【2023年1月号】『#Tokyo発シガ行き➡︎』 非常にエルピス的な"いま、もう一度、生まれる "by 月イチがんこエッセイ
単刀直入に書くと、わたしは今、非常にエルピス的な状況に立たされ
ている。エルピス。
――希望、あるいは災い――
一昨年に発生した 安易な希望はたちまち災いとなり、その後災いはまた希望となってわた しの店の存続への細い道をほのかに照らしていた。
しかしそれは大晦日 に大きく「或いは」の方に変容し、わたしは自身のエルピス的な生き様を 貫くため、事業再構築補助金の交付申請の取り下げを決めた。着金予定 の数百万は今年度のイーディの存続にとって大きな存在であったため沈 思黙考と決断を繰り返した年末年始。楽しみにしてた栞とのフィンランド行きも断念せざるを得なくなった。フィンランドは栞のたっての願い で――手前味噌ですが栞は「誰June」の聖地をいつか訪れたいのですと十 年以上も前にお便りをくれてた――栞をその場所へ連れていくのをわた しも凄く楽しみにしていたのでまさに断腸の想い。我々は静かに、しか しとても高揚し二月を楽しみに年末を頑張っていた……
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Does your geometry lack poetry!?
(あなたの幾何学/デザインは詩的さを欠いていない?)
エッセイに綴った際は多少のエルピス的な怒りを持っていた本案件について↑このような言葉と出会った際に、わたしは
「誰かが稼いだお金から支払われた税金を使って何かを成し遂げようという設計は確かに詩的さを欠いていた」と思ったのですが、
これはつまり自身が小さな飲食店経営兼売れてない小説家である場合って、一般職の方々より納税額も小さいわけで、けれども例えばりさことか、たくさん働いてたくさん納めた人たちからのお金が協力金や持続化給付金になったりしていたわけなんだしとか思って↑の考えになったのだけど、
それは違うんじゃないかという議論が家族の中で出たりもしました。
つまり、保育士さんとか、あと妹がやっているような演劇ライターとか、
子育てや文化など実は見えないところで国家を支えている仕事に対して、
「あまりにも報酬が安い」問題とかを置き去りにしては語れないじゃないか。という話。そもそも正しく評価されてなくて必要な賃金も配分されてないんだから。高額納税者だけが社会のために貢献しているわけじゃないよ。だからこそここで税金をそういう「そもそも行き渡ってない」場所に注入しなくてどうするのよ。という話。
自分はすぐ「自分が稼いだわけではない」部分のお金に着目してしまうんだけど(それは経営者で商いをやっているからで、どんな時でも何かを思いつき生き抜いている経営者がいっぱいいるから自分の力が足りなく思うのだけど)例えば去年7月からの毎月40万を超える赤字って、
じゃあ努力不足かというとそうではなかったと思うし、明らかに7波の影響であり自身の怠惰では絶対になく、じゃあコロナだったから致し方ない、
今年から協力金も出ないのも致し方ない、国に店は開けていいと言われてるけど報道の煽りすごいし飲み控えすごいからお客んさんこないのも致し方ない(これもエルピス的なやり方だよ、官僚はとぼけるのがうまいよ)
ならばこれだけきちんと書類揃えて二年係で申請した補助金をこんな形で断念するしかない形は、確かに理不尽で納得しにくい部分はある。
まあでも理不尽と不平等は平等に誰の人生にもやってくるから。
わたしはこれを礎にしてもう絶対同じ過ちをくりかえさない。
それでいいと思っている。
長く絶版になっていたわたしのデビュー作「蝶番」と2012年の渾身作「誰かJuneを知らないか」がこの度、幻冬舎から電子出版されました!わたしの文章面白いなと思ってくれた方はぜひそちらを読んでいただけたら嬉しいの極みでございます!