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【GITADORA昔話】あなたのギタドラはどこから?私は、家庭版1stから。

〇我が家にGUITAR FREAKSがやってきた

「もやし親父ン家で、みんなでギターやろうぜ!」
いったい何のことだろうと思った。
友人Kはみんなで共同出資して買ったという
ギターの形をしたコントローラを我が家に持ってきて、
素っ頓狂なことを話してきたのだ。

それは、知らないゲームだった。

どうやらギターを演奏するゲームらしい。
どうやら専用のコントローラを使うらしい。
どうやらみんなで集まってやる場所が欲しかったらしい。
どうやらプレステがある家が標的となったらしい。

なるほど、それで我が家か。
冒頭の一言を、恐らく背景まで理解するのに10秒と掛からなかった。

我が家は当時から、ゲームが好きな友人たちが集まるたまり場だった。
その度合いたるやひどいもので、
一人用ゲームでも遠慮なく持ってきて何故か我が家でやり始めるし、
それを5人くらいで野次を飛ばしながら
見て楽しむのが当たり前の空間だった。
ていうかフツー、RPGなんて自分の家でやるもんだろ。
なんで友達の家に行ってやるんだよ。しかもなんでみんなで見るんだよ。

しかし、ジュースを飲んでゲラゲラ笑いながら
ルビーウェポンに全滅させられるクラウドたちを眺めるのは、
あの日あの頃の僕たちには最高の娯楽だった。

さて、ということで我が家に「GUITAR FREAKS」がやってきた。
残念ながら僕はこのゲームの事を全く知らない。
得体のしれないゲームを始めようとしている友人たちに対して
若干引いてる僕。
友人Sはここぞとばかりに解説を始めてくれた。

曰く、
リズムをとって、音楽と画面に合わせて操作をするゲームだという。
下から上に上がってくる横棒が、
判定ラインというところに重なった時が操作するタイミングだという。
あとはギターと同じように、弦を抑えるようにボタンを押しながら
横長のボタンを下に押せばいい、との事だ。

なるほど、わからん。

まってくれ、これは何が面白いんだ?
なにをすればゲームクリアで、何を目指すゲームなんだ?
理解できなさすぎて質問すらできずに首をかしげる僕を尻目に、
早速友人Kはソフトを入れ、ゲームを始めた。
とりあえずどんなゲームかを眺めてみるか…
友人K達のお手並み拝見といこう。

1時間ほど眺めた。なんとなく分かってきたことがある。
このゲーム、クリアがものすごく難しい。

この家に集まる人間はみんなゲームが上手いやつらだと僕は思っていた。
しかしこのゲームに限っては、違う。
今までやってきたどのゲームとも違う。誰も彼もが初心者だった。
とくにみんな、同じ曲がクリアできずに躓いているようだ、
という事は分かった。

業を煮やした友人たちは、いよいよ僕に白羽の矢を向けた。
クリアできない苛立ちを僕に向けようとする様に。
一瞬で怖気づく僕。いやいや無理だ。
僕は本当にリズム感がない。ついでに音痴だ(?)。
みんなできないのに音楽センスが絶望的な僕にできるのか。
そこでニヤニヤしながらも優しく友人Kが言う。

「この一番簡単な曲なら、全然できなくても多分クリアできるよ」

ここから、僕の音ゲーが、はじまった。
初めてやった曲は「CUTIE PIE」だった。

…ついでに、初めてのゲームオーバーも、ここで味わった。

〇解説:仕様と始めた当初の環境について

どんだけセンスないのよ、中学2年生のもやし親父。

という事で、私の初めての音ゲーは
PS版「GUITAR FREAKS」となっておりました。
当時は家庭版専門だったため、
アーケードデビューはまだまだ後になります。
当時は2000年5月くらいだったかな…。
ワイ、マジで最初はCUTIE PIEで落ちてたんですよ。
しかも3回やって3回落ちた。
あー無理無理、無理です、僕にはできましぇーん、と
ブンむくれた記憶が懐かしい。恥ずかしい。

このあとはゲームレベルを最大まで下げて、
どんなにミスがでても大丈夫な状態にして、
誰でも完走できる状態にしてからみんなでこぞって遊んでました。
※…家庭版はゲームレベルを変更する機能があります。
下げるとゲージが減りにくくなったり、判定が甘くなったり。

