詩 天使

いつも、あなたになりたい。
確かにあなたに救われて
同じくらい殺されていること。
何かを愛するとか
愛だと口にするとか
愛さないと言うこととか、
顔も知らない
名前も知らない
あなたの美しさだけを知っていて、
決してあなたになれない
自分のことも知っていて、
だから、全ての言葉が
ただあなたにだけ微笑む世界を
少し憎んでいたりします。
いつも美しいのは
あなたの言葉だけで
あなたの思想だけで
あなたの世界だけだと
思い込んでしまうけれど、
きっとそんなこともない。
わたしは知っている、と
また思い込んだまま
言葉を探して生きてしまう。
あなたになりたくて
なれないから
あなたが好きで
こんな苦しみさえも
あなたが美しいことの
その影なんだろうと思います。
どうか、そのままで。
願うまでもなく
命を全て費やしたって
わたしには遂に届かない
そんな天使でいてください。