【観劇感想文】「あの子より、私。」
温めすぎた。
2022年2月に観劇したのを最後に「いつか必ず備忘録を…」と温めすぎた結果、気が付けば早3ヵ月が経ってしまった。
ということで今日は、舞台「あの子より、私。」を基俊介さん担であり、ただの一般人である私が勝手に思い出を振り返るだけのブログです。
私はお芝居の知識もなければ経験もなく、ここから執筆する内容は私の超個人的な解釈も含まれるのでそう言った内容を目にしたくない!という方は、そっと【戻る】を選択して頂ければ幸いです。
では、まずこのブログを進めるにあたって舞台「あの子より、私。」の簡単な説明を。
脚本・演出を岸本鮎佳さんが手掛けたこの舞台は、誰もが憧れる別荘地の一角で開かれた”別荘地見学会”をキッカケに3組の参加者たちが出会うこととなり、ストーリーが進んでいく。
基くん演じる兎谷彗は、別荘地見学会に参加する一人、兎谷夕美(黒谷友香さん)の息子。
人気者の大学生で、趣味でDJをするほどの音楽好き。モテるタイプだが恋愛には興味がなく、あまり人と群れるタイプではない。
そんな彼のキャッチコピーはザ☆東京男子!だ。
情報解禁と共に彼の役どころが発表され、兎谷彗と大きく書かれた役名の下にそんなキャッチコピーが記されていたのだが、初めてその文字を見たときはあまりの解釈の一致に興奮が止まらなかった。
舞台の大千秋楽後、基くんのブログにて「兎谷彗は当て書きだった」と明かされ、更に鼻息が荒くなったのは言うまでもない。
と、このような感じで物凄く大まかに「あの子より、私。」について説明したところで早速本題に入ることにする。
結論から先に申し上げよう。
単刀直入に言うならば
あと5兆回は観劇したい。
これは自担に対する贔屓目抜きにして、ただ純粋に、私がこの作品に惚れ込んだからだ。
そんな素晴らしい作品の中で兎谷彗を演じる基くんには、何度も笑わせられ、何度も泣かされ、そして何度も楽しませてもらった。
有難いことに1回きりではなく何度か観劇する機会があったのだが、その度に”初めて観劇した時”と同じような、すごく新鮮な気持ちを味わうことができた。
そんな、舞台「あの子より、私。」はタイトルにもある通り「あの子より、幸せに見られたい。」といった、誰しもが一度は感じたことのある見栄や拗らせをテーマにした舞台ということもあって、登場人物は皆 他人と比較をして自分の価値を図ろうとする。
その中で、一人冷めた態度で彼女たちの様子を後ろで眺めているのが、基くん演じる兎谷彗だった。
コミカルかつテンポのいい掛け合いの中で、その様子を一歩下がったところから眺める基くんの表情は面白いくらいにコロコロと変わってゆく。
女性陣たちのチクッとするような言い合いを見ている時の嫌そうな顔。
場の空気を読んで愛想笑いを浮かべてみたり、何かアクションが起こると驚いた顔をしてみたり。
そんな表情や行動がまた、ものすごく自然で、観劇している私もより一層”兎谷彗”に引き込まれた瞬間だった。
冒頭でもチラッと書いた通り、この兎谷彗という役柄は当て書きということで、脚本家の岸本鮎佳さんが基くんの映像や雑誌のテキスト、ブログなどを元に脚本を書いて下さったそう。
その事実には本当に納得したし、観劇中も兎谷彗の中に垣間見える”基俊介”を何度も感じた。
彼自身も兎谷彗という役に対して「占い師並みの的中率だった」と語っているのを見ると、本当に共通点が沢山あったんだろうなとも思った。
だからこそ自分自身に役を落とし込みやすかったのか、はたまた兎谷彗と自分とのちょっとした違いのようなものを表現する難しさを感じていたのか、それは基くんにしか分からないけれど。
一歩下がったところから全体の様子や空気を感じ取っている姿や、ちょっとした口癖、そして何より芯の通った揺るぎない強さのようなもの。
きっと基くんが兎谷彗と自分を重ねたように、私もまた基くんと兎谷彗を重ねて観劇していた。
本来の彼とは全く違う雰囲気の役柄を演じる姿もとても好きだが、それとはまた違う楽しみ方が出来たような気がする。
無事に「あの子より、私。」が幕を下ろした後、基くんはブログで舞台について、こう振り返っている。
音楽が好きでDJを趣味に生きる兎谷彗。実は彼の父親は有名なバンドメンバーの一人であり、いわば彼にとって父親は一番の比較対象だった。
「音楽で食べていきたい」という夢の裏で、「父親には勝てない」という負の感情が常に邪魔をしていた。
それはきっと、アイドルとして今を生きる基くんにとって大きく重なる部分だったのではないだろうか。
努力と結果が必ずしも比例するとは限らない厳しい世界の中で、彼は何度悔しい思いをしたんだろう。
その度に周りと自分を比べて、全てを投げ出したいとすら思い、落ち込んで立ち止まってしまう日もあったと思う。
そんなツラく苦しい思いをしてきた基くんだからこそ、こんな言葉も残してくれた。
この言葉たちこそが「あの子より、私。」の全てだと私は思う。
育った環境も境遇も、見てきた物も感じてきた事も、まるっきり同じ人間は一人もいないはずだ。
”隣の芝生は青く見える”という言葉があるように、どうしても自分にないものを持っている他人が長けているように感じ、そして羨ましくもなる。
でもそれは裏を返せば、自分にしかないものが必ずあるということ。
そして、それは決して相手と自分を比べて自分の価値を図る材料ではないということ。
心の底から好きだと言えるような事柄がいつしか自分の強みや自信となり、それをいつも大切に持っていれば、他人と比べることも少しずつなくなっていくのではないか。
私はこの作品を通して、そう強く感じた。
最後に。
厳しい環境下の中、諦めず舞台に立ち続けて下さった「あの子より、私。」のカンパニーの皆様。
本当にありがとうございました。
そして、初単独外部舞台を完走した基くん。
おめでとう。本当にお疲れ様でした。
基くん演じる、兎谷彗に出会えたこと。
そして何より「あの子より、私。」という素晴らしい作品をこの目で観劇し、沢山の感情と向き合えたこと。
それは、これから先の私にとっての大きな強みになると思う。
基くんもまた、この舞台で経験したことの一つひとつが強みとなり、そして彼が思い描く夢に繋がることを願ってこのブログを締めようと思う。
またいつか基くんが舞台に立つ時には、更に経験を重ね沢山の強みと確かな自信を持った姿で、私の心をときめかせてくれるだろう。