見出し画像

セックスマシーン!!「もっと!もっと!あ、も〜っと光を」ツアー 下北沢シャングリラ公演感想

4/15。
セックスマシーン!!
「もっと!もっと!あ、も〜っと光を!」ツアーin下北沢シャングリラ。ワンマン。


僕はこのライブに行くかどうか、2回悩んだ。



1度目はチケットを買う際。
コロナ前のセクマシのライブは、お客さん全員でシンガロングするのが大きな醍醐味の一つであった。

「サルでも分かるラブソング」や
「君を失ってwow」など
初めてその歌を聞いた人間でもすぐに一緒に歌える歌を
代表曲として彼等は残している。

ライブで(なんなら、なんと音源でも!)我々リスナーに対して
一緒に歌うようモーリーさんは訴えかけてくる。

さらにお客さんの事を「ゲストボーカル」と呼ぶくらいなんだから
「セクマシのライブは一緒に歌うのが醍醐味の一つだった」という意見は
あまり間違っては居ないと考えている。


しかし現在はコロナ禍と呼ばれる時代。
ライブを行う事自体は徐々に許される様になってきたが
客席の人間が声を出す事は未だに許されていない。

ゲストボーカルとしてセクマシの歌を一緒に歌うのは、とにかく楽しかった。
君を失ってwowが始まったら、wowって叫ばなくちゃ体が壊れてしまいそうだ。

だから僕は、全力でwowと叫ぶ事が許される様になってから
全力でセクマシのライブを見たいと思っていた。


故に今回のツアーが下北ワンマンだと発表された際
チケットを購入するか凄く悩んだ。


その悩みを解決したのは、新しいアルバム「もっと光を」だった。
とにかくこのアルバムが良過ぎた。
12曲入りのフルアルバムなんだけど、とにかく刺さる曲が多いし
一曲一曲の刺さる深度が深い。

本当に色んな歌が刺さったけど
特にAIウォーズが一番深く刺さった。
多分2月にして、
2022年一番自分に刺さった曲年間ランキング1位が決まってしまった気がする。
これを超えるくらい刺さる新曲と
年内に新しく出会える気がしない。


話が少しそれてしまったが、とにかくアルバムが良過ぎてチケットを買った。
「こんだけ良いアルバム曲を生で聞きたいな!」とか
「これだけ良い歌沢山なんだから、声が出せないくらい良いや!」とかじゃ無い。

「うおー!!!!新しいアルバム最高!!!好き!!!」って思って
気付いたらチケットを買っていた感じだ。

学生時代、恋に落ちたての頃、
何の意味もないのに
感情の昂りが抑えられずにひたすら自転車を全力で漕ぐような
アレに近い。脳みそをほぼ解さずに行った行動だ。


ちなみにその後、アルバムのリード曲でもある「もっと光を」の歌声を募集する企画がある事を知る。
(言葉で説明する能力がないので企画概要はこちらのスクショで確認願います。)

急いで録音して応募した。
この中に自分の声も入ったverをライブで聞けるのかと思うと、
よりライブがたのしみになった。




2度目に悩んだのはライブ当日だ。

この日悩んだ理由はズバリ疲労と残業だ。

度重なる残業と月に夜勤に自律神経をやられてしまったせいで
僕は心も体も慢性疲労と呼ばれる状態に陥っている。しかもこの日は完全に疲労のピークだった。常に疲れ切ってるけど特にしんどい日だ。

だから仕事中、
「ライブに行きたい」という気持ちよりも
一刻も早く帰宅して布団で気絶したい、という気持ちの方が正直大きかった。

こんな状態でライブに行っても楽しめる気がしない。
目の前でどんなに良いライブが行われていても
会場でひたすら「眠い」「帰って眠ればよかった」と思っている自分の姿が目に浮かぶ。
今回はスタンディングだったが、もし着席型のライブだったら確実に眠ってしまっていたと思う。


