ブランディングのデザイナーがUI/UXを始めた話
こんにちは!
Sansanのプロダクトデザイナーになって5ヶ月ほど経ちました、山本です。
最近よく思い出す物語の一節があるのですが、子どもの頃に読んだ小説で、主人公の少年に対してこのようなことを言った人がいました。
うろ覚えなので言葉はだいぶ違うと思いますが、何をするにしてもはじめは小さな一歩なんですよね。突然大きな山が現れたり、もうすぐ山頂だと思っていたら全然違うところにいたり・・・・・・そんな毎日ですが。
冒頭から急に真面目な話をしてしまいましたが、この本のタイトルは覚えていないので、もし知っている方がいたら教えてください。笑
さて、本題に入ります!
今回このnoteを書いているのは「ブランドエクスペリエンスデザイナーとユーザーエクスペリエンスデザイナーの違うところを聞きたい」という声をいただいたのがきっかけです。(私は2016年10月〜2020年8月まで、Sansanでブランディングのデザインに携わっていました)
ところが申し上げにくいことに、そう大きくは違わないというのが今の私の結論です。数ヶ月考えてたんですけど、難しいテーマでした。ここからはなぜその結論に至ったのかを書いていきますね。
何が共通してたの?って話
私は部署異動という形でフィールドが変わりましたが、基本的に向き合うべきものに対しての考え方は変わっていないように思います。求められるスキルセットに違いはあれど、それは一旦置いておくとして。
尊敬する上司が私にくれた言葉の一つに
というのがあります。(師の教えはたくさんあるのでまた別の機会にご紹介したいです)
ブランドエクスペリエンスにせよ、ユーザーエクスペリエンスにせよ、”体験”を設計する立場としてホスピタリティが最も重要だというのは理解しやすいのではないでしょうか。
”体験”で括るとかなり広範囲の話になってしまいますが、そういう大雑把な括りで考えているがゆえのジョブチェンジだったのかもしれないと振り返ります。部署というフィールドが変わったことで、全く違うことをしているという意識はないのです。今までやってきたことの中にもヒントがあるはずで、広い意味で、変わらず、コミュニケーションをデザインする役割だと認識しています。
自分の思考の変化はある
一方で、自分の思考に変化を感じていることもあります。
UI/UXに携わるようになって、内省として”疑う”という作業が増えたのです。
それは本当に便利なのか?
ユーザはその行動を起こすか?
これらの問いは決してネガティブなものではなく、プロダクトをあるべき姿にするために必要なものです。ある機能を世に出した後でも、その”疑う”作業は終わることなく、何度も疑いながらプロダクト全体をより研ぎ澄ましていくイメージを持っています。
ブランディングの方の話をすると、内省する中で”信じる”という工程がいくつもありました。
ブランドを語るときというのは、自分たちが信じる世界を語っています。何を大切に思って、何を成し遂げようとしているか。「信じるもの」という一つの芯があって、そのブランドが成り立っていると私は考えています。
なので、ブランドを作る側はその信念を捉えていないと何も作れません。そういう立場にあって、自然と”信じる”思考になっていました。
”疑う”と”信じる”という言葉を出しました。
この二つの言葉は反対の意味を持ちますが、ブラントエクスペリエンスとユーザーエクスペリエンスで反対のことをしていると言いたいわけではありません。むしろ両者が近い距離感で影響しあっているからこそ、一塊となってより強固なブランド、サービスになっていくものだと思っています。
例えば、企業のブランドに惹かれているから「A社のものなら期待できそうだ」と思ってサービスを使ってみる人がいたとして、それはブランドの力でサービスの価値を上げています。また、サービスの体験が素晴らしく「こんな体験を生み出すA社は好感が持てるぞ」と思った人がいるとします。それは良いユーザー体験を積み上げていくことでブランディングに寄与していることになりますね。
なので、ブランディングの視点でプロダクトに貢献できることもあるし、その逆もあると言えます。こういう意味で明らかに”体験”として切り離せない二つなのです。
私個人の話に戻すと、これまでブランディングのデザイナーとして信じる世界を描いて見せていたところがあり、プロダクトデザイナーとしては自分の仮説を疑い、ユーザーの現実を理解することに課題を感じています。
この「ブランドの視点」と「ユーザーの視点」、二つを行き来できるようになることが目下の課題というところです。
結局のところ、どうなの?
ここまで書いてみて、「ブランドエクスペリエンスデザイナー」「ユーザーエクスペリエンスデザイナー」という言葉にはっきりと違いを見出すためには、それぞれ相応の専門性を高めていく必要があると感じました。
私がまだその立場に及ばないので難しいテーマだったのですが、”体験”の設計という大きな括りにおいては、ブランドの視点、ユーザーの視点それぞれ持っていることがプラスに働くこともあると思っています。今回はその二つの視点の違いを「なるほどね」と思っていただけたら幸いです。
「どこから何を見るか」というのは、何に責任を持つかという役割の話にも通じると思います。でもどちらもデザイナーであることに変わりはありません。はじめの言葉に戻ってしまいますが、いずれにせよホスピタリティをもってコミュニケーションをデザインするということに尽きます。
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