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食材・料理・連動に明け暮れたjubeat saucerの昔話

10月30日、ふと仕事の休憩時間にX(旧:twitter)を見ていると何故か複数名の方々が食材を集めて、料理を作って、解禁という、どこか遠い昔に聞いたことがあるような話をしていた。それは、まぎれもなく「jubeat saucer」の中のイベント、「bistro saucer」の話であった。

なんで今更、10年以上前の、あの、私にとっては濃厚すぎるひとときを過ごしたあの解禁イベントについての話題がでているのだろうか。辿ってみると、なるほど、新作ポップンで始まるイベントに準えて話題が出ていたようだと気づいた。

ゲストに対して、集めた食材で料理を作って楽曲解禁。ふーん、なるほど、「bistro saucer」じゃねーか!!!!!!!

ってことで、あふれ出した10年以上前の記憶が脳髄からはみ出してしまったので、今回は「jubeat saucer」および「bistro saucer」についての狂気の検証記録の昔話を書きなぐっていくよ!多分今回の記録は、人によっては「jubeat saucer」の貴重な生データと感じる人もいるかもしれないよ!!


内容があまりに狂気過ぎて20,000文字以上書いてしまったよ!目次も用意してあるからゆっくりしていってね!!!!


○「jubeat saucer」について

【jubeat saucer】
稼働日:2012年9月25日
稼働終了:2014年3月3日

あぁ…もう稼働から12年も経ってるんすねぇ…。

<スミス氏>

今ではjubeatの顔ともいえるスミス氏が初登場したのがこのjubeat saucer。そして、このスミス氏をはじめとした「グルメイツ」という人たちに、集めた食材で料理を作り提供することで楽曲を解禁できるイベントこそが、「bistro saucer」でした。

また、当時は「Cafe de Tran」「RUNRUNマラソン!」「フライングキャッチ!」「トリプルジャーニー」そして「BEMANI学園」や「BEMANIスタジアム」なども含め、連動イベントには必ずjubeatが含まれると言っても過言ではないほどに、BEMANIの中心にjubeat saucerが存在していた記憶があります。細かい部分をあげればボルテ連動とかボカロ系イベントもありましたねぇ…。

連動イベントが特に印象的だったと答える人が多そうなこのシリーズですが、jubeat saucer内の解禁イベントである「bistro saucer」が印象的だったと答える人も、実は割と少なくはないのでは?と思います。

○「bistro saucer」とは?

<グルメイツに料理を振舞う画面>

さて、このイベントは平たく言えば「プレイして集めた食材を使って料理を作り、グルメイツを腹いっぱいにさせよう」という内容でした。


楽曲をクリアした時に手に入った食材を使って料理を作り、提供した食事に満足してもらえれば、お代替わりに自分の持っている曲を差しだしてくれる。それを受け取って楽曲解禁、という仕組みなわけですね。

で、bistro saucerに来店するそれぞれのグルメイツ達は料理に対して好き嫌いが存在するというのが大きなポイントでした。


例えば、スミス氏は基本的には海鮮料理を好む傾向にありました。
全国津々浦々に存在するスミスファンの方々は、彼が「真鯛のポワレ」や「サーモンマリネ」が好きだという情報を是非とも頭に叩き込んでおくべきだと思います。あ、あと確か「カルボナーラ」も好きだったな。

ちなみに嫌いなものは特にないため、原始的な骨付き肉でも無表情で平らげる豪傑な一面もある男です。


他にも個性的なグルメイツが沢山いらっしゃいましてね。

スミス氏となんとなーく仲が良さそうな気がするこの「カオリさん」は.「ローストビーフ~ピュレ添え~」や「ボンゴレロッソ」が好きでした。
高級レストランでローストビーフや真鯛のポワレを囲んで食べる二人とか、なんか映えるものを感じませんか?あるいはオシャレなパスタ店でカルボナーラとボンゴレロッソを食べる二人も悪くない。

ちなみに嫌いなものは特にないため、原始的な豚の丸焼きでも無表情で喰らう豪胆な一面もある女です。

正式名称が分からないこのふくよかな男性は、見た目の通り肉料理全般が好物でした。なにせ着用している可愛らしいおべべにもお肉の絵が描いてあるくらいなのですから、その肉に対する情熱と愛情には頭が下がる限りです。

ちなみに「ピッツァマルゲリータ」を差し上げると「野菜料理」と見なしてマズそうに食ってました。なんでや、お前ピザ好きそうやろがい!(偏見)

で、明らかに他とは別タッチで描かれている原始人ニキは、当然のように原始料理を好んでましたね。さっき言ってた豚の丸焼きとか、骨付き肉とかがソレでした。

さて、この「bistro saucer」は、「グルメイツに合わせた料理を作り提供する」ことによって解禁効率があがるというシステムになっていました。
好きなものを食べさせると倍くらいの満足度の上昇につながるし、逆に苦手な物を食べさせると満足度が半減するため、解禁効率を考えるのならば意外と馬鹿にはできない仕様となっていたわけです。

ともすれば、必要になってくる情報は
「どの曲をやればどの食材がでるのか」
「どの食材でどのような料理ができるのか」
「どの料理がグルメイツの好物なのか」

という3点となってきます。

さぁ、ここで問題です。

この「食材」「料理」「好物」の情報は、最初から調べる事ができるような情報公開などはされていたのでしょうか。いいえ、なんと稼働時点では『3点の要素<全て>が完全にノーヒント』でした。

○1.食材検証

・A.Wiki情報の信ぴょう性の低さ

もちろん、あくまで公式からの情報がノーヒントというだけであり、bemani wiki側にはちらほらと有志による情報が入ってきてはいました。なので、それらを参考にしていけばそこまで解禁に苦戦する事はないだろうと安堵してたんですよね。

ただ、やはり最初の1週間は情報がかなり少なく、システムをうまく使った効率的な解禁を実現するにはまだ土台が不十分であった記憶があります。まぁしかし、当時のノリにノってるjubeatの人口を考えれば、いずれすぐに有志による情報は集まり、解禁のイロハ情報が整うのも時間の問題だろうと高を括っていました。

