「憎まない」は「悟り」ではなくて「決意」だから、永遠に付き合っていく思いになるんだろなーと思いました。
こんなご時世なので、話題の「僕は君たちを憎まないことにした」を見ました。とにかく世界が憎み合ってる今日このごろだから、個人がこういう映画を見とかないと何も始まらないかなと。
断っておくと、この映画「テロをしてしまう側」の背景や物語はまったく出てきません。あくまでテロを受けた側(それも西欧側)の物語。なので、この映画を見ただけで「テロだめよねー」みたいな気持ちになるのはちょっと違うと思います。
映画的には子役の演技がとんでもよいし、現実と夢の境目がぼやけていくなかで急激に現実にもどされるショットがいいなーとかあるんですが、それ以上にプロットが、とても考えさせるものになってました。まあ、題材が題材なだけに考えないわけにはいけないんですが。
まず動揺したのは、パートナーをテロで亡くしてしまった男性が、かなり早い段階で「僕は君たち(テロリスト)を憎まないことにした」と宣言してしまうことです。
さまざまな苦悩を経て、悟りのように「憎まないことにした」にいたるのかなと思ってました。見る前は。平和のために「憎まない」に到達する男の話なんだと思ってたのです。
でも、彼はずっと憎んでいる、苦しんでいる。憎んだまま「憎まない」と宣言する。その苦しみと圧力がずーっとスクリーンで展開される。そんなとても行き詰まる雰囲気が「悟った」というカタルシスで映画が終わるより、ずっと見ている私に憎まずに生きることの苦しみを伝えてくれました。
そんな意味で、映画としてとても正直に「憎しみ」と「平和」に向き合ってる良作です。
個人的には、こっちも合わせてみると、もっとグッと来ると思う。u-nextで見れる。https://eiga.com/movie/98382/
しかし、この子役のゾーイ・エオリアさん、末恐ろしい演技だったな。超絶かわいいし。
https://www.castforward.de/members/profile/zoe-iorio
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