はじめてのストレングストレーニングプログラム for サイクリスト
はじめに
サイクルロードレースにおいて、運というのはとても大切です。
しかしその”運”が回ってきた・掴みに行く際に、ものにする力がなければ何の意味もありません。
ウエイトトレーニングは、その力の一要素です。
一人でも早く、一人でも多く
ウエイトの重要性と効果を実感していただきたくプログラムを作成いたしました。
個人的に趣味に限らず成長しているのを実感している時が一番楽しい瞬間だと確信しています。
自転車なら峠TTのタイムが縮まった時、レースで優勝・入賞した時。
その喜びは格別です。
ウエイトトレーニングは、その喜びをもう一度体験する後押しをしてくれます。
身体が変わっていくのをぜひ楽しんでください。
サイクリストが筋トレを行う大きなメリット
パワー向上(スプリントや加速の強化)
筋力を高めることで、瞬発的なパワー発揮能力(スプリント力や加速力)が向上します。
特に最大筋力(筋断面積の増加)と神経系の適応が、短時間高強度のパフォーマンスに寄与します。*1
最大ワット、ベースパワーが向上する。ということです。
持久力の向上
「筋力トレーニングは筋肉の収縮効率を改善し、持久力運動のパフォーマンス向上につながる」
例えば同じ300wでもよりエコに、エネルギーを節約しながらパワーが出せるようになるよ。ということです。*1*2
怪我予防
「筋力トレーニングはスポーツ関連のけがを予防する最も効果的な方法である」
ワークキャパシティの向上、つまりたくさんのトレーニングが行えるほどダメージに強くなります。
さらに筋肉量増加、筋力向上により姿勢・筋肉バランスが改善し、怪我につながる動きを補正することが可能ですよ。ということです。*3
プログラム概要
初心者向けのバーベルを使用したフリーウエイトプログラムです。
オフの競技練習と同時に行えるように、頻度は週1回・週2回から選んでいただけます。
今回は特に②筋力・③関節安定性に重きをおいた内容になっています。
ウォーミングアップでは④関節可動性・⑤姿勢に効果的なエクササイズを組み込んでいます。
正しいフォームを獲得するために必要な土台部分も広げながら、トレーニングを継続していただきます。
体幹部に力を入れて、基礎動作を行う”機能的な動き”を、より高い強度で行っていきます。
一部分の筋肉量が増え筋力が上がるだけでは、基礎動作や関節安定性・可動性が追いついていないためにパフォーマンスの向上が鈍化する場合があります。
今回のプログラムではこの3要素を同時に強化するものとなっています。
「筋トレ初心者サイクリストがフィジカルアップするためのプログラム」は
③関節安定性・④関節可動性に重きをおいた自宅トレーニングプログラムです。
こちらから以降していただくとフォーム習得も容易でおすすめです。
対象者
表題の「はじめての」という文言通り、初心者を対象としています。
性別は問いません。
初心者の基準はExRx.netの表にある、「Novice」を超えていない方です。
スクワット1回ギリギリ上げられる重さ(1RM)を基準としています。
ウエイトトレーニングを始めようと考える方に共通して
絶対値パワーが低いという悩みがあります。
そもそもパワーはトルク×ケイデンスで決定されますが、ケイデンスを上げるのには限度があります。
〜120rpmがせいぜい維持し続けられる範囲かと思います。
となるとトルクを上げていくしかありませんが、それには筋力が必要です。
そしてその筋力は筋断面積(筋肉を輪切りにした断面の広さ)にほとんど比例します。*4
つまりある程度の筋肥大は必要となるわけです。
プログラムの目的
”怪我せず継続する”ために、
上記3点を目的としています。
競技練習と並行して行うために”限界まで追い込むこと”を重視していません。
あくまでも競技練習第一。
そのうえで行うウエイトトレーニングというスタンスのプログラムです。
追い込み切らずとも筋肥大・筋力向上効果は十分に享受できます。*5*6*7*8
このプログラムから始めることで、後々おこなう最大筋力向上により特化した
トレーニングをスムーズかつ効果的に行うことが可能です。
このプログラムで鍛えられる筋肉
期間・頻度・時間
3〜4ヶ月、週1〜2回、1回60分程度を想定しています。
週2回の場合は2〜3日空けて行ってください。
プログラムのプライオリティ(優先順位)
先にも記載したように、ウエイトトレーニングによる筋肉量の増加・筋力の向上はペダリング時のパワー向上に大きく寄与します。
しかし、がむしゃらにすれば良いというものではなく、目的・計画性を持って行う必要があります。
今までも散々出てきていますが、「継続」することが最重要です。
その大前提のもと、このプログラムは効果を発揮します。
指定した期間このプログラムを行い、ウエイト自体は通年継続するようにしてくださいませ。
2段目「量・強度・頻度」~5段目「レスト」までをこのプログラム内で指定しています。
*最上段の「スピード」はウエイト中~上級者程度の筋力とフォームの習熟度がないと、フォームの崩れを引き起こし怪我のリスクが高まりますので今回盛り込んでおりません。
ただし、怪我をしないために動作速度を筋肉でコントロールしていただきます。
ストンと力が抜けたように重りを下げ、その反動で上げるのはNGです。
具体的にはウエイトを降ろす際は「3秒」上げる際は「1秒」で行ってください。
擬音で表現すると「イチ・ニ・サン、イーッチ」のようなイメージです。
バウンドさせるように反動でウエイトを動かしたり、爆発的なスピードで上げることはないようにしてください。
プログラムの使い方ガイド(有料範囲)
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