しかしそんなwikiに対する幻想は、稼働2週間目で少しずつ綻びを帯びていくことになります。


<食材:全10種類>

基本となる「食材」は、上記の「なす・トマト・玉ねぎ・きのこ・牛肉・豚肉・鶏肉・魚・貝・チーズ」の10種類となっていました。

で、楽曲によってこの10種類のどれかが出やすくなってるよ、という設定になっていたわけですが、これは逆説的にはつまり「出やすい食材だけではなく、他の食材が出てくる可能性もあるよ」ということであり、「出てくる食材は1つに固定というわけではないよ」という事も意味しました。

この仕様がシステム全体に非常に大きな問題を生んだわけです。

まずこの時点で「狙った食材が手に入るかは運が絡む=料理は狙ったものを作れるわけではない」という点が確定することは分かっていただけると思います。

そして複数回クレジットを重ねるうちに「そもそもどの曲で何が出やすいか1回2回やっただけじゃ分からない=現時点ではどれくらいの確率で出やすい食材が出てくるのかもわからない」という事も分かってしまったのです。

ということは、「誰に何を食べさせればいいのか、そもそもとして調べるのが困難を極める」という環境である事に気づき始めました。

…あれ?もしかしてこの解禁システム、すっごく難しくない??

そのせいか、wiki情報については最初はかなり「間違いの多い情報」が乱立していました。

例えば、【「FLOWER」をプレイすればトマトが出やすい】という情報が最初はwikiに掲載されていたんですけど、自分がやった時にはむしろ魚ばかり出てきてしまい、逆にトマトは10回プレイしても1回しか確認できなかったりしました。

他にも掲載されている曲をプレイしても○○が出ないといった類のコメントはwiki内でも乱立しており、掲載情報の検証不足を指摘する声もかなり目立っていた記憶があります。

このように『確率が不明の為、各々の主観で断定して掲載した情報が乱立する』という、今までのwikiでは考えられない事態が当時は発生していました。

・B.情報整理と修正依頼

このような確率が絡む情報は、断定することが非常に難しい。
公式からも%的な情報が発信されてなかった以上、ほんの数回プレイしただけでは「確定」とすることができないわけである。

このwikiの状態を勝手に憂いでしまった自分は、とりあえず掲載されている情報をかたっぱしから「再検証」することとしました。
とりあえず差し当たりとして、改めて「FLOWER」を計28回程度プレイして検証したところ、以下のような結果となったのです。


<FLOWER食材検証結果>

圧倒的に、魚が出ているのがわかります。『FLOWER』から手に入る魚なのだから、これはきっと𩸽(ホッケ)に違いない(?)。

28回プレイ中、魚は15回出ているので、53%くらいの出現となった。これは正直思ったよりもあまり確率が高くない印象である。
そして、それ以外の食材も割とまばらに出ているのが特徴的だ。強いて言えば2番目には鶏が出やすいかも?という雰囲気だが、確率的には10%程度しかない。

…あれ?他にも食材出現の条件になりそうな要素はあるのだろうか?実は、この段階ではそれすらよくわかっていなかったんですよね。

自分が検証のデータを集める際、最初のほうは「譜面固定・クリアランク固定・出来る限りマッチングしておく」事を意識して、リザルトの内容にブレがでないように神経を注ぎました。
(※…当時は同一曲でなければマッチングできませんでした)

が、他の曲の検証も進めていくうちに譜面・難易度・クリアランク・マッチング等の要素は食材の出現率には関係がないことも、なんとなく分かってきました。

私の相方のプレイ結果や同じゲーセンの仲間の人たちのプレイ結果もデータ収集させてもらい分析をしてみた結果、純粋に「楽曲」のみが出やすい食材の種類を決めるキーとなっていると確信できるデータがそろっていったのです。当時の「データ」に対する執念、我ながら結構気持ち悪いな。

さらに検証を進めていった結果、概ね「少なくとも20回はデータを取らないと出やすい食材は確定できない」という事が分かりました。そのついでに10曲ばかし「特定の食材がでやすい曲」を確定させることにも成功しました。

この検証結果を示し、wikiには情報の修正を依頼し、さらに自分たちが検証に携わっていないデータは<要検証>と付け加えてもらう事にしてもらいました。

これでヨシ!

データ確定方法に関する手法や根拠も情報を流したし、これでいつか全曲の食材データは揃うだろう。当時のjubeat人口なら、きっと根拠がはっきりするだけでデータがすぐ揃っていくはずだ。そう確信していました。

しかし、とうとう稼働から1か月以上が経過し、新しい楽曲解禁が追加されても、私が集めた検証結果以上のデータが揃うことはなかったのです。

「食材を狙って出そうとしている人たち」は、なんと掲載されている楽曲以外はまったく触らないという現象が起き始めていた。つまり、他の曲の検証が一切行われる事がなかったのである。

そしてさらに、グルメイツの好物や出来る料理のデータも、それらほとんどの更新が止まってしまったのである。

これは、一体どういう事なのでしょうか。

・C.食材検証開始に至るまで

当時は弐寺でも検証がバンバン行われるほど、謎解きやデータの解明に対しての音ゲーマーの熱は半端ではなかった記憶があるんですよね。
それにも関わらず、人口が多いはずのjubeatのwikiがこのような硬直状態を招いてしまった。これは何故だったのでしょうか。

実は理由には、何点か心当たりがあったんですよ。

1つは、「イチイチ料理の種類にこだわる必要がない」という点。

実は、一部のグルメイツ以外にはほとんど「苦手な物」はないという設定になっていたので、「好きな物」が分からなくても出来た料理を適当に与えればとりあえず解禁は進むという事実が存在してました。

<苦手な料理があるグルメイツ>

苦手なものが存在するのは、このふくよかな肉付きの男性、さかなクン(仮称)、キャロットマン(仮称)のみでした。

しかしそれでも、グルメイツが複数人いる内は出来た料理次第で提供のコントロールが出来るわけだし、こいつらに関しては見た目通りのものを与えればそれが好物なのだろうという事も分かりやすかったので、検証の必要性はかなり薄かったのです。

