『サスペリア』観たよ 【映画感想】
遅ればせながら、先週末のレイトショーにて鑑賞。
これはヤバい。衝撃に次ぐ衝撃。映画芸術の爆発そして爆発。
前作『君の名前で僕を呼んで』で掴んだ日本人のハートを握りつぶすに飽き足らず、捻り潰して放り投げんばかりにやり切った。ホラー史に燦然と輝く『古典』をここまで自分色に染め上げ大成功してるんだから、恐れ入った。
クライマックスの“あの儀式”は末代まで語り継ぐべきハイライト。
そして不覚にも涙を誘うラストのシークエンス……恐怖、恍惚、感動.etc
心の琴線を様々な角度で刺激されまくり、終わった後は「俺は今、とんでもないモノを観た…」という確かな余韻と程よい疲労に包まれた。
さてさて、
美しい画作り、小気味のいいカット割り、などなど
この監督のいいところを上げれば通り一遍挙げられるが、「歴史と政治に対してきちんと目配せをしている」ってところが個人的にはすごく好きだ。
なんていうか「信用に値する」って感じ(何様)。
ベルリンの壁、過激左派、女性の経済自立の困難。
ルカ版『サスペリア』にはオリジナルが公開された当時(1977年)のドイツ社会の空気がふんだんに盛り込まれている。
「そんな時代に怪異(魔女)が生まれたとして、それはどういう背景のもと生まれたのか」
物語の核となるこの部分について、ある種ロジカルなまでにシチュエーションは構築されている。
アーティスト(表現者)と歴史(社会)の距離感は、とかくセンシティブになりがちだ。ポリティカルな発言をすることが殊更ネガティブな響きを持つ日本からすれば、ルカ版『サスペリア』はある種異端に映るほどに、歴史と社会、そして人々の生活との接点を強く意識させる(断じてプロパガンダ的とかそういうことじゃない)
そしてこういうスタンスこそオリジナルのダリオ・アルジェントが激怒した部分である(得体の知れなさは激減だもん)と同時に、
個人的に「この監督、わかっとるやないかい」と感じる所以(だから何様)。
あの有名な「決して一人では見ないでください」というコピーに偽りナシ。
むしろ皆様お誘い合わせの上、一人でも多くの人に見てほしい
怒濤の映画的カタルシスに恐れ、おののき、最後に感動すべし。
志の高さを感じる赤いパンフレット
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