藻塩
「シガーキス」をテーマに書いた短編をアンソロジーという形でまとめたものです。 暇つぶしにでも読んで頂ければ、幸いです。
どうにかして、自分の遅筆を改善したいと考えた結果生まれた産物です。大体、4時間位で書きました。 一応、”ナースロボ_タイプt”の二次創作モドキとなっています。 023はロボットである。”ナースロボ タイプT型”の23番目。0と1の脳内配列と外部からの刺激をひたすらにサンプルとして変換し続ける自己成長型AIが彼女を彼女たらしめていた。 同型機と共に、定められた業務を繰り返し繰り返し実行するだけの日々。 患者[19809]の食事の手伝い、患者[24779]
時刻はとっくの前に24時を回った。部屋で音を発するものは、俺が叩いているキーボードと、不規則に明滅する蛍光灯だけだ。 「一ノ瀬。進捗は?」 突然、背後から声を掛けられる。 「あ、志村さん。お疲れ様です」 彼女は気だるげな視線をこちらに投げ、缶コーヒーを一本こちらに差し出していた。 「ありがとうございます。進捗は…良くはないですかねぇ」 コーヒーを受け取り、言葉を返す。 「締め切りは割と先だが、早めに出せるようにな」 「そうですねぇ」 俺が勤
昼休憩になると、俺は校舎の屋上に行く。貴重な休み時間をあの窮屈な生徒指導室で過ごすのは、正直ごめんだ。 抜けるような青空の下、屋上の柵に寄りかかりながら煙草を吹かす。立ち上っていく煙が、空に浮かぶ巨大な入道雲に吞み込まれていくように見えた。 「あ。センセ~!やっとみつけた~」 立ち入り禁止で、俺以外に誰もいない筈の屋上に、なんとも生意気な声が響く 「も~。何処にもいないから探しましたよう」 「…随分と、元気な声だな。これは課題をやってきたに違いない。見せてみろ」