さらに、実はPASELIを使えばグルメイツそのものをチェンジできるという機能もあったので、最悪安定した解禁を目指すならそれを使ってグルメイツを操作してもよかったんですよね。

どの曲をやれば食材がでるかわからない。その食材も狙えば必ず出るわけではない。食材でどんな料理が出来るかもわからない。そして、誰が何を好物としているのかも分からない。

そう、もう一度重要なことなので言いますけれども「bistro saucer」というイベントは、当時はあまりにも取っ掛かりとなる情報が不足していたんです。なので、恐らくほとんどの人が「ま、とりあえずやればいいっしょ」という感覚でプレイを重ねていたのではないでしょうか。
ともすれば、その空気感なら「同じ曲を何回も繰り返して検証する集計作業なんて誰もやりたがらない」という事に繋がってしまうわけです。


<仕込み中の表示と冷蔵庫>

そして2つ目は、「冷蔵庫」という存在です。
シーズン内で全ての楽曲を解禁済みとなったプレイヤーは、次回シーズンが開始になるまでの待期期間は「冷蔵庫」に作った料理を入れておくことができる、いわゆる仕込みボーナス補充期間に突入する事ができました。

ただ普通、こういったボーナス期間で溜めることができるポイントって「おまけ」程度のものになると思うじゃないですか。
まぁせいぜい、次回で1曲の内の半分くらいの解禁%になってくれるかな?みたいな、上限のあるボーナスを想像するじゃないですか。

しかし、そんな予想に反してこの冷蔵庫の保管能力はメッチャクチャに高く、なんとため込んだ冷蔵庫の料理の力を使い、1クレで1曲の解禁が当たり前のように終わっていく人が続出する事態となりました。
しかも1曲に対して冷蔵庫にため込まれた食材全てが消費されるというわけではなく、消費しきれなかった分の食材はさらに次の曲の解禁に持ち越して引き続き使うことが出来るという、超々々太っ腹仕様となっていたんです。
絶対この冷蔵庫、1000L以上の容量あるだろ。連立業務用冷蔵庫も真っ青やぞ。

結果、解禁を早々と終了させるガチ勢やjubeat専属プレイヤーは、仕込み中に冷蔵庫へ物凄い量の料理をため込むこととなります。そして、次のシーズンの時にはボス曲も含めたシーズン曲全てを1クレずつ直ぐに解禁できてしまい、その後にまた大量に仕込みをするという、未曽有の永続ボーナスタイムが発生する事にもなりました。

こうなってしまえば、どんな料理だろうがどんな食材だろうがどんなグルメイツが相手だろうが数クレで全曲が簡単に解禁できる為、解禁効率を考えるプレイなど全くしなくてもよかったのです。
※…この仕様は、当時のほとんどのプレイヤーに好意的に受け止められてました。


<契約可能シェフ一覧>

さらに3つ目、PASELIを使って雇うことのできる「シェフ」の存在もありました。

この「ベテランシェフ」や「3つ星シェフ」を雇えば、単純に解禁効率を底上げできるというシステムが存在していたため、究極的にはグルメイツや食材、料理に対して完全に無頓着であっても金さえ積めば簡単に効率を向上できるシステムになっていました。

そうすれば、いちいち楽曲の出やすい食材、料理内容、グルメイツの好物を調べる必要もない。プレイに縛りも発生しない。時間効率だけを考慮するなら、一番手っ取り早い方法が実は別に用意されていたんですよね。

どうでしょう。この要素を紐解いていくとなんとなく気づきませんか?「食材の出やすさを検証する意味、ある?」という空気感の存在に。

そりゃ、確率を伴う膨大な検証を行う事に果たして意味はあるのか?という風潮が全国的に発生していたとしても、それは納得しちゃうんですよね。

<チーズ+トマトの可能性>

さらに4つ目の要素として『出来る料理にもランダム要素が存在するかもしんない』というおまけの情報も、このあたりで発覚してきてしまいました。
※…詳しくは後述となります。


もう、お手上げですよ。ここまで「bistro saucer」が不確定要素の塊だというのなら、いっそ力押しで解禁を進めたほうが効率がよく、分かり易いに決まってますよね。
それはきっと、誰の目から見ても明らかだったと思います。

しかし、自分の中ではそれが許せなかったんです。

解禁が容易に見えるのは、あくまでやり込んでいる人間から見た視点です。
そして食材というシステムをないがしろにするという事は、せっかく用意された要素をゲームとして楽しむ事を放棄した視点です。せっかく用意された情報を読み取って楽しむ事を放棄した姿勢です。なんとか企画を作り込んだコナミ社員の方々の努力を無下にする姿勢です(ゲームバランスの悪さは、まぁともかくとして)。

ならば、この今にも見放されてしまいそうな要素、自分が解き明かしてみせたい。そして「bistro saucerの全てを攻略した」という実績をこのwikiに残したい。そしてそして、これから解禁に対して動いていく事になるライトユーザーの方々に、少しでも手助けになる情報を提供したい。そんな気持ちが湧いてきました。

…なぁんてカッコつけて書いてますけど、ようは自分がスッキリしたかっただけです。そこにある山を登りたい、登山者と同じような気持ちだっただけです。

ということで、ここからいよいよもやし親父の検証生活がスタートしました。(電波少年的なものではない)
「jubeat saucer」の稼働していた1年5ヵ月間のほとんど全ての私のプレイは、なんとこの「bistro saucer」の全要素の解明に費やされることとなります。

・D.食材検証本格開始

まず、検証で最初に立てた目標は「全曲の出やすい食材の確定」でした。ほら、やっぱり選択肢は広ければ広いほどユーザー的には嬉しいわけですし。あと料理や好物の検証も控えている以上、まずは下地となる食材の検証はマストと考えていました。

それを行うにあたって、改めて検証方法の情報整理をする必要がありました。この検証ではっきりさせておきたい情報は2点。
① 食材の出現率の検証
② 上記の結果を持って「出やすい食材」の確定基準を再設定

でした。

①を確定させる方法は、とてもシンプルです。「同じ曲を100回プレイして検証」すればいい。
そうすれば、出やすい食材と、そうでない食材の出現傾向の違いを探ることができる最高の指標になります。

