこと。その部分をクローズアップしてくれただけで、この番組の意味は大きいと思う。もちろん、KANさんや旧友の皆さんが、この曲を嫌いというわけではなくて、この曲もいい曲だけど、KANにはもっといい曲たくさんあるんだよ、という思い。それがすごく伝わってきた。
どちらも、いい番組だったと思う。
さて、私には、以前から行きたかった場所がある。
KANさんがいなくなり、遅ればせながら、中学生時代に買ったアルバム『ゆっくり風呂につかりたい』以来、30数年ぶりに買ったCDは、KANさんの弾き語り全国ツアーを収録した『LIVE 弾き語りばったり#19』だった。なぜこのCDだったかと言えば、やはり、私が初めて買ったシングルCDである「東京ライフ」の弾き語りが収録されているから。
アルバムを手に取ると、ジャケットになんちゃって英語?で「弾き語りばったり#19 今ここでエンジンさえかかれば」とタイトルが書かれている。KANさんらしい、ダサカワイイ感じだ。そして、山をバックに、ハーレーダビッドソンに腰かける革ジャン姿のKANさん。これもまた、かっこいいんだか、ダサいんだか、実にKANさんらしい。でも、私にはそんなことよりも、ジャケットの最後の見開きの、スタッフクレジットの書かれたページを見て、「ん?」と思った。どこかで見たような・・・しかし、どこなのかは書かれていない。とはいえこの風景、私が住んでいる場所から、そう遠くはない場所だ。これは、間違いなく筑波山だろう。
今は便利な時代で、Google Mapというやつがある。たぶん、このあたりかな、と目星を付けるが、なかなかみつからない。筑波山というのは、男体山と女体山の二峰から成る日本百名山の一つ。ちなみに、百名山の中で一番標高が低い、というのはどうでもいいウンチク。もう一つ言うと、男体山の方が高く見えるが、測ってみたら女体山の方が標高が高かった、というのもウンチクだ・・・何が言いたいかというと、二峰から成っているので、地形的には結構複雑で、見る場所によって全然違う山に見える。そんなこともあって、このジャケットの筑波山がどこから撮られたものなのか、は難題だった。Wikipediaの筑波山のページに上がっている茨城県筑西市から撮った写真が角度的には近いと思うのだが、ジャケットのようなこんな見晴らしのいい場所はあるのか?わからないまま月日は過ぎた。
年明けに録画したKANさんの番組2本をみて、そのことを思い出した。もう一度、Google Mapを見てみる。いろいろ見ているうちに、それらしい場所を見つけた。筑波山のカタチはジャケットのそれと同じだ。Google Mapで付近をいろいろな角度で見てみるのだが、何か違う。ガードレールを見ると形が微妙に違い、あるべき建物も、ない。
![](https://assets.st-note.com/img/1738412085-q5YokTunAHsOIvgSec1Q3VFa.jpg?width=1200)
(Google Mapより)
似た風景だし、もうここでいいかな、と思ったのだが、どうも納得いかない。山の形が同じに見えるということは、角度はあっているということだろう。Google Map上で、もう少し近づいてみたり、遠ざかってみたり。考えることいくばくか、もう一つのそれっぽい場所を見つけた。
![](https://assets.st-note.com/img/1738412240-Eq9FHksnLNQYIpBDtgoKJbjm.jpg?width=1200)
(Google Mapより)
そして今日、行ってみました。家からそれなりに距離があって、小一時間かかってしまった。思ったより、道が狭い。農業専用の道路なのだろう。近くで農作業をしている人もいて、見かけない車をウロウロさせるのはあまりにも不審だ。何よりも、すれ違うのもギリギリの道なので、農作業をしている人に迷惑が掛かってはいけない・・・
ということで、そののどかな風景とは裏腹に、思った以上にゆっくりできなかったものの、撮ってきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738412569-MAbDtdUwGesKkShIonYrqvB8.jpg?width=1200)
ガードレールのカタチ、道路標識、右奥に見える白い縦長の建物。おそらくここだろう。ここにKANさんが来たのか、と思うと感慨もひとしお、と書きたいところだが、実は私の後ろには田んぼを大型トラクターで耕している農家の方がいて、こちらを見ているような気がする。対向車が来ないか気にしながらで、あまりゆっくりはできなかったため、あまりジャケットに寄せた写真は撮れていないような・・・でも、ここから見る筑波山は、これまで見たどの筑波山よりもきれいだった。
行く人はいないかもしれないけれど、もし行かれる方は、あくまでも地元の農業用道路なのでご迷惑かからないように、ということと、この周辺の農業用道路は軽トラが通るのが精一杯といった道も多いので、田んぼや畑に転落しないようにお気を付けください。本当は、ジャケットのとおりバイクで行くとか、自転車で行くのが正解かもしれない。
ご近所なのに1年以上見つけられず、すっきりしていなかったけれど、今回行くことができてよかった。また、違う季節にも来てみたいと思える場所でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1738413129-cKyU4DFIlrNxXCGQeu6J1O5T.jpg?width=1200)