CANインベーダーはどうやって製作されているのか? (エンジニア的視点から)
自動車の窃盗にCANインベーダーというものが使われているというニュースを聞くことが増えてきた。
CANとは車載通信規格の一つで、シリアル通信で、エンジン、ABS、メータ、オートマなど、いろいろな機器を一つの信号線で制御することができる。車載通信規格にはLINという似た通信規格もあるが、制御される機器によって、CAN、LINのどちらの通信規格が使われるかは決まっている。
シリアル通信で制御できる最大のメリットは、制御信号用のワイヤーハーネス数を大幅に減らすことができることだ。ワイヤーハーネス数を大幅に減らせることから、重量が軽くなり燃費が良くなる。コストも下がるし、配線スペースも少なくて済む。デミリットはほぼない。
CANでは、エンジンやオートマ、ABS、ドア開錠などが同じ信号線で接続されている。そのため、外部からCANインベーダーを接続してCAN信号ラインに侵入し、エンジン始動の信号を送り込むことができれば、エンジンを動かすことができる。同様に、ドア開錠の信号をCANラインに送るとドアを開錠することもできる。
しかし、エンジンを制御する信号と、オートマ、ドアなどを制御する信号は、設計情報として、どのような信号にするかを決めている。この設計情報は、車の設計情報なので外部には非開示となっている。(開示する必要もない)
CANインベーダーを製作するには、制御信号の設計情報は必須になるが、どうやって入手しているのかが最大の疑問だ。入手方法としては、次の2つを挙げることができる。
①自動車メーカの関係者が、設計情報をリークさせる
②オシロスコープなどを使って信号を解読する
個人的に、①はないとおもっている。モラル低下が著しい昨今でも、設計情報にアクセスできるほどの関係者が、発覚のリスクを冒してまでのメリットがあるとはおもいたくはない。
考えられる可能性は②の場合になる。この場合、実際に車を手に入れて、制御信号を解読する必要がある。エンジンをかけた時に、CANの信号ラインにどのような信号が発生しているかをオシロスコープで観測することで、信号を解読できる。このためには、回路設計エンジニアの関与が必要になる。
信号を解読した後には、その信号をCANインベーダーで発生させるための装置を設計するための回路設計と、CAN信号を作り出すためのプログラム設計が必要になる。ここには回路設計エンジニアと、ソフトウエアエンジニアの関与が必要になる。初心者レベルのエンジニアでは、全く対応できないとおもっている。
日本国内で、CANインベーダーを製作するようなエンジニア(エンジニアくずれ)を組織化するのは想像しにくい。たぶん、海外で組織化されたエンジニアが、CANインベーダーを製作していると推測している。
ターゲットになるのは、人気のある高級車になるだろう。CANインベーダーを製作するにも、それなりの費用がかかっているので、見合った費用を回収する必要がある。
既にCANインベーダーによる被害が確認されているアルファードや、ランドクルーザーなどの高級車を持っている人は、すぐにでも対策を行った方がよいです。
以下に、個人的な対策案を示しますが、有料とさせて頂きます。
期待外れになるかもしれませんが、200円と少額ですので、その際は何卒ご了承の程お願いいたします。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?