本当は、もう。
「あの人はさ、私の活かし方を全然わかってないんだよね。」
「うんうん。たしかにねぇ。」
「ほーんと、私の良さが潰れちゃうんだよ。」
「うんうん。ほんとだねぇ。」
「弱みばかりじゃなくてさ、強みに注目して欲しいよね!!!」
「うんうん。そうだよねぇ。」
「なんでこんな想いを毎日しなきゃいけないんだろ。」
「うんうん。それでさ、なんで君はそこにいるの?」
「え?」
「君は君のこと、よーくわかってるのに、なんでそのまま、そこにいるの?」
「あ、いや。それは…………。」
本当に活かした方を知らない人は、誰?
本当はわかってるのに動けないのは、なぜ?
真っ直ぐに放った想いは、
ブーメランのように戻ってきて、
真っ直ぐに自分の心に突き刺さった。
心に刺さった矢は、さらに問うてくる。
ねぇ。
本当に変わりたいの?
どう、変わりたいの?
変えたくないものは、なに?
変わりたくないのは、なぜ?
ドク、ドク、ドク、と自分の脈が波打つ中で、考える。
そっと目を瞑って、
ふわっと思い浮かべた理想の自分は、
とても柔らかく笑っていた。
幸せそうに、安心してはにかんでいた。
(あんな風に、穏やかな笑顔になれるのかな。)
ふと目を開けると、
目の前には、暗くなったスマホの画面が見えた。
そこには、
理想の自分のように、柔らかく笑っている顔がうつっていた。
(あぁ。もう、なれるんだね。)
本当の活かした方を知っている人は、誰?
本当はわかってる。
本当は、本当は、もう。
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