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不審者のような顔して善行を企む夜のコンビニ帰り(なんでもない日に短歌でタイトルをつける日記9/30〜10/6)

好きな歌集から短歌を一首紹介しつつ、毎日の日記を書いています。
週のタイトルは自分で詠んだ短歌になります。
『0.5の男』というAmazonプライムのドラマを観て、詠みました。

9月30日

音楽に景色が肩を寄せてくる夕方にいて抱きとめている

『音楽』岡野大嗣

はじめて入った定食屋でサバ味噌定食を食べた。味はいいが、魚の骨が多い。むかし、魚を食べたときにのどに刺さった骨を「イゲ」と言っていたような気がするが、最近は聞かなくなった。

調べてみると、「イゲ」は九州の方言で「トゲ」の意味らしい。
かつて何度となく痛い目にあった「イゲ」を巧みにかわしつつ完食し、会計に向かうと支払いは現金のみと伝えられ、現金の持ち合わせがなかったため、スマホを預けコンビニに走った。

ATMで現金を引き出し、定食屋に戻り、「ご迷惑をおかけしました」と、会計を済ませ店を後にする。恥ずかしさで心が「イゲ」だらけの午後を仕事に没頭することでのり切り、9月最後の日はさほど残業もなく、ぎりぎり明るさが残る空が見える時間に帰路につく。こんな日は、秋っぽい音楽を聞くのがいいだろう。

10月1日

糊色の空ゆれやまず枝先に水を包んで光る柿の実

『シンジケート』穂村弘

朝、出勤前にセブンイレブンでアイスコーヒーを買った。
うっすらと空に広がる雲が明日以降の雨の準備をゆっくりと着実に進めている。柿といえば秋の果物の代名詞のようだが、柿を最後に美味しく頂いたのは、結構むかしの話だ。

今年最後になるかもしれないアイスコーヒーを飲み干し、出勤する。

2日

狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフィーリア来て秋ははなやぐ

『カミーユ』大森静佳

早朝4時に起床し、チャンピオンズリーグを観戦しようとするも、愛するインテルの試合はまさかの放送なし。昨季はあんなに魅力的なサッカーで話題になったインテルだぞ。抜群の完成度でスクデットを獲ったインテルだぞ。長友も所属したインテルだぞ。そんなことあるのか。

朝から不満が爆発してサブスクを解除し、狂うのは金銭感覚。蜻蛉もオフィーリアも来ないが、スニーカーを買ったことで、ぼくの秋がはなやいでいる。ウォータープルーフなので雨の日も問題ない。このスニーカーで10月は金銭感覚の水際まで、攻めていきたい。

という冗談はほどほどにして、10月は2日目にしてクレジットカードを使ってしまったので、むしろ守りに入らなければならない。ちなみに買ったのは、Onというスイスのスニーカーブランドのクラウド5ウォータープルーフ。
税込20680円也。同ブランドの定番モデルの撥水タイプ。しばらく雨が続くのでがしがし使いたい。

3日

ぎんいろに凍った雨が伸びてきてぎんいろの檻 傘はひらくな

『カミーユ』大森静佳

雨に濡れながら帰宅。

ドラマ『初恋の悪魔』を見始める。

4日

圧迫を感じる朝は月見そば器の中で夜を続ける

『くるぶし』町田康

1時間残業ののち、ジムに向かう。残業の日はだいたいジム通いを諦めて帰路に着くことが多いが、金曜日で今週はあまりジムに行けてなかったということもあり、いつもより遅い時間にジムに入る。

普段使っている19時からの1時間は平日のピークタイムだが、1時間遅くなるだけでけっこう使いやすくなる。当然といえば当然だが。

筋トレ後に資さんうどんに入って、月見そばを食べて帰宅した。

「圧迫を感じる朝」の正確な意味は掴みかねるが、最後を「夜を続ける」で締めくくっているのだから、前日のことに何かしらの気掛かりを残したまま朝食のうどんを食べている、ということだろう。その夜を投影した玉子の黄身。早く、箸を突き刺してグチャグチャにしたい。

5日

古本と亀と子どもと君と僕それだけでいいデラシネの日々

『アボカドの種』俵万智

前日に販売員時代の友人からぼくがリクエストしていた古着が入荷したと連絡を受け、今日も今日とて散財する。

「古本と亀と子どもと君と僕」は、けっこうしっかり根を張っている気がする。ぼくは、だいたい「本と服と自転車だけの日々」だが、わりとけっこうしっかり根を張っている。ま、実家に寄生してるだけだけど(笑)。

今日買ったのは、一目惚れした茶系のスエードのパンツ。それに加えて、古着のネルシャツ×2、スウェット、スラックス。ちょっと買いすぎたけど、ホクホクして帰宅した。

6日

沈黙の石焼き芋をゆっくりと割れば世界にあふれる光

『水上バス浅草行き』岡本真帆

先週に続いて、さつま芋を掘る。
昼は本を2冊買って、ジムに行く。

日中、カラスの群れの近くを自転車で通り過ぎたとき、上空から一瞬カラスがぼくの頭に着地した。

疲れたから、今日は短めに終わる。

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