ちなみに友人諸君が通常のゲームレベルでクリアできなかったのは「HYPNOTICA[EXP.]」でした。そりゃあ、ねぇ…。

当時、ソフトとコントローラを引っ提げてきた友人K含め、
なんだかんだ誰もギタフリはやったことがありませんでした。
(ドラムやったことある人は何故か友人Sがいた)
誰も彼も手探りで、誰もオルタなんてやったことないから
「THE ENDLESS SUMMER」あたりはみんなフルダウンでやってた。
おめーら必死だな。
ちなみに、このフルダウンでクリアしようとする全員の意識が、
後のもやし親父に多大なる後遺症を与えることになります。
それはまた別のお話。

〇くやしくて、夜。

みんなが帰った。

みんな最後は、ゲームレベルを元に戻した後は
機械の顔が怖い電子音の曲でズタボロにやられて、
畜生クリアできるかこんなの、といいながら
電源を切っていたのが印象的だった。
そこにいた全員、これがこのゲームのラスボスだろ、って言ってた。
自分も間違いないだろうなと確信していた。

そして友人Kは
「ここでしか多分みんなやらないから、ギタフリは置いていくよ」と
大胆にも我が家に寄付する宣言をして帰っていった。
すげぇな、買ったものくらい持って帰れよ。
いいのか、共同出資なんだろそれ。

夜。
夕ご飯を食べて、お風呂に入った。
あとは楽しい楽しいゲームタイム。
宿題?知るか、そんなの。

そんな感じでいつもの駄目駄目ルーティンをこなそうとした最中、
ギターのコントローラが目に入った。
うーん、こんなクソゲー、自分には無理だ。
なんでこんな邪魔なもの置いていくかなぁ。
自分には多分、このゲームを楽しむことはできない気がする。
ゲームであんな辱めを受けるのは初めてだった。

と思いながらも、指は勝手にソフトを起動していた。
気づけばギターコントローラーをしょい込む自分。

そうだよな。悔しいよな。
みんなできているのに自分だけが全くできないのは。
せめてみんなと同じくらいまで出来るようになろう。
あのラスボスをみんなと僕とで倒せるようになろう。

がむしゃらに、遮二無二に、
全12曲をローテーションでゴリゴリと練習を始める僕がいた。

〇解説:収録曲数(初期)と練習密度

俗にいう「コソ練」ってやつですね。
別に馬鹿にされたから腹が立って、ではなくて、
純粋にゲームが上手くなりたい、せめて同じくらいまでうまくなりたい、
というところから練習を始めています。健気ですね。

特筆すべきは、FREEモードの収録曲数。


なんと初期状態では1曲のみ。
通常モードをこなせば、
最初から選べる曲は11曲12譜面にすることが出来ました。
当時は分かりやすい難易度分けなどされておらず、
言うなればほぼ全てベーシック譜面のみ。
Happy manだけ、普通の難易度と
高い難易度[EXP.]の二つの譜面がある、という感じでした。
特筆すべきは、なんといっても全部がインスト曲という所。
すごいよね。骨太よ。

ここから、毎日のように練習を重ねていきます。
1日2ループ、24曲分。ひたすらひたすら練習練習。
例えるならドリンクバーだけで15時間粘るかのような所業。
当時はそれでも全然飽きなかった。
なにせクリアできる曲が少なかったから…。

すると、数日後、ある変化が訪れます。

〇はじめての楽曲解禁

「この曲知らないんだけど、何?」

友人たちが全く知らない曲がFREEに出現していた。
皆が、厳つい絵の見知らぬ曲に首をかしげていた。

実は自分は、その曲が出ている事は練習している途中で気付いていた。
あれ、なんか知らない曲があるな、なんだこれ、という風に。
でも、それに気付いている素振りを出すと、
コッソリ練習している事もバレてしまう。
なんとなく気恥ずかしさを感じていた自分は、
しれっと「どういう事?」なんて聞いていた。

一昨日、みんなで初めて遊んでいた時の曲は
HIGH SPEED EDITIONを除けば12曲しかなかったはずだ。
EVIL EYE?なにこれ?おいお前とりあえずやってみろよ、
などとざわつく我が家。
あれ、何だこの曲、声入ってる…なんか気持ち悪いクリップだな…
などとざわつく我が家。
難易度はそれほどでもなかったが、
ものすごく特色のある曲だったためか、
みんなこぞってこの曲を練習し始めた。

そして、集まったメンバーである程度ローテーションプレーした後、
さらにある事が起きた。

「この曲知らないんだけど、何?」
一時間ほど前に聞いたフレーズが、また聞こえてきた。
そう、新しい曲が「いつのまにか」また出ていたのだ。
これは自分も知らない曲だ。
今度こそ本当に「どういう事?」と聞いている自分がいた。

