国の借金について/お金の基本

というわけで、タイトル通り。

お金の基本に立ち返り、国の借金(国債)について考えようと思う。

ここでいうお金とは、銀行券(紙幣)と貨幣(硬貨)と日本銀行当座預金のことを指す。(紙幣と硬貨を分けているのは、紙幣は日本銀行、貨幣は日本政府と発行主体が違うため。)

もちろん、民間銀行の要求払い預金や企業が発行する手形や小切手もお金のように出回っているけれど、話を要約したいので流通現金(銀行券と貨幣)と日本銀行当座預金(以後日銀当預)に絞って考えていきたい。

まず、最初に現金とはどのようにして発行され、自分たちの手元に来るのかというと、

銀行券に関しては、

独立行政法人国立印刷局が印刷する

日本銀行が製造費用を払って、引き取り、保管。

金融機関が日本銀行に開設している日銀当預から引き出し、日本銀行の窓口で受け取ることで世の中に送り出される。

この時点で初めて、日本銀行券は発券されたことになる。

日本銀行券は日本銀行法第 1 条第 1 項・第 46 条第 1 項に基づき、日本銀行が発券することになっており、発券された日本銀行券は日本銀行の負債として計上される。

日本銀行券は日本銀行の負債である。


ここまででわかるのが、

日本銀行券(紙幣)は日本銀行から発券される。

金融機関は日銀当預から引き出す。

つまり、日銀当預が先になければ日本銀行券を引き出すことはできない。


では、次にこの肝心の日銀当預はどうやって増えるのか?

これは2パターンある。

①銀行券要因

これは、誰かが金融機関に日本銀行券を預け入れることで増える。

②財政要因

例えば、政府が個人年金や公務員の給料を支払うと増える。

政府が民間から何か買い(例えば、道路を作るための労働力と資材など)、その代金を金融機関に振り込むと増える。

つまり、政府が支出すると増える。


①は、預け入れるための日本銀行券が発券されていないとそもそも不可能。

しかし、日本銀行が発券されるには日銀当預が必要。

つまり、日銀当預が日本銀行券より先に増えていなければ、日本銀行券は発券することはできないんだけれど、この日銀当預は

政府が支出しないと増えない


さらに、政府が支出しないと増えない日銀当預と実質的に先に政府が支出をすることで増える日銀当預から引き出されることで、発券される日本銀行券というのは、

国内のほとんどの『決済』で使われている。


日本銀行券は、たとえば我々がコンビニなどでする買い物規模の小口決済によく使われる。

そして、

日銀当預というのは、国内の最大規模の決済である銀行間の決済に使用される。


ここまででわかった人も多いと思うけど、

日本銀行券=日銀当預

つまり、これがお金


そして、さらに日本政府の借金である国債は日銀当預または、現金(日本銀行券または貨幣)でしか買うことができない。

(勘違いしている人がいるかもしれないけど、金融機関の信用創造によって増えた預金では国債を買うことは出来ない。というのも、金融機関の信用創造では日銀当預は増えないから。
金融機関は国債の購入の代行をしているのだけれど、預金者がいくら預金を持っていても、肝心の金融機関が国債を買えるだけの日銀当預を保持していないと、代行することが出来ない。国債どころか、要求払い預金の引き出しに対応することも出来ない事態に陥る。だから、所要準備という法律が存在する。)

前述したように、現金を引き出すには、日銀当預が必要。

国債(政府の借金)を買うためには、政府が先に赤字支出し、国債を買うことのできるだけの日銀当預を先に増やしておかなければならないことになる。

つまり、理論上

政府の借金を買うには、政府の借金が必要。

ということ。

さらに、

政府の借金がないと、民間は商取引の決済ができない


つまり、

政府の借金がないと、民間は何もできない。


ということ。

続く

次は日本銀行の公開市場操作について


参考文献

日本銀行の機能と業務  日本銀行金融研究所


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