そのため自分が選んだのは、当時メチャクチャドハマりしていた「JOMANDA」でした。この曲は前作のボス曲でもあったため自分以外のプレイヤーの選曲率も依然高く、100回分のデータを集めやすいというメリットもありました。

結果、

<JOMANDA100回やってみた>

このようなデータが集まりました。

これを基準として、他の楽曲でも集めていた検証データを照合したところ、「出やすい食材 55%、他の食材 各5%」という綺麗な数字が姿を現しました。
恐らく、土台として全ての食材の確率が5%と割り振られており、そこに出やすい食材として+50%が割り振られていたのではないか、と推測しています。
この数字を割り出した時点で収集した食材データは2000tune分となっていましたので、自信をもって『確定』と考えていい確率と考えています。そして、このデータを持って今後の検証基準は「どれかの食材が合計10回でたら確定」に再設定することにしました。

…えげつない数字だと思いませんか。
食材を狙って出そうとしても「20回中9回は失敗する」ということを意味するんですよ、これ。

そして、このデータが確定した事によってもう一つ推測できることが増えてきました。それは、当初のwikiに掲載されていた「出やすい食材曲」の誤情報がなぜ発生してしまったのか、という原因についてです。

今回の検証で、出にくい食材は5%という事が分かりました。
これは逆にいうと、【8000回に1回は「出にくい食材でも3連チャンで出る」可能性が十分にある】という事なんですよ。

恐らくなんですけど、wikiに掲載された誤情報はこの1/8000(0.0125%)を引いてしまった人が確信をもって挙げたデータなのかもしれないわけです。
jubeatの当時のプレイ人口を考えれば、この確率を引く人も何人かいても不思議ではなかったと思います。

ということで誤情報は「出てもおかしくはなかった」という事がここで分かったわけです。そりゃね、3連続で同じものが出れば「コレが出やすい食材だ」と思っても仕方がないですよ。

実際に自分たちが検証した2000tuneのデータの中にも、「でにくい食材でかつ、同じ食材が三連続で出る」という現象は1回だけ発生していました。

「なぜwikiに誤情報を載ったのか」という謎は、図らずもこれで解消することができました。


以降は、ひたすらデータの積み重ねです。
検証中は、10回中10回全て出やすい食材がでるという剛速球ストレート(0.25%)が起きる事もあれば、序盤に全ての食材がまんべんなく2個以上出現して大苦戦する検証もあったりしました。

多分これを1人だけでやってたら途中で発狂して検証データをゴミ箱へ放棄したと思います。

1カ月のシーズン毎に増える楽曲、入替システムで長期的に検証できなくなる楽曲、途中で何回も挟まれる大型連動イベント…。
このような要素が重なり、楽曲が月ごとに爆発的に増えていき、とても一人でこなすのは不可能という事態に陥りました。


しかし、この食材検証は最終的には『7000tune』という膨大なデータを積み上げて完成するに至りました。

この検証を行っていると公言してから、なんと私の周りには日に日に協力を申し出てくれる方々が増えてくれたのです。
嫁という我が最強の相方をはじめとして、同じゲーセンでjubeatを楽しむ同志A、以前から交流のある同志B…等々、最終的には15名余りの方々がこの検証に積極的に参加をしてくれました。

しかも、どのメンバーも概ね検証データを必要としないような冷蔵庫パンパン勢にも関わらず、リザルトデータの履歴を取ってtwitterのDMで送ってくれたり、ゲーセンで出会った時に検証メモを渡してくれたり、後ろで順番待ちをしてる時に「データ、見ますか?」と自分に声をかけてくれたりしました。

本当に、様々な方に助けられました。

そして出来上がったこのデータは、協力してくれた人たちとも相談して当時の2ちゃんとwikiに同時放流をすることとしました。
根拠を示し、信用に足るデータと認められ、全国的に作成したデータが広がっていく光景を目にして、「この7000tuneの中には、自分のデータも入ってるんすね…すっげぇ…」と感慨深そうに話してくれた同志の子のセリフが今でも印象に残っています。

そうだ、俺たちはやったんだぞ。
みんなで全国区レベルのデータを作り上げたんだ。

その達成感は、今でも昨日の事のように思い出せます。


<大切なものは ほしいものより先に来た>


この時、データが完成したという嬉しさよりも、気心の知れたメンバーと一つのことをやり遂げたというカタルシスのほうが強かったと思います。
「HUNTER × HUNTER」の王墓の真実に関するジンのセリフが、まさにこの時の自分の気持ちを代弁してくれているんですよね。あの経験は、今でも自分の音ゲーに対する理念の中心に存在しているように思います。

あ、なんかエンディングっぽい流れですけどまだまだ続きます。


○2.料理検証

さて、次に取り掛かった検証は「何がそろれば何が出来るの?」という料理の検証です。

どんな種類の料理があるのか、その料理はどんな食材を集めると出来るのか、できる料理に法則性はあるのか、そういった検証です。
先程少々触れましたが、なんとこの料理の作成も「ピッタリの食材を揃えても、その通りの料理ができるとは限らない」というランダム要素が絡んでいることが分かりました。

・A.予想以上にバラつく料理

こちらの検証は、ほぼ個人的に食材検証と同時並行で行っていました。

食材検証をしている時は基本的に1クレジット(3tune)内で全て同じ曲を選曲する事が多かったため、必然的に3tuneとも同じ食材、または2種類程度の食材の組み合わせになる事がほとんどでした。
なので、この過程で完成する料理のデータも同時に取っていけば、むしろ料理検証の方が食材検証よりも早く終わるのではないか?と自分は踏んでいたのです。