新しい曲は、そこそこに難しかった。
リズムが独特で、完走できるのは仲間内でも
ある程度うまい2人だけだった。
自分もやってみたら?と言われたが、
こなれた感じにみられるのも恥ずかしい気がして遠慮してしまった。

興奮が冷め上がらない我が家。
このゲーム、まだ自分たちも知らない「奥」があるのかもしれない。
みんなで上手くなろうぜ、という空気になってきて、
「もやし親父も練習しなよ」と強く勧められた。

「わかった、じゃあせっかくだし今日から練習してみる」

よし、これで大義名分がたった。
こっそり練習、みたいな後ろめたさは感じなくていいんだな。
何か解放されたような気持ちになりながら、
その日の夜からの練習はさらに気合が入るようになっていった。

〇解説:PS版1stの解禁要素について①

家庭版解禁については、色々条件がありました。
実は、そのうちの一つは
「アーケード(Guitar Freaks 2nd LINK.ver?)のプレイ記録を家庭版に反映させる」
という内容だったそうです。
具体的にどういう操作をすればいいのかは正直自分もわかりませんし、
今それをやるには物理的な障害があまりにも多すぎて、
おうちゲーセン勢でもほぼ間違いなく再現は無理っす。

当然そんな事は、
当時ゲーセンに同じゲームがある事すら私は知らなかったので、
むしろ正規の解禁方法があることなど全く分からずじまいでした。

なのにこの家庭版で解禁が進んだのは、ある理由がありました。

〇わかり始めた全体像、目標ができた瞬間

「解禁できる曲、調べてきた」
翌日。友人Sの一言に周りがどよめく。

そもそも、僕は「解禁」という単語自体にあまりなじみがなかった。
解禁とは?という問いに友人たちは、
格ゲーの隠しキャラが使えるようになる事と
同じような感じだと教えてくれた。
なにそれ、すごく面白くない????
このゲーム、そんな要素があったの????????

どうりでFREEモードの曲リスト、不自然に空いてるなと思ったよ…。

要素は2点あった。
まず一つは、回数。曲をクリアした回数が一定まで達すると、
それに対応した曲が解禁されるというものだ。
それによって解禁される曲は、
すでに出ている「EVEL EYE、MICKEY'S BOOGIE」の2曲。
そして、それより先が
「Jet World、MAGIC MUSIC MAGIC、King G」の3曲だ。
これらは、最後まで解禁するには
450曲クリアしなければならないらしい。
途方もない回数だ。

ここで、ドラムのゲームの経験がある友人Sが言う。
「Jet Worldってゲーセンでやったことあるやつじゃん!こりゃ解禁するしかないでしょ!」
ゲーセン?じぇっとわーるど?
僕には何をいっているのかよくわからなかったが、
友人Sがキラキラした目をして
めちゃくちゃ嬉しそうに言っているのだけはよくわかった。
それだけ楽しい曲なのかな、そこまで言うならやってみたいな、
あと50回くらいのクリアでいけるみたいだし。

「回数やればいいなら、自分が練習しまくれば行きそうな気がするね」
何気なく喋ってしまった自分。おっ、という反応を全員からされる。
「乗り気じゃん、もやし親父。ちょっと頑張って友人Kや友人Sに追いつこうって感じになった?」
お、おう、としどろもどろに答えてしまう。
言えない、もう既にめちゃくちゃ練習しているなんて言えない。

そして、解禁要素のもう1点。
それが「EXTRA STAGE」という、
通常モードで解禁されるボス曲の事だった。
しかもボスは複数曲あるようだ。
進出条件は、ひとことで言えば「3曲上手くプレイする」だった。
その条件を聞いて苦虫を噛んだような顔をする一同。

無理もない、それを達成できる人は、
今の僕らの中には誰もいなかった――――。

あれ、これ、もしかして。
毎日夜に練習できる自分が、一番実は「解禁」に近い人間なのでは?
よし、そうか、それなら。
僕が全て「解禁」しちゃえば、みんなで新しい曲を遊べるってことだな。

やってやろうじゃないか。その、EXTRA STAGEとやら。
明確にできた目標に対して、僕の中に眠っていたゲーマー的な闘志は
ろうそくの火から火炎放射器ばりに強くなっていった。

〇解説:PS版1stの解禁要素について②

ということで、天然で解禁できた理由は「コソ練していたから」でした。
しかし、天然でやってる回数ごときでは、
せいぜい「EVEL EYE:50回、MICKEY'S BOOGIE:100回」の2曲まで。
ここから、Jet World:150回、MAGIC MUSIC MAGIC:300回、King G:450回という条件になっているので
いかにイカれた解禁要素かがよくわかります。
金はかからないけど時間は某大夏祭りより掛かるぜ、すげーな。

