MMTにおけるインフレーション
これ以上財政出動なんてしたら、ハイパーインフレーションになる。
というわけで、インフレーションは需要と供給。
需要、つまり、商品やサービスへの支払いと供給、生産力・生産量の関係。
つまり、世の中のお金(支払い能力)が生産力・生産量よりも増えると、インフレになって、逆に生産力・生産量のほうが増えるとデフレになる。
だから、今デフレなのは、世の中のお金の量が生産量よりも下まわっているからなんだ。
というのが、ツイッターとかでのインフレデフレに関する理解だとおもうのですが、これを理論的に説明している人ってあまり見かけませんよね。
て、わけで今回はこの理論(インフレの金融観)の解説です。といっても、ティモワーニュ氏のブログ(原文)を見ながら書いてるだけです。、
この理論の出発点になっている方程式があります。
それが、
MV≡PQ
です。
みんながよく言うインフレは需要と供給の関係の変化で発生するというのは、この
MV≡PQに基づいています。
このMV≡PQから価格の理論(インフレの金融観)への発展について、上にリンクを貼ったMMTerのエリック・ティモワーニュのブログに解説があるので、簡単に書きたいと思います。
リッキーさんのブログでも上記リンクの粗訳を公開しているのですが、リッキーさんはあくまで個人学習のために使う範囲にとどめてほしいとのことですので、そのブログのリンクは貼りません。ですので、今回はティモワーニュ氏のブログを見ながら、自分なりになるべく分かりやすく、書いてます。金利のとことかは端折ってます。
MVというのは、Mがマネーサプライ(注意しなくてはならないのはここでいうマネーサプライとはストックではなくフローです、ある一定期間のという意味です)でVが貨幣の流通速度(流通速度というのは、マネーサプライがすべての必要な取引を完了するために循環する速度です。)
つまり、このMVというのは、ある一定期間の金融取引の量です。
PQというのは、Pが平均価格、Qが生産量です。つまり、ある一定期間の財・サービスの取引額です。
つまり、このMV≡PQという方程式自体は、"ある一定期間の財・サービスの取引額はこれらの取引を終えるための金融取引額と同じ"と言っているだけです。
このMV≡PQを価格の理論に発展させるには、各変数についていくつかの仮定を立て、因果関係を議論する必要があります。
貨幣数量説では以下の仮定をたてます。
●Mは定数または、一定のスピードで成長する。中央銀行が貨幣乗数をもって、コントロールしている。
●Vは定数。(支払いの習慣は一定している。各経済主体は貯蓄すべき貯蓄量を蓄えきったので、すべての貨幣を支払いにまわす。)
●Qは完全雇用状態(Qfe)で一定、または一定の(自然)成長率で(gQfe)で成長する。
●供給条件(生産能力)は、需要条件(商品やサービスへの支出)から独立していると想定。
ここから、次の式をえることができます。
P=MV/Qfe 価格水準=ある一定期間の金融取引/生産量
これに成長率gを加えると
gP=gM-gQfe
価格水準の成長率(インフレ率)=マネーサプライの成長率-完全雇用経済下での自然経済成長率
となります(Vは一定なので、成長しません。ですので、成長率の式からVは消えました。)。
つまり、価格の成長率(インフレ率)はマネーサプライの成長率-(自然)経済成長の成長率で決まる。
gQfeの成長より、gMの成長のほうが速ければ、その分インフレになるってことです。(gMをコントロール出来るのは中央銀行)
例えば、gMの成長率が2%で、gQfeの成長率が1%ならば、gP(インフレ率)は1%となるでしょう。
ということは、中央銀行がマネーサプライをコントロールして、gMの成長率をあげると、その分、インフレ率は上がるということです。
さらに、ここに政府がインフレターゲット(gPt)を設定すると、経済の自然成長率を測定することができます。例えば、インフレ目標を2%に設定しましょう。
インフレ目標gPt2%ですから、自然経済成長率gQfeが3%ならば、中央銀行はマネーストックの成長率gMを5%にコントロールすればよいのです。
gPt2%=gM5%-gQfe3%
ほら、インフレ目標なんて中央銀行の手にかかれば簡単でしょう?
つまり、この理論から何を言いたいのかというと、中央銀行がインフレ率をコントロールすることに最も適した存在だということです。
そして、たしかにこの理屈だと、政府が国債を発行して、マネーサプライを凄い勢いで増やすと、凄いインフレになってしまいますね。
て、わけで今から筋トレをするので、今回はここまでです。
次回はこの貨幣数量説への反証です。