しかし!
恐ろしいことに、この予想も大きく裏切られることになります。


説明に入る前に、便宜上自分が勝手に設定した料理の種類名について触れておきたいと思います。

食材が単品でも作成可能なものを「シングル料理」

2つの食材の組み合わせによって作成可能なものを「ダブル料理」

3つの食材の組み合わせによって作成可能なものを「トリプル料理」

以降はそれぞれ上記を「シングル料理」「ダブル料理」「トリプル料理」と記載していきます。



まず最初に直面した問題は、『「牛・豚・鶏」のシングル料理にバラつきがある』という点です。

牛と豚は、原始人が好きな料理である「骨付き肉・豚の丸焼き」に分岐する可能性がありました。そして、鶏については「若鶏の竜田揚げ・ふわふわオムレツ」という、卵の要素が入る分岐が存在していました。

これらの上記シングル料理の分岐については完全にランダムで、体感としてはどちらも50%ずつの出現率というイメージでした。
にしても、「ローストビーフ~ピュレ添え~」と「骨付き肉」の料理としての差、マジウケるんですけどwwwww

話を戻します。

次に直面した問題は、『ダブル料理は、食材が揃えば必ず優先して作成されるわけではない』という点でした。
以下にいくつか例を出してみましょう。

①「トマト・豚」が揃った場合
この場合はダブル料理の「ポークチャップ」が調理可能。
しかし、ランダムでシングル料理の「冷やしハニートマト」「ジューシースペアリブ」「豚の丸焼き」のどれかができる可能性もある。

②「牛・鶏」が揃った場合
この場合はダブル料理の「ロコモコ」が調理可能。
しかし、ランダムでシングル料理の「ローストビーフ」「骨付き肉」「竜田揚げ」「オムレツ」ができる可能性もある。

③「玉ねぎ・魚・貝」が揃った場合
この場合はダブル料理の「サーモンマリネ」「にぎり寿司」が調理可能。
しかし、ランダムでシングルの「玉ねぎの丸焼き」「真鯛のポワレ」「ホタテのカルパッチョ」ができる可能性もある。

こういった確率や分岐のクセについては、なんと1年かけても最後の最後まで検証しきれなかったポイントでした。

ただ体感としては、ダブル料理の食材のみがストレートで揃っている状態(例えばトマト×2、豚×1とか)であればおよそ50%くらいの確率でダブル料理ができていたように思います。

これは食材個数・食材サイズなどで変動する可能性がある要素かもしれないとも思いましたが、料理のランダム確率が操作できるものなのかどうかの検証は、完全に頓挫してしまいました。

…いや、むしろこんな環境下でも「何が揃えば何ができるか」を調べ上げる事が出来ただけ十分過ぎる成果だったと思いますけどね…。

・B.チーズフォンデュの謎

そして、この料理検証で最大の壁として立ちはだかったのは「チーズフォンデュ」という存在でした。

一応おさらいしておきますけど、「チーズフォンデュ」とは鍋などにチーズと白ワインを加え、トロトロに溶かした状態のところに何かしらの食材を絡めて頂く料理の事でございます。

実際のチーズフォンデュに使われる食材を調べてみると、「ミニトマト・玉ねぎ・きのこ・ベーコン・ウィンナー・サラダチキン・ホタテ」といったものが好まれているようですね。

ナスや魚は一般的なレシピに含まれていないものの、基本的に火を通した野菜や肉、フライは相性が良いとされているので、恐らくjubeat saucerに出てくる食材は全てチーズフォンデュにできるといっても過言ではないと思います。
揚げナスとか白身魚のフライなんかは、いかにもお酒との相性もよさそうな気がするしね。ワインや日本酒なんかで合わせてみたいやつ。

話を戻します。

つまりこれは、チーズと何かの食材が揃えば、チーズフォンデュができる可能性があるという事を意味します。
しかし、それが非常~にややこしい問題を生むことにもなるわけです。

まず、チーズを使ったダブル料理は他にも存在します。
先述した「ピッツァマルゲリータ」「オニオングラタンスープ」「シーフードドリア」の3品が、それに該当します。

例えとして、上記画像の分岐の例をもう一度振り返ります。

トマトとチーズが出ると通常であれば「ピッツァマルゲリータ・冷やしハニートマト・レアチーズケーキ」のどれかが出来ると考えられる訳ですが、ここにプラスで「チーズフォンデュ」が出来る可能性が差し込まれてくるわけです。

ということで、この「トマト・チーズ」を集める組み合わせで10回程度連続で料理検証を実施した所、以下のような結果になりました。

「ピッツァマルゲリータ」5回、
「冷やしハニートマト」2回、
「レアチーズケーキ」2回、
そして、「チーズフォンデュ」1回

検証中は、出来る限り「プレイする曲・レベル・クリアレーティング」を揃え、不明となっている分岐条件に引っ掛からないように心掛けてみましたが、こちらの細心の注意をあざ笑うかのように料理の分岐は完全にランダム発生しました。

実はこの検証当時は、「ピッツァマルゲリータ」の出現率の検証をしている所でした。そんな中で、やっている途中いきなり「チーズフォンデュ」が出来上がった時は「ウッソだろオイ!!」とゲーセンで咆哮をあげてしまいました。チーズフォンデュの画像を見ただけで叫ぶとか情緒不安定にもほどがあるだろ。

同じ材料なのに「ダブル料理の中でも分岐が発生する」のは、検証する側としては若干悪夢に近い何かでした。

逆に、他に分岐条件が少ない「なす+チーズ」「きのこ+チーズ」でそれぞれ検証を行いましたが、検証データ上ではチーズフォンデュはおよそ10%の確率でしか料理として出てこないという結果になりました。

先ほどの「トマト+チーズ」でも10回中1回の出現となっていたため、チーズフォンデュはチーズ派生の低確率ランダム料理という結論になりました。

・C.都市伝説と化した料理

それに比べると、トリプル料理の5品についてはストレートで食材を揃えると概ね確定の料理として出てくる印象でした。体感はおよそ75%くらいといった所。
まぁ、そもそもとして食材をストレートで揃えること自体が難しいので、むしろ個人的には100%でも良かったのではないかと思うんですけどね!

