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2024年、モバイルマーケ業界における重大なトレンド

モバイル業界は著しく変革を遂げる態勢を整えています。あらゆる業務において、目まぐるしく変化し続けるアプリマーケティングの状況に後れを取ることなく対応し続けることは簡単なことではありません。ただし、後れを取らないことはマストです。

常に最新の情報を皆様に提供すべく、当社は業界でも著名な数名のエキスパートの方々とお話する機会を設け、2024年業界を形成することが見込まれるモバイルマーケティングの注目のトレンドについての見解についてお伺いしました。今後一年を特徴付けるトレンドを押さえておきたい方はぜひ、続きをお読みください。

プライバシーは優先すべきものである

これは誰もが心に留めている言葉ですが、プライバシーの関する議論は発展しており、プライバシーは倫理的な観点から尊重されるべきものであるだけでなく、マーケターにとっては戦略的に避けられないものになっています。この見解は、Digital Turbineのグローバルパブリッシャー事業部門のマネージングディレクターYoad Makov氏の見解と一致しています。Makov氏は次のように話しています。

Googleのプライバシーサンドボックス、そしてAppleの追加のプライバシーステップが導入されたことを受け、プライバシー関連の変更を拡大することに力が注がれる状況にモバイル業界は直面しはじめています。業界で調整が行われるこの時期は、ユーザー獲得(UA)キャンペーンの有効性に課題がもたらされる期間となるでしょう。アプリのデベロッパーには、広告収益を最適化する方法を模索し、広告収益への影響を最低限に抑えるため、この課題に先手を打って対応することが求められるでしょう。特にデベロッパーは、ヨーロッパにおいてブランドの需要へのアクセスを最大化し、CMPを活用することで課題に先手を打つことができます。

Yoad Makov氏
Digital Turbine、グローバルパブリッシャー事業部門のマネージングディレクター

PwCによれば、現在消費者の83%が自分の個人情報をもっとコントロールできるようになりたいと考えています。プライバシー関連の各種規制を遵守するため、透明なデータ収集、明確な同意、安全なデータの取り扱いなどプライバシーを中心にした慣行を優先することがマーケターに求められているのは言うまでもありません。AirbridgeのCEOであるRoi Nam氏は、今後新たな進展が多数見られるだろうという見解を示しています。

広告主はiOSのパフォーマンスの可視性と有効性の向上を目指しているため、今後SkAdNetworkを導入する広告主は増えていくでしょう。また、SkAdNetworkではカバーできない可視性に関するギャップを埋めるため、MMMすなわちマーケティングミックスモデリングを使用することを検討し始める広告主も増えるでしょう。大規模な広告ネットワークとSANすなわちセルフアトリビューションネットワークは、ディープリンクでのキャンペーンレベルでの集約されたパラメーターなどターゲティングや最適化を向上するためプライバシー関連の規制を遵守しつつ効果を発揮する新たなシグナルをもたらすでしょう。

Roi Nam氏
Airbridge、CEO

業界の発展に伴い高度なツールの民主化がさらに進む

非常に有名なアプリマーケティングカンファレンスのCEOは、今最も注目されている話題に触れてくださいました。App Growth SummitのCEOを務めるLouis Tanguay氏は、マーケターにとってこの一年は非常に大変な一年になると考えています。

今まさに、成長のプロが結果を天命に任せ思い切って行動する時代に入っています。360度フルファネルに目を向けたインストール前後のグロースマインドセットと戦略を完全に理解し、受け入れているプロは頭ひとつ抜けた存在となり、需要が増えるでしょう。何が機能するのかという考え方や5年前のやり方を変えられないプロは、後れを取ることになるでしょう。Louis

Tanguay氏
App Growth Summit、CEO

その理由についてKooappsのCEO、CK Wang氏は次のように考えています。

業界の成熟とCPMの低下に伴い、ゲームスタジオには自社広告を表示する方法を新たに生み出すことが求められています。例えば、プレイヤーがもっと楽しめる広告、わかりやすい広告を作る必要があります。もちろんこれは、一部のジャンルでは比較的簡単にできることではあるのですが。シミュレーションゲームと放置ゲームでは他のジャンルに比べてRVすなわち動画リワード広告がやりやすいので、この2つのジャンルにはかなり期待しています。