これだけ疲労が蓄積されているのに、
さらに輪をかける様に残業問題もある。
うちの会社はまだどこか昭和のカケラが残っており
皆が残業してる中、一人で帰ろう物なら中々痛い視線を向けられてしまうのだ。


疲労感がMAXに溜まっており、
ライブに間に合う様、定時に職場を出るのも難しい。
僕は定時直前くらいまで、ライブに行くか否かを悩んだ。


そして就業時刻を告げる鐘が鳴るとほぼ同時に
僕はライブに行くという結論に辿り着いた。
ここで仕事の疲れと同調圧力でライブに行けないなんて
俺がなりたくなかった社会人その物だ。
それに、先にもチラッと触れた「もっと光を」に自分の声もMIXされたverを
やっぱり聞いてみたい。

トイレに行くふりをして席を立ち、そのまま退社。ライブハウスに向かった。



下北沢までの移動中、セクマシを聞いて気分を高めようと思った。
しかし、やっぱり疲れ切っていて、
セクマシの熱量(音源から来る物でさえ)を受け止めるエネルギーが俺には無かった。
なるべく聞くことによるエネルギーの消費を控える様に
スーパーカーの4枚目のアルバムを聞きながら電車に乗っていた。


---頭の中---
コロナ禍だしはしゃぐ事は無いにせよ、
ゆっくり後ろでドリンク飲みながら観戦する事さえ体力的にキツそうだな。
いざとなったらライブの途中で帰宅して寝てしまおう。
「もっと光を」だけは聞きたいから、
もし途中で帰るにしても、それを聞いた後にしよう。

「もっと光を」は多分1曲目にやるんだろうな。
その後サルでも分かるラブソングとかやってグワー!っと盛り上がる感じなのか。
もし1曲目なら多分会場到着が間に合わないな。少し押してライブスタートしてくれないかな。
---頭の中、完---



そんな事を考えながら向かうライブハウス。
いつもライブハウスに行く時はワクワクしてるので
「どのタイミングで帰ろうかな」なんて考えながら好きなバンドのワンマンライブに行くのは初めてだった。



そんなこんなで到着した下北沢シャングリラ。
スタートの予定時間を少し回ったくらいに到着したのだが
開演が少し押しており、何とか開演前に会場に入る事が出来た。

5分ほどグッズを眺めていると
会場が暗くなり、SEが鳴り響く。

いよいよセックスマシーン!!の登場だ。
モーリーさんが叫び
(僕の予想に反して)サルでも分かるラブソングでライブが幕を開けた。





ライブはとにかく最高だった。
最近は結構簡単に「最高」って表現を使ってしまいがちだ。
だがこの日のセクマシのライブは
過去見てきた全てのライブの中でもトップクラスに最高だった。

2回も行くか悩んだけれど、本当に行って良かった。

一曲目のサルでも分かるラブソング。
1番のサビが始まる前に俺はポゴダンスを踊っていた。
開演直前まで「後ろでゆっくり見るだけの体力さえ、もう無いかもしれない」と本気で思ってた人間が、1分とかからずポゴダンスを踊らずにはいられなくなってしまうのだ。
踊らずにはいられないというよりも、本当に気付いたら踊っていたという感覚だ。

「元気なかったのに、歌が始まった途端気付いたらポゴダンスを踊ってた」とか
そういう表現も今では良く目にするけど
誇張でも嘘でもなんでもなく、本当にその現象が起こったのだ。
少し痛々しいライブキッズの日記みたいになってしまうのだが
実際その現象が起きたのだから、そう書かずにはいられない。
その後も終演まで基本はずっと踊り続けた。


もちろん楽しい歌だけじゃない。
しっとりと聞かせる系の歌(ex.何もない日々、夢を見て眠る等)も素晴らしかった。
しっとりとした曲をした後、続けてブチ上がる系の曲をやり
その緩急に(本来なら)グワっと、
よりテンションが上がるようなシーンがライブ中何度もあった。

