「青って200色あんねん」セリアで始めるインク沼入門
最近、書店で取り扱っているムック本や、セリアで取り扱いを始めたガラスペン用インクなど、万年筆やつけペン用インクを使い始めやすくなったと感じる。
しかし、「インクが気になるけど、絵の具と何が違うの」思う方もいるだろう。そこで、液体状のインクならではの魅力をお伝えしたい。
「インクの中に複数色あんねん」インクにハマる理由
インクにハマる理由は人それぞれだが、個人的に感じる魅力は「1個でたくさんの色を感じられる」ということである。
万年筆やつけペン用インクに限らず、サインペンやボールペンのインクは、黒、青、赤…など一見単色に見えるが、実は複数色混ぜて作られているものが多い。つまり、200色は誇張しすぎだが、インクの中に複数色あんねん、ということだ。
(ただ、今回の趣旨とは外れるが、染料の組み合わせは無限大のため、実際のインクが200色以上あるのは間違いない。)
とりわけ、万年筆やつけペン用インクは「染料を使った液体」である性質から、たくさんの色を感じやすいのである。このことについては後ほど説明する。
セリアのガラスペン用インク3本
今回、説明に使うのはセリアのガラスペン用インク。1つ税込110円と圧倒的な安さで、初めてインクを使う方も手に取りやすいだろう。
パッケージ裏面の注意書きに記載されているように、インク補充式の万年筆やボールペン等には使用できない。ガラスペンやつけペンと一緒に使う。
こちらは2023年に発売開始した、「ガラスペン用インク コバルトブルー」。
こちらも2023年に発売開始した、「ガラスペン用インク ターコイズブルー 」。
こちらは2024年に発売された新色のひとつ、「ガラスペン用インク スカイブルー 」。
実際に書いてみた
実際にセリアのガラスペン用インクを使って書いてみた。書く用紙によって発色や濃淡の差がある。
インクを水筆で伸ばしてみる
「1個でたくさんの色を感じられる」を実感できるのが、「インクを水筆で伸ばしてみる」こと。以下のものを用意する。
色を塗る筆記具(今回はセリアのガラスペン)
筆
水を入れたコップ
用紙
用紙は水筆を使ったときに、インクが伸ばしやすいものがよい。メーカー品のノートが手頃で使いやすいだろう。
ガラスペンは寝かせると、面で塗りやすい。
インクが完全に乾く前に、水をつけた筆をインクの上から伸ばしていく。比較するために、水をつけていない部分も残しておくといい。
水筆で伸ばすと、今まで見えていなかった色が現れる。元々の青色のなかに、ピンクや紫が出てきた。シャボン玉のような色合いで幻想的。
写真で見るより、直接見た方がインクの色変化を感じるので、ぜひやってみてほしい。
ペーパークロマトグラフィーをやってみる
インクを水筆でのばしたとき色が分離するのは、インクに含まれる色素の親和性によるもの。
「ペーパークロマトグラフィー」を使うと、さらにインク内に含まれている色素がわかりやすい。
こちらのサイトを参考に、セリアのガラスペン用インクで、ペーパークロマトグラフィーをやってみた。
ちなみに、学童用の絵の具を水筆でのばしても色素が分かれない。理由は、色を分離させない比重の顔料を用いた絵の具を採用しているため。
上の帯状の紙が、ペーパークロマトグラフィーをやってみたもの。下の紙は、そのままインクをキッチンペーパーに垂らしたものである。
ペーパークロマトグラフィーをやってみると、今回使ったインクの場合、似た水色の色素を持ちながら、ピンクやグリーン、パープルなど、他の色素が混ざることで、3色違ったインクができたことがわかる。
また、下の紙のように、そのままインクをキッチンペーパーに垂らした状態でも、一部色が分離している。万年筆やつけペン用インクは「液体」であるため、たくさんのインクを紙に含ませやすい。
例えば、中〜太字のガラスペンやつけペンを使ったときは、たくさんのインクが紙にのる。片付けのときに、ペン先をティッシュで拭う。このとき、紙に吸水されやすい色素が分離する。
そのため、日常的に使う場合でもペーパークロマトグラフィーのような状態になりやすいのだ。
紙にのったインクを「きれいだな」と思ったら沼の始まり
青いインクをつけ、ガラスペンを紙に走らせる。インクの濃淡と、インクの中に感じるピンクや紫のゆらきを感じる。そして、「インクってきれいだな」と思う。
そう感じる方はインクを楽しむ才能がある。無限に広がるインク沼に、ぜひ入水してみてほしい。
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