CK Wang氏
Kooapps、CEO

Tenjinの共同創業者であるChristopher Farm氏は、幸いなことにマーケティングツールが民主化され、大手ブランドも小規模ブランドも競争に参入できると話します。

2024年は、これまで大手パブリッシャーが独占的に利用していたツールを小規模モバイルプレッシャーが積極的に利用することで、形勢を一変させるトレンドが生じるでしょう。これまでは手が届かなかったカスタム仕様のBIダッシュボード、パーソナライズされたパフォーマンス指標、LTV予測、LiveOpsキャンペーンなどのツールについて考えてみてください。社内のデータチームの役割を果たすGrowth Fullstackなどの製品は、小規模モバイルパブリッシャーの業務を合理化するため、パブリッシャーはゲームの開発と拡張を優先するための時間と予算を確保できます。これは結果的にゲーム市場においての成長とイノベーションの推進につながります。

Christopher Farm氏
Teijin、CEO

さらにApplike Groupの共同創業者兼マネージングディレクター、Jonas Thiemann氏はこのトレンドがメディエーションにも拡大すると考えています。

モバイルゲームが大手メディエーションプラットフォームに依存後、透明性に加え、市場においてメディエーションプロバイダーの選択肢が増えることが強く求められていることが明らかとなりました。

Jonas Thiemann氏
Applike Group、共同創業者

Smartie Pants'のCEO、Boyana Nikolova氏も同じ見解を示しています。

2024年にモバイルゲームのデベロッパーは、最適化に関してコントロールと透明性を一部取り戻せるため、デベロッパーにとっては広告の収益化が期待できる一年になるでしょう。ここ数年は、業界が入札のみに移行していることに伴い、入札が「手作業不要で高いeCPMを実現する」新たな現実になるという約束と引き換えにツールとコントロールが奪われるケースが散見されていました。ところが入札がそんな新たな現実となることが証明されることはなく、メディエーションプロバイダーと広告ネットワークは、コントロール、透明性、そして柔軟性をデベロッパーの手に戻す「待望の」新しい手動の広告最適化の扉を開き、多くの新しいエキサイティングな機会を生み出すでしょう。

Boyana Nikolova氏
Smartie Pants、CEO

AIに基づく企業への避けられない進化

マーケティング業界でのAIの増加は2024年も引き続き右肩上がりに伸び、業界を大きく変貌させるでしょう。SplitmetricsのCEO、Max Kamenkov氏は、AIは注視すべきトレンドだと考えています。

今後数年以内に、あらゆる企業がAIに基づく企業へと進化を遂げるでしょう。歴史を振り返ると、オンプレミスのソフトウェアソリューションに頼っていた企業はクラウドとSaaSモデルを導入する企業へと進化しています。そして今、次にとるべき論理的ステップとしてAIが存在しています。AIに基づく企業へのシフトは避けられず、たとえその選択肢をとらなくとも、AIの影響を変えることはできません。AIは企業が存在してもしなくても普及していくでしょう。現時点で人間の才能に代わるものとしてAIについて論じるのは時期尚早です。ただし私たちは、私たち人間の能力を格段に強化し、10倍効果的に行動することを可能にするツールとしてAIと向き合う必要があります。

Max Kamenkov氏
Splitmetrics、CEO

Unico StudioのCEO兼共同創業者のErkay Uzun氏は、ゲーム業界におけるAIの導入について次のように指摘しています。

特にAppleのATTをはじめとするプライバシーポリシーの導入など初期の課題に関わらず、業界はAI導入を拡大する態勢を整えているようで、絶えず進化を続けるデジタルランドスケープの中で高い適応性を示しています。AIの強化された機能と高性能ターゲティングメカニズムは、広告ベースのモバイルゲームのマーケターの状況を変化させています。ここ数ヶ月、特に今年度最後の四半期には、ここ数年の水準を大きく上回るCPMの著しい上昇が認められています。このようなポジティブな指標からは、広告に支えられているゲームが2024年に堅調な成長軌道に乗れる可能性があることが示唆されています。

