国民民主党の「手取りを増やす政策」が今、必要な理由

はじめに、以下の内容はあくまで私個人が考える「手取りを増やす政策」が今、必要な理由です。考え方、捉え方は人それぞれいろいろあるでしょうから、まあ、一つの捉え方という程度で。


「手取りを増やす政策」が今、必要な理由はなんだろうか。国民民主党の掲げた政策であり、今回の衆議院選挙での大躍進の原動力にもなった政策の一つである。

まず単純に手取りが増える方が、大方の人は嬉しいだろう。しかし、本当に今、手取りを増やす政策が必要な理由は、国内の個人消費の底上げを行う必要があるからです。

今のインフレはコストプッシュ型のインフレと呼ばれ、円安による原材料価格の高騰や、エネルギー価格の上昇に伴う各種コストの増加によって物価が上昇しているだけであり、基本的には値上げを行なっている企業にとっても利益となるものではない。大手企業に限って利益が上がっているのは、そのコストを下請け企業に転化しているだけだと考えられる。

つまるところ、インフレに後押しされる形で賃金は上昇しているが、そもそもコストプッシュ型のインフレのままでは企業(主に中小企業)は利益が上がっているわけではないので、継続した賃金の上昇を維持できなくなる。

そのような状況での最低賃金の引き上げは、中小企業の経営を圧迫し、さらに追い打ちをかけるように社会保障費の負担も増加することが決定している。社会保障費は個人のみならず企業も半分負担しており、会社負担分の社会保障費が支払えず、差し止めを食らって倒産している中小企業も増えつつある。

その状態を放置すれば、日本の大半を占める中小企業位おいては賃金を上げていくことが難しくなり、賃金は上がらなくなるだけでなく中小企業においては体力のないところから倒産していくしかない。しかも、コストプッシュ型のインフレのため物価は上昇し続ける。

そうなれば、元々収入の低い低年齢層ほど生活が苦しくなり、少子化もさらに進むことになる。少子化対策として子供のいる家庭には多少の手当があるが、そもそも子供をこれから持とうという世代への手当てがなければ、少子化が加速するのは当然のことだと思われる。

また、これまでの自民党の政策を見る限り、年金や高齢者医療費の負担を支えるためという理由で社会保障費負担や消費税などの増税は行なっていくだろう。

結果、給料は上がらないのに物価や税金、社会保障費の負担ばかり上がっていく社会となる。そうなれば、若者の負担ははさらに大きくなり少子化も加速することとなる。

失われた30年と呼ばれ、賃金がほとんど上がらず税金や社会保障費の負担は1.5倍(30%程度から48%程度まで上昇)、消費税も10%(8%)まで上昇し手取りは増えないか、多少減り続けてもなんとかなっていたのは物価もほとんど上がっていなかったからである。

さて、本題にもどるとすると国民民主党の「手取りを増やす政策」が今、必要な理由は個人消費を底上げするためと書きましたが、消費を増やすことでコストプッシュ型のインフレから、消費主導のインフレ(需要主導型インフレ)に変わっていく必要があるからです。

消費主導のインフレとは、消費(需要)が供給を上回る事に伴って物価も上昇していくインフレです。このようなインフレでは企業も適切に利益を上げることができます。そして企業がその利益を社員や下請会社などに適切に還元することで、継続的な賃金の上昇を行うことができるようになる。

もちろん、企業が適切に利益を還元することが条件になっています。特に大手企業側もコストカットが正義というマインドを変えていかないと、企業そのものの衰退も招くのではないでしょうか。

ようするに、「無い袖は触れない」と言うことです。消費に回すお金がなければ個人消費は当然、少なくなっていく。これを国全体で見れば国内の消費が縮小、つまり国内での企業(特に中小企業)の業績も悪化、大手企業にしても下請けに価格転化するにも限界もある。

自動車業界ではその限界を迎えているからこそ、相次いで不正が発覚している。つまり、不正に走らないとなんともならない状態に追い込まれていると言う見方もできる。

国民民主党の「手取りを増やす政策」が、多くの国民に支持されているのは多くの国民が、これらのことを実際に肌で感じ取っているからでしょう。

そういう意味では未だ自民党はそういった国民の感覚とはかなり乖離した認識しか持っていないのだろうと思われる。政治と金の問題であれだけ叩かれたにも関わらず、相変わらずどこを向いて政治を行っているのだろうか。

自民党は国民民主党の減税政策に対して、さっそく財務省と一緒になってネガティブキャンペーンを開始している。しかも、国民民主党と政策において協議していくことで合意したと言った傍で。

財源が必要なことは確かだ、国民民主党も掲げている減税政策を全て一気に進められるとは考えていないことは、説明の端々から見受けられ人気取りだけのために無理な政策を掲げているのでは無いことも、何度も説明している。

必要なのは財源論ではなく、優先順位の問題だと思われる。本当に必要なら既存の予算を組み替えてでも手当する必要があるのでは無いだろうか。今、長く続いたデフレから脱却できるかどうかの転換点に差し掛かっている。ここで転換できなければ、日本の経済は沈み続けていくこととなるのではないでしょうか。

既に他の先進国と言われる国家と比べても日本の物価、賃金はかなり低い水準になっている。世界的にインフレが加速する中で、日本だけインフレを低く抑えられたとして物価も賃金も再び停滞しつづければどうなるか、諸外国の物価と日本の物価の差はどんどん大きくなっていく。つまり、相対的に日本の資産は小さくなっていくということである。

経済の発展著しい新興国も存在する中、日本の人口も経済規模も縮小し続ければ、そう遠くない将来、その立場は逆転するだろう。資源のない日本は観光と低コストな労働力を供給するだけの存在に。日本人はいつまで経済大国、先進国という幻想に浸っていられるだろうか。


2024年11月1日


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