ちなみに確率上、狙ってトリプル料理の食材をストレートで揃えることができる可能性は21.45%です。この21.45%を引き当てた後に別の料理が出た時の私の心境、是非お察し頂きたい。あっ、思い出したら吐き気が。

トリプル料理の作成検証で苦戦したのはブッチギリで「地中海風パエリア」でした。
この料理、トマト+貝で出来る「ボンゴレロッソ」と食材が丸被りしてる為に、なんとボンゴレロッソ抽選が追加で入るのです。結果、他のトリプル料理に比べると出来る確率がより低い仕様になっていたので、再現性が低いせいで頭がおかしくなりそうでした。
え、こんなイカれた検証している時点で頭がおかしいって?それは言っちゃいけないゾ☆

とはいえ、これで少なくとも「何を揃えれば何が出来るか」という情報はトリプル料理まで検証が進み、問題は残りの2品「五目チャーハン」「闇鍋」となっていました。

この2品は、当時インターネット上ではかなり早い段階から完成品の画像が出回っていました。しかし、その時どんな食材が揃っていたのか、当事者の記憶をたどって私も再現を試みたものの、自分がその2品を作ることは『食材検証を同時並行で実施中は1回もありませんでした』。つまり、7000tuneのデータ積み上げ途中では、この2品目は作成できなかったのです。

当時はPASELIで5tuneまでの連続プレイが可能となっており、五目チャーハンも闇鍋も基本5tuneで遊んでいる人からの報告となっていました。
なので、私も「もしかしたら4~5種類の一定の食材を揃えた時にできる料理なのでは?」という所までの推測は進んでいました。

トリプル料理までの必要食材を全て確定させて、この残り2品の条件を検証するようになってからは自分も毎回5tuneでレシピ解明に挑みました。
全てバラバラの食材を集め切る事自体は、検証中は20回以上成功していました。しかしそれでも、「五目チャーハン」と「闇鍋」は全く姿を現すことがありませんでした。

ちなみに、当時五目チャーハンの食材として推測で挙がっていたのは「玉ねぎ・牛・豚・鶏・貝」となっていました。

牛と貝がかなり絶妙で、「きのこは入らないのか?」とか「五目とはいうけど、定義上5つの食材を入れるというわけでもないんじゃないか?」とか「牛と豚が一緒に入ると味が喧嘩するんじゃないか」とか「炎上覚悟でいうけど、エビなら分かるが貝はあり得ない」とか、五目チャーハンそのものに対する定義の見直しや、入れる具材論争にまで一部の界隈で発展する騒ぎとなっていました。お前ら仲良くしろ。

で、闇鍋なんかは、そりゃもうよく分からない組み合わせ5つをぶち込んで作るモンじゃないか、という事が概ね想像できたので、ダブル料理・トリプル料理にかすらないような組み合わせで「なす・きのこ・トマト・牛・魚」などどうだろうか、と試したりもしました。

これならいかにもリアル闇鍋っぽさもある組み合わせだし、ダブル・トリプルに関わらないレシピが一番有力だろうと踏んでいたのですが、2回ほど実際に組み合わせを出しても結果はシングル料理となってしまいました。

これで、自分は完全にお手上げとなりました。

せっかく食材検証が終了して、データを全国に広めることもできたのに、この2品だけはどんなに試しても再現をする事が出来なかったのです。
当時の某掲示板でも「五目チャーハン」「闇鍋」について情報を募集したものの、残念ながら有力な情報や目撃情報を得ることが出来ず、なにやら謎の敗北感を感じながら料理検証はこれにて幕を閉じる。

はずでした。

・D.自分だけが知る「確率変動」

そんな折、料理検証を諦めてグルメイツ好物検証を本格的に始めようとしていた所で新しい連動イベントが始まりました。

それが、ポップンとの連動イベント「フライングキャッチ!」でした。


このイベントでは双方のお題をクリアすると解禁にブーストを掛けることができる仕様となっていましたが、なんとここでjubeat側に「チャーハンを作る」「闇鍋を作る」というお題が入ってきました。

待て。

待て待て。

待て待て待て待て待て待て!!!!!!!!!!

何を馬鹿なことをいっているのだ?と自分はメチャクチャに混乱しました。インターネット上でも確定情報がでてない2品なのに、それをお題にする????噓でしょ????7000tuneかけても分からなかったのに????????

…と思いきや、割とあっさりと公式側がこの2品に対しての「ヒミツのレシピ」を公開してくれました。見た瞬間にドリフの雷様のような倒れ方をしましたが、これでようやく答え合わせができるのかと、どちらかといえば何かから解放されたような安堵の気持ちのほうが当時は強かった記憶があります。


その
組み合わせの
答えは

こちらでした。

待て。

待て待て待て待て。

待て待て待て待て待て待ておいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!!!!!!!!

そのレシピの組み合わせは、二つとも間違いなく自分が出した事のある組み合わせだったのだ。五目チャーハンはこちらの記録上は少なくとも2回、闇鍋に至っては少なくとも15回くらいは成功しているはずだった。

…あれ?ならば、その組み合わせは、集めることに成功しても「出来るとは限らない」という可能性がある、という事にならないか。
…あれ?そのお題は、連動イベントとして出すにはあまりにも確率的な難易度がイカれているんじゃないのか。いくらなんでも挑戦的過ぎでは…?

ちなみに、確率として4tuneで五目チャーハンの食材が揃うのは約15%、5tuneで闇鍋の食材が揃う確率はだいたい50%という計算だ。他の食材が混ざっても五目チャーハンの完成が優先されるなら、5tuneプレイで五目チャーハンの成功率を上げることも十分可能だろう。

しかし、今までの自分の経験則でいくと、レシピ通りに食材を揃えても料理が出来ない可能性のほうが高い。ただでさえ揃える事自体が確率的に難易度が高いのに、ここまで連動イベントのブースト条件を辛くする理由が自分には全く分からなかった。

…のだが、そんな自分の心配は杞憂に終わる。
インターネット上で、五目チャーハンや闇鍋の完成報告が後を絶たなかったのだ。

そんな、ばかな。何か自分は狐に化かされているのではないかという感覚に陥った。なにせ、自分はこの約半年間、五目チャーハンと闇鍋を追い求め続け、ついに見ることが叶わなかった人間だというのに。