Erkay Uzun氏
Unico Studio、CEO兼共同創業者

膨大な量のデータを分析し、実用的なインサイトを見つけ出し、反復作業を自動化するため、今後マーケターはAI搭載テクノロジーにどんどん頼るようになり、これまでよりも効率的かつ効果的にキャンペーンは管理できるようになるでしょう。

またこれまでよりも高い水準のエンゲージメントとコンバージョンを実現するため、ターゲティング広告を推進し、マーケティング戦略を最適化するAIは、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供するためにも欠かせない役割を担うようになるでしょう。

例えば、Hornetの成長事業部門の責任者Nils Breitmar氏は、AIの台頭に伴い、出会い系アプリは抜本的変化に直面することになると考えています。

人工知能は、これまでよりも正確で有意義なつながりを提供することで、マッチングを変えていくでしょう。出会い系アプリの未来は明るく、カスタマイズされた体験、強力なプライバシー、AIに基づく「魔法」によって、ユーザーがオンラインで出会い、つながりを築く方法が改善されることは間違いないでしょう。

Nils Breitmar氏
Hornet、成長事業部門責任者

刻々と変化する環境の中でチャンスを掴む

Hyper Hippoのユーザー獲得事業部門責任者のMacarena Cáceresは、私たちの現状をまとめてくださいました。

アプリゲーム業界だけでなく、世界中で、この数年誰もが常に変化を強いられてきたことは言うまでもありません。当社のプレイヤーは、常に当社に対してプレイヤーを楽しませるための新しい革新的な方法を見出すことを期待しています。そしてその一方で技術の発展やマクロ経済のシフト、社会での出来事に合わせ、プレイヤーの習慣は常に変化しています。プレイヤーやお客様の習慣、行動、期待を把握すること、そしてゼロパーティデータは、プレイヤーやお客様とコンスタントにコミュニケーションをとり、ロイヤルティを築く鍵となるでしょう。

Macarena Cáceres氏
Hyper Hippo、ユーザー獲得事業部門責任者

今後に目を向け、Wildcard GamesのCOO、Josh Chandley氏は次のように述べています。

2024年に入ると、モバイルゲーム市場は景気回復の波に乗ることになるでしょう。広告予算が急増し、ゲームスタジオが革新的なマーケティング戦術に多額を投資することが期待されます。予算の急増はただの浪費ではなく、多様なプレイヤー基盤を魅了するためデータに基づいた戦略を活用した手堅い資金投入と言えます。今年のモットーは言うまでもなく「速やかに適応し、賢く資金を使い、波に乗る」ことです。

Josh Chandley氏
Wildcard Games、COO

最後にSmadexのCRO、Philip Gontier氏が、どんな心構えで新たな一年を迎えるべきかについて見事にまとめてくださいました。

新年を迎えるにあたり、これらのチャンスを積極的に掴むことを強く推奨します。生産性を向上するためだけでなく、マーケティングのクリエイティビティの境界を押し広げるためにも、ぜひAIツールの力を活用してください。マーケティングミックスを多様化しつつ、ビュースルーアトリビューションなどマルチタッチマーケティングアトリビューションを組み込み、ファーストパーティの信頼できるデータ戦略を戦略的に導入することを推奨しています。また、モバイルユーザー獲得のための取り組みを補完、強化するため、マルチチャネル広告に加え特にCTV広告が今後も引き続き成長すると予測しています。生き残るだけでなく成功するため、常に先頭を走り、積極的に進化してください。

Philip Gontier氏
Smadex、CRO

最後に

新たなテクノロジーとアイデアでターゲットオーディエンスとの関わりを強化することに前向きな企業には、今後大きなチャンスが訪れる可能性があります。この記事で紹介したような新しいトレンドを把握することは必要不可欠です。今回共有させていただいたアイデアを活用し、他の方にも共有していただければと思います。

さらに詳細を知りたい方は、Mobvistaのモバイル分野のエキスパートが予測する2024年着目すべきマーケティングトレンドをぜひご確認ください。また、新年もMintegralのモバイルマーケティングブログで新たなトレンドをチェックするのをお忘れなく。

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