そして、そこにいる全員が初心者だったので、
EXTRA STAGEなんていうのは誰も意識していなかったという。
ここからはEXTRA STAGEに奮闘するもやし親父チームのお話です。
(もうちょっとだけ続くんじゃ)

ちなみに、
回数解禁の時に「〇〇が解禁されました」なんて
親切なアナウンスは一切出ません。
コッソリしれっと曲がでてくる仕様です。分かるか、ンなもん。

○上達・挫折・解禁・僥倖

いったい何回この曲たちをプレイしただろう。
解禁条件が分かってから数日、
僕は解禁条件となっている回数を稼ぐため、
そしてEXTRA STAGEへ進出するために
ローテーションプレイをひたすら続けていた。
すでに解禁されていた
「EVEL EYE、MICKEY'S BOOGIE」を合わせて、計14曲。
しかしおかげさまで、ようやっと簡単な曲ならば
10回に1回くらいmiss0でクリアできるようになってきた。

家に集まるみんなも同じように、
ある程度単純な曲は「フルコンボ」というものを
達成できるようになっていた。
ミスなしでクリアできることをフルコンボというらしい。
なんか、いい響きだ。

そしていよいよ、簡単な曲だけのNORMALモードだったが
初のEXTRA STAGE達成者が現れた。
残念ながら達成者は僕ではなく友人Sだったが、
僕含めて全員が歓喜の声を上げた。
さすが友人S。ドラムとかいうのもやってるだけあってセンスがすごい。
そして、現れたボス曲をみて、全員がどよめいた。

そう、宿敵「HYPNOTICA」だったのだ。

身体から崩れる友人S。
やっぱりラスボスだったんじゃんと絶望する僕たち。
友人Sが苦虫を噛んだような顔で食らいつこうとしているうちに、
そこにいる全員が「異変」に気づいた。

あれ?このHYPNOTICA、簡単じゃね?

あの難しい運指地帯が、ほとんど真っすぐになっている。
曲も同じで弾く個数も同じだが、譜面難易度が全く違っていた。
そして、友人Sが無事クリアし、この曲はFREEモードに常駐した。
解禁となったのだ。

みんなが理解した。
よくよく考えてみれば、Happy manには何故か
普通のほうと[EXP.]と書いてあるほうの二つがあった。
つまり、このボス曲、HYPNOTICAにも
簡単な譜面と難しい譜面があったんだ。

…え、そんな事あるの?
簡単な譜面を簡単なモードのボスにするなんて、不意打ちすぎるでしょ。

その後、みんなも簡単なHYPNOTICAをプレイし、続々とクリアしていった。
うれしい気がするのに、なんか腑に落ちない。
みんなの気持ちは同じだった。

これは[EXP.]をクリアしたいよね。

「上達」への渇望が僕たちを襲った。
今度はEXPERTモードでEXTRA STAGEを目指そう。
誰が一番最初にEXTRAにいけるか競争だ。
その先になにがあるか、見てみたい。
そして、いつかみんなで難しいHYPNOTICAを倒したい。

そしてほどなく、同じく友人SがEXPERTモードでEXTRAへ到達した。
競争も何も、もう到達しちゃったよ。友人Sのセンス、すごいな。

何が現れるだろう。もしかして、もっと難しいHYPNOTICAがでるのかな。
EXTRAといったらHYPNOTCAというイメージがすでに先行していたが、
そこに出てきた曲は、全く知らない曲「LUCKY?STAFF」だった。

え、なにこれ。

それはすごくテンポのはやい曲だった。
しかも、大量のノーツが下から上に数えきれないくらい襲い掛かってくる。
絶叫しながら食らいつこうとする友人S。
ゲラゲラ笑う友人K。
声援を送るその他友人たち。

自分はというと、画面のムービーに夢中になっていた。
知らない人の名前と、知らない人の顔が順々に映し出されていく。
画面をたくさんの人の顔が埋め尽くしはじめようとした最中、
友人Sの努力むなしくゲームオーバーとなった。
そうか、これはスタッフロールか。
こんな斬新で強烈な、破壊力の高いスタッフロール、みたことない。

「「「これがラスボスかー!!!」」」

全員の見解は一致した。
襲い掛かる連弾。難しい運指。今まで見たことがない物量譜面。
そしてムービーはスタッフロール。これが本当のボス曲だったんだ。

僕は身震いした。
なんて「粋」なんだ、このゲーム。
EXTRAに到達してスタッフロールがながれるけど、
それを全部みるには曲そのものをクリアしなければいけないなんて。
ゲームクリアの寸前で襲い