恐る恐る、自分でも検証をしました。

5tuneプレイで「→なす→玉ねぎ」と出しました。すると、見事に夢にまで見た五目チャーハンが、たった一発で完成したのです。不純物が1つ混ざっても、普通に完成しました。
うれしい。うれしいはずなのに、筐体の前で膝から崩れ落ちてしまいました。まさかこんな、一発で簡単にできてしまうなんて。

そして次は闇鍋を出すために、「トマト→玉ねぎ→貝→魚→チーズ」とバラバラに食材を集めてみました。

ちなみにこの組み合わせはあえて狙って出しています。
これはトリプル料理「地中海パエリア」と、ダブル料理「ボンゴレロッソ」「ピッツァマルゲリータ」「オニオングラタンスープ」「サーモンマリネ」「にぎり寿司」「シーフードドリア」「チーズフォンデュ」ができる、カオスの権化ともいえる組み合わせなのです。
ちなみに、この組み合わせ遊びは2回ほど連動イベントの前に行っており、以前の結果では「地中海パエリア」と「ボンゴレロッソ」が出ていました。もちろん、シングル料理の5品目ができる可能性も残されているので、つまりこの組み合わせは闇鍋を含めて14品目できる可能性のある組み合わせというわけなのです。

そして、結果は「闇鍋」ができました。

もう一度、ここで筐体にもたれかかる様に体勢を崩してしまいました。えぇ、うそでしょ。これほど確率をブレさせる悪夢の組み合わせのはずなのに、こんなにもあっさりと闇鍋が出てしまうなんて。

後に、仲間内のメンバーも食材検証データを使い、続々と五目チャーハンと闇鍋を作ることに成功していきました。

自らも改めて検証をしたところ、五目チャーハンの組み合わせが成功していれば闇鍋より五目チャーハンが優先されることも分かりました。そして、食材が揃った時の五目チャーハンと闇鍋の成功率は、自分が観測しているデータを見る限りは100%となっていました。


これは、やったな?
「チャーハン・闇鍋」のできる確率が、イベント開始前に比べて変動したのは間違いないと確信を持ちました。

もしかしたら、イベント開始前の時点で「曲による出やすい食材がユーザーによって検証されている」という事を公式側が察知しており、そこで堂々とイベントで料理作成のお題をだしてきた…のかもしれない。

ネット上の情報をみれば狙って料理を作る事も出来るだろう、と。あとは条件があった時に100%料理が出来るように「調整」してしまえば、なるほど、お題としての達成難易度はそこまで高くならずに一定の盛り上がりを見せるかもしれない。

真相は闇の中である。

恐らく、当時のこの「上級料理の確率変動」を察知したのは、全国でも間違いなく自分だけだろうと自負しています。なにせ稼働当初から全ての料理記録をとって検証している狂った人間がいることは、流石にKONAMI側も考えてもいなかったでしょうからね。

そしてこのイベントを切っ掛けに、「検証データのおかげでイベントが進められた。ありがとう」という言葉を様々な方から頂戴しました。

…しかし、一方で「自分が食材検証データを公開したせいであんな面倒なお題が出てしまったのでは…ワイはいらんことしてしまったのかもしれん…」と深読みしてしまう自分もいました。なので実はあの時期、微妙~に自己嫌悪に陥っていたことも、時効だと思うのでここで告白をしておきます。

まぁ、真相は闇の中である。

完全に予期せぬ形にはなったが、jubeat saucer稼働から約9か月が経過し、ここでようやく全ての料理と必要食材のリストが完成となりました。

○3.好物検証

さて、ここまでくれば最後の検証は「グルメイツの好物」である。もちろん、これも食材検証・料理検証と並行して進めていた。
しかし、この検証も実はかなり大きな「壁」にいくつも阻まれながらの検証となっていたのである。

・A.「冷蔵庫」という存在

グルメイツの好みを割り出すには、当然お目当てとなるグルメイツを引き当てて、それに狙って作った料理を食わせるという手順が必要なわけです。
ここで、自分のユーザーデータを使っての検証をする上で一番のネックになっていたもの、それは「冷蔵庫」という存在である。

1カ月のシーズンが更新されると新しいグルメイツがご来店となるのですが、自分のデータは冷蔵庫の食材を放出すると相手がどんなグルメイツだろうと簡単に腹を満たしてしまうほど仕込み料理の量がイカれていた為、グルメイツの検証チャンスは一人につきなんとたった1回しか存在しない事になるわけです。

ちなみに、自分のデータは検証でたくさんの料理を冷蔵庫に突っ込んでいるせいで、仲間内からは「四次元冷蔵庫」と呼ばれていました。なろう系小説のチート能力かな?

四次元冷蔵庫の中身は、いくらグルメイツに食べさせても食料が空になる気配は全くなかったのであります。楽曲の解禁だけを考えればこれは大変に喜ばしい状態でしょうけど、検証を行う人間側からすれば致命的な欠陥となってしまうわけです。

このままでは、せいぜい月に5回しか好物検証ができない。

いわゆる全国のガチ勢もほとんど同じような状態だったのでしょう、やはりwikiではグルメイツの好物情報も、更新されることはほとんどありませんでした。

しかも「満足度のパーセンテージの伸び方」だけを見て好物かどうかを判別するという誤った認識を持っていた人(=好き嫌いのリアクションが発生する事をそもそも知らなかった人)が多かったためか、グルメイツの好物に関わる情報ですらwiki上では誤情報が蔓延していました。

非常に無常な話なのですが、グルメイツの好物検証も、実質ゼロデータから開始する必要があったわけです。

・B.グルメイツの多さと料理の多さ

グルメイツのメンバーも多種多様、そこそこに人数がいた事も検証の大きな壁となっていました。

なにせ、通常解禁曲のグルメイツは全部で15人もいます。

さらに、ここに旧曲解禁扱いの子供グルメイツやコタローなども併せると、グルメイツは20種類を超えるヤベー数になります。
旧曲専用のグルメイツに関しては適当に料理を作ってもすぐに解禁できることが分かっていて検証の必要性がなかったため、さすがに今回の検証は上記通常解禁曲グルメイツの15名に絞ることにしました。

…それにしても、食べさせる料理の種類はシングル料理で13種類、ダブル料理で10種類もあるわけですよ。つまりシングル料理は15×13、ダブル料理は15×10の回数の料理を振舞う必要があるという事になります。

シングル料理は1tuneで粘ればいいので簡単ですけど、ダブル料理の場合は先述したとおり2tuneプレイのストレートで食材を揃えても料理ができるかどうか自体が安定しないのがネックです。

そもそも狙ったダブル料理を作るための食材を集められる確率は33%となっており、しかもせっかく揃えても約50%の確率でシングル料理に化ける可能性がある。
狙ったダブル料理をグルメイツに食べさせることが出来る確率は、なんと16.5%となるわけだ。それを1人につき10回も繰り返さなければならない。

そろそろ、お察しだろうか。一番頭がハゲそうになった検証は、まさにこのグルメイツ好物検証である。

・C.検証方法

まず、冷蔵庫問題を解決しなければならないという点。
これは、非常に単純な解決方法で「新規サブデータの活用」に踏み切りました。そうする事で解禁曲はほとんどできなくなりますが、だからこそ全曲検証を先に済ませておいたメリットがここで活きてきました。

次に、プレイ方法について。
料理を与える回数は、できる限り多く機会を設けなければいけません。なのでシングル料理検証の際は1tune、ダブル料理検証の際は2tuneのプレイを徹底し、さらに食事量が多くならないように食材の大きさをコントロールするため、「レーティングA以下・マッチング回避・新スコア更新にならないよう出来る限り同じ曲と譜面を選曲」を徹底しました。
こうする事で食材の大きさがSサイズくらいになり、料理の量も減り、同じグルメイツに対して何回も食事を与えることが出来るようになりました。いわゆる牛歩戦術検証です。

さらに、ある程度満足度が上昇したグルメイツが溜まってきたら、ここで先述していた「グルメイツチェンジ」を行いました。この「グルメイツチェンジ」とは、30PASELIを支払うと来店しているグルメイツをチェンジする事ができるシステムです。

しかも、チェンジで新しく来店したグルメイツはお腹グーグーの状態(=解禁率0%)でやってきます。腹八分目までメシを食わせたら「お代(曲)はいいから帰んな!」とパセリを喰わせて突き返し、新しい客を入れるわけです。なんと太っ腹な店なのか。

この検証に差し掛かった頃にはjubeat saucerも中盤から終盤に差し掛かってきており、ここまでくるとハッキリ言って「グルメイツの好物情報」は誰の利益にもならない検証になり始めていました。

正直自分も「ここまでやる必要あるか…?」という気持ちが沸々と湧いてきてはいましたが、むしろここまで来たら行けるところまで検証してみたいという、世界の果てを望む征服王イスカンダルが心に巣食っていたような気がします。

・D.結果

そして、最終的には以下のような結果となりました。

まず、シングル料理は1人に対し1つの好物という綺麗な結果が現れました。

他、お肉くん(仮称)、キャロットマン(仮称)、さかなクン(仮称)もイメージ通りの結果が現れ、キノコとたまご以外は肉料理・野菜料理・魚料理という『属性』が付与されていることも分かる結果となりました。

それにしてもお肉くん(仮称)、肉が好きなのに牛か豚の原始料理が出るとNGになるのあまりにもオマエ…ってなりませんか?肉好きなら原始肉も喜んで喰らえッ!!

そして、ダブル料理。リストの完成度でお察しして頂きたいのですが、ここで私の全ての検証は終了しました。

チーズフォンデュが、とにかく出ねぇ!!先程も記した通り、体感でのチーズフォンデュが出る確率は概ね10%となっていたので、完全にそこで検証が詰まってしまいました。これでも頑張って粘ったんですけど、無常にも検証はここでタイムアップを迎えました。

「bistro saucer」は最後にファイナルシーズンというものに突入し、スペシャルグルメイツの登場による最終解禁に移行したため検証ができなくなりました。

全員にチーズフォンデュとトリプル料理、そして五目チャーハンと闇鍋を食べさせるには、完全に時間が足りなかったというオチでした。まぁ、もしかしたらそれよりも前に私が発狂していたかもしれませんけどね。

最後の最後まで絶妙な苦みと酸味、そしてほのかな塩味と甘味を残していくような内容でしたが、これにてjubeat saucerの検証の日々はするりするりと静かに幕を閉じたのでありました。

お し ま い 。

○まとめ

ということで、今回のこの文章は、前に投稿していた「jubeat saucerを振り返る」という記事を超大幅に加筆修正して、検証についての話をピックアップして書かせていただきました。(それに伴い、前の記事は削除となりました)

最後に軽くまとめて終わりにします。

「jubeat saucerについて」
シリーズのコンセプト自体は嫌いではなかったし、現行でも活躍するスミス氏・コタローが生まれたこのシリーズはjubeatにとって非常に大きな意義があるシリーズだったと思います。
イベントで解禁される楽曲にはとにかく魅力的なものも多かったし、連動イベントも自分は全部通して楽しくプレイできたおかげで、音ゲーを楽しむ幅がメチャクチャに広がりました。

もちろん、賛否あるシステムが実装されたという点については慎重に議論し、果たしてディレクター側にとって狙い通りの施策となったのかどうかはキチンと分析をして頂くことで、KONAMI側も今後のイベント作成に役立てて頂く必要もあるかとは思います。

このシリーズは、jubeatにとって大きな大きな特異点になったと思います。

「bistro saucerについて」
今でも時々「あの食材表、使ってましたよ!」と言ってくださる方がいて、恐悦至極です。あの表の裏に隠されたドラマと血みどろの努力を是非知っていただければ幸いと思い、今回は筆をとってみました。

検証を通じて様々な方と交流する事ができたのは、このシリーズのこのシステムだからこそ生まれた財産だったと思います。
難解な要素だったからこそ、解き明かす楽しさもありました。達成を分かち合える喜びもありました。あの時の、腕前や経験年数の垣根を超えた、純粋な交流の楽しさ。今後の自分の中でも一生色あせる事はないでしょう。


酸いも、甘いも、辛さも、苦みも。
ここには、あの時の「思い出の味」が詰まっている。

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