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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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フジコヘミングさんの映画を観てきました。

今日はこちらの映画を観てきました。

映画の感想と、私の思い出について書きたいと思います。

私のピアノ歴

私はクラシックのピアノを4歳から習っていて、絶対音感があります。小学校高学年まで、絶対音感は誰にでもあると思っていました。そのくらい音楽は私の頭の中には当たり前にあって、今でも常に何かしらの音楽が頭に流れてそれに合わせて指が動きます。

中学生になる頃、進路を音大にするか決めなくてはならず、私は誰かにピアノを教えたいとは思わなかったので、ピアニストを目指すことにしました。

しかしピアノの先生から、プロのピアニストになるにはそれなりの音楽の家系じゃないとダメだとか、グランドピアノを何台も所有できる金落ちじゃないとなれないとか、それとなくピアニストの道を断念する方向に持っていくお話がありました。

私にはそんな話はどうでも良くスルーしていましたが、ピアニストを目指すことをやめようと思ったのは、嫌いな曲も弾かなくてはならない、興味がない音楽の分野も勉強しなくてはならないと言うことでした。これに直面した時、私はそれでもピアニストになりたいと思えなくなり、音大を目指すことをやめました。

そんな私はその後、理系女子になっていくのですが、ピアノは趣味として続けます。社会人からジャズピアノを習い始め、ビッグバンドに参加したり、自分でピアノトリオのバンドを組んでライブコンサートを開いたりしていました。

結婚式で弾いたのを最後に、音楽活動を続けることが難しくなり現在は休止。娘をピアノ教室に連れていくだけの人になっています。

無理矢理母親に連れられていったフジコヘミングのコンサート

もともと他人の演奏に興味がなかった私は、特に好きなクラシックのピアニストはいませんでした。母親からフジコヘミングの素晴らしさを教えてもらい、実際にCDで聴いてみると結構間違って弾いているところがあり、そこだけが気になって正直好きになれませんでした。

そんな私ですが、ある日突然母親にフジコヘミングのコンサートに連れられていくことになります。特に興味がなかったので渋々ついて行ったのを覚えています。

それは2012年に開催された、昭和女子大学人見記念講堂でのコンサートでした。

開始5秒で涙が溢れたコンサート

舞台の上にピアノがたった一台あり、そこにご本人が座っていました。
誰もが知っているショパンの曲(どの曲だか忘れてしまった)を弾き始めると目から涙がポロポロと溢れ出しました。心の底から湧き出るように。

こんな演奏があったのか。

フジコヘミングさんの魂が心にじわじわと突き刺さるような。色々な感情が溢れる、初めての感覚でした。

すっかり影響されてしまった私は、曲を弾くときに、自分がこの曲を今ここで弾く意味、のような深いことを考えるようになっていきました。

映画を観た感想

※ここからはネタバレを含みます。

一番印象に残ったシーンは「3回弾くところを4回弾いていた、と間違いを指摘する人もいるけれど、私にはそんなことはどうでもいい。大事なのはそこに魂が入っているかどうか」というところ。
とても共感したし、私もこうした考えを大切にしていきたいと思いました。

母親にとても厳しく育てられたことで有名ですが、映画の中では母親への愛が描かれていて、現代的な叱らない子育てについて考えされられる場面もありました。

無理矢理フジコヘミングのコンサートに連れて行ってくれた母にはとても感謝しています。

私も、これは、と思ったことは、例えその時の子供の意思に反したとしても、きちんと伝えたり、体験させてあげたいと思いました。映画ではたくさんのフジコヘミングのピアノが流れていましたが、全ては過去の演奏になり、スピーカーを通してしか聴くことができないものになってしまった。コンサートで生のフジコヘミングのクオリティに触れることができた私はとても幸運だったと思いました。

今はなかなかピアノを弾く時間がないけれど、子育てが落ち着いた頃に、その時の自分らしい弾き方で、演奏をしたいと思います。


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