[受講レビュー]知財塾 明細書作成ゼミDAY1~3
引き続き、知財塾さんの動画教材をモニター受講中で、ここからはゼミが変わって「明細書作成ゼミ」の受講レビューです!
私が録画教材で受講するゼミは2020年9月開講版で、ファシリテーターは特許業務法人IPXの奥村さんです。
2021年1月開講版のファシリテーターは、IPTech特許業務法人の佐竹さんご予定のようです。
0. 明細書の作成は職人技 - 職人になる方法って? -
私も、化学系ですが明細書の書き方を習ってきた者として思うところに、「明細書を書くって、職人技みたいだなぁー」という感想があります。
じゃ、『職人技』って、どうやって学んだらいいのでしょうか?
パッと思いつくのは、大きく分けて2パターン
① 頑固おやじ型
→「てやんでぇ」そんなもん、見て覚えんかい!
(何も教えないに近く、見て盗めという感じ。
色々言ってはくれるが、じゃあどうしたらいいかは自分で考える。)
② ノウハウ伝承型
→出来得る限り「言語化」して、理論的に説明する。
(実際は、発明も、重要度も、緊急性もバラエティある案件ばかりで、
型はあるようでない。でも何とか標準化し、伝授する取り組み。)
組織やボスによって比率は違えど、①と②の間位で推移して、何とか数年で独り立ちする、というのが王道のパターンなのかな?と推察しています。
(実際のところ、みんなどうなんだろうか・・・。)
で、明細書作成ゼミの奥村さんのファシリテートは、「やってできる限り②でノウハウ伝授するぜ!」という感じがグングン伝わってくる内容だなー、というのがDAY1~DAY3を受講しての感想です。
明細書作成ゼミは、DAY1~DAY12までの全12回で3事例の明細書を書くそうです。DAY1~5で1事例なので、まずその前半を視聴しました。
1事例目は「IT・ソフトウェア系」です。
1. (DAY1) ロールプレイ ~ 発明の抽出
DAY1は、依頼者の奥村さんを相手に、受講者が弁理士役になって発明のヒアリングをするというロールプレイから始まりました。これすごく面白いです!
確かにヒアリングって、「明細書を書く」ためには絶対重要なスキルですが、こういうところを練習できる場って、なかなか無いと思う。
みんな(不安ながら)ぶっつけ本番でデビューして、(弁理士なら頑張って出来る気配を出して)何とか乗り切ってスキル上げてきたところじゃないだろうか・・・。
ヒアリングでは・・・
「他と差別化できる一押しポイントは何か?」
「それって他の誰かに話していませんか?」
「他社もできないことならノウハウにする手もありますよー」
というような質問から、発明を把握していきました。
そしてこのロールプレイがあったおかげで、化学系の私でも他分野ながら非常に発明の内容が理解しやすかったのも良かったなーと感じました。
DAY1の最後には、様々な請求項の記載形式の紹介があり、将来的に英語に翻訳することも考慮した書き方のご説明もありました。
(英語翻訳を考慮した日本語の書き方は、個人的にも凄く学びたい点なので参考になりました!)
※このゼミでは毎回宿題があり、DAY1の宿題は上記で抽出した発明に関する特許請求の範囲の作成でした。
2. (DAY2) 特許請求の範囲の作成
参加者の方が宿題で作成した特許請求の範囲を、1つ1つ紹介しながら「どういうクレームの書き方をしたらよいか」のノウハウ伝授でした。
参加者の方が実際に作成した特許請求の範囲が見られるのは、やっぱり魅力的なところで、ふと立ち止まって『自分のレベル感』を認識できるのが素晴らしいです。
録画版での受講ですが、やっぱり自分でも書いて、内容を比べながら受講する方がグッと参考になると思う。
この日は、「従属項の作り方」や、「この発明の落としどころはどこか」等、感覚的で説明が難しいようなところも、言語化して説明いただいているところなど、「なるほどー」と参考になりました。
例えば下記の点等、化学系の私には未知なこと、化学と違うな―っと思うところも多く、他分野の書き方って学ぶところ多いな!と思います。
「機能的な構成とハードウェアの構成は分けて書く」(実施者を考慮)
「+αの効果を考慮した従属クレームの立て方」
「『入力』や『通知』といった語の使い方留意点」
3. (DAY3) 解決課題と図面
解決課題について、ここも化学系とは大きく違うなーと感じて面白いところでした。(化学は、各構成と効果が必ずしも一対一対応ではないため。)
「従属請求項の構成に基づく効果にならないように上位概念化する」ための具体的な書き方について、参加者の方が書いた内容を紹介しながら、「じゃあどうすればいいか」のご説明です。
ここも分かりにくいけれど大事なポイントなので、複数の参加者の方の例を参照できる点で、「どういう方向性に進めば良いか」感じやすいんじゃないかなーと思いました。
「図面の書き方」に王道的なものがあるんだー!というのも非常に興味深いところでした。確かにシステム系って、よく見る図面ってのがあるなーという感じはしていました。
このあたり『見てるだけ―』で知ってるつもりの内容を、『実際に書いてみよう』と思ったときに生じるハードルの一つで、「書くために」必要な知識を学ぶことの大事さだなーと思いました。
(化学系は構造式等は多いですが、図面には定型がないので・・・。)
4. ちなみに・・・
「明細書がかけるくらいの知識がなければ、明細書のチェックはできない」と企業知財で聞いたことがあり、実際にそう思うシーンも実務で何度かありました。
そういう意味で、このゼミは「明細書の本質的なところまでチェックしたい」というニーズのある方が受講するのも一利あるかもなー、なんてふと思いました。
※以下は、先行技術調査ゼミの受講レビュー
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