(本来なら)と書いたのは、俺が上手にテンションをグワっと上げられなかったからだ。
それは疲れてたからでも、ましてやセクマシのライブが悪かったからでもない。
しっとりとした曲が本当に良過ぎて聞き入ってしまい、その余韻に浸ってしまった結果、次の曲のテンションについていけなかったのだ。

アレだけ疲れ切っていた人間にポゴダンスを踊らせ、
アレだけポゴダンスを踊ってた人間を
しっかり聞き入れさせて、その余韻に浸らせポゴダンスを踊らせない。
本当に感情をグワングワンと色んな方向に揺さぶられるライブだった。


ちなみにしっとり系の曲だけではなく
MCもかなり聞き入ってしまう物だった。
ロッキンに出演した際、銀杏BOYZが人間の前にやったMCなど
痺れる、好きなMCは沢山ある。
だけど痺れるMCを画面越しではなく、生で拝見したのは
色んなライブに行ったけど初めてかもしれない。



何度かMCはあった。
基本どのMCもコロナ禍でどう感じたか等が中心だった。
コロナ初期、真っ先にライブハウスが槍玉に挙げられ、
もしかしたら一生あの頃のライブハウスに戻れないんじゃないか、みたいな不安。

そして、だけど色々やりようはある、
色々やっているうちに、またいつかあの頃のライブハウスに戻れるって言う希望。

そのMCの中に、コロナ禍でライブハウスが槍玉に挙げられたことや
未だにライブばかり規制が多いことに対する愚痴や文句は一つもなかった。



コロナが始まってからのセックスマシーン!!は、とにかく活動がずーーっとカッコよかった。

最初の緊急事態宣言が開けた、確か当日。
恐らく最速でライブを行ってくれたセックスマシーン。
ステージと客席の間にビニールのカーテンが敷かれ
客はマスクをつけて声を出せない状態で
ガイドラインをきっちり守ったライブを行い
俺たちに「今は制約があるけれど、またライブを見ることが出来るんだ!!」と希望を見せてくれた。

その後、「密がダメなら密を避けて!」
と言うことで
岩山や海でライブを行いそれを配信したり。

馬は臆病だから大勢の前につけていけない、だけど無観客なら平気だ!
と馬に乗ってライブをしたり。

コロナ禍で今まで通りのライブが出来ない。しかしそれを逆手に取った様に
新しい楽しさを俺達に提供してくれて
色々出来るんだぞ!と言う姿勢を見せつけてくれた。
(今回の「もっと光を」の歌声を募集してMIXし、それをバックでかけてセクマシ4人がライブで歌う企画もその一つだ。)


それはどれも凄くユーモアに溢れており、「一本取られたわ」と声を上げたくなるような爽快感さえ感じた。

特に馬に乗ったライブは自分の中で一番衝撃的だった。
このバンドは「コロナだけど出来る」楽しいライブだけじゃない。
「コロナだから出来る」楽しいライブを発見したのだ。



ステレオタイプで古い考えなのかもしれないが、
パンクロックというのは
ルールになんて縛られず、権威に従うわけでもなく
何事にも「逆らう」というのが基幹にある音楽だと思ってる。

その点でセックスマシーンは
コロナ禍で権威の決めたルールをしっかり守ってライブ活動を続けていた。
だけど彼等は決してルールに縛られてなんかいなかったんだなと改めて思った。
なんならルールを破ってはいないけど従ってなんかいなかったような気さえする。

ただ単純に逆らったり、ルールを無視するよりもよっぽどカッコいいし
よっぽどパンクロックを感じる。
「逆に」なんて接続詞がつくやつじゃなく、普通にパンクロックだ。





後半は今回のライブについてというよりもコロナ禍のセクマシについての感想になってしまった。

最後に今回のライブの感想に戻ると
何度も言ったけどとにかく最高のライブだった。
久しぶりに色んなことを感じた。
興奮、楽しさ、希望、俺も何かやらなきゃみたいな義務感と承認欲求、ハングリー精神、そして今回のツアー、アルバムになぞった表現で言うと、光。

本当に行って良かった。













この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?