叩き割る前に【3／4】

「イラストを仕事にしていきたい」と話した時、夫はすぐに賛成した。
そして「まずイラストレーターになる為のロードマップを作ろう。何から準備する？」と、あっという間に私の夢を「目標」に変えてくれた。

今、私の手元に先日買ったトレーシングペーパーと、『ソッカの美術解剖学ノート』という、非常に分厚い本がある。
本屋でその存在を知った時から気になっていたものの、ビニールが巻かれ中身が見えないうえに、6700円という本体価格。
おいそれと手が出せず、装丁を眺めるだけで終わっていた本だ。

石橋を叩いて渡り、時には叩き割って前に進めずにいる私の性格を夫はよく理解している。
本屋で最近気になっている本だと伝えたら、私が石橋を叩き割る前にさっさとレジに持って行ってしまった。

本をちゃんと読む事が出来たのは、娘の食事から寝かしつけまで終わった後。
少しだけ緊張しながら、全体を覆うビニールを解いた。
初めて表紙をめくった時の感想はーーーまた別の機会に。

＊書いた人＊　モブキャラ夫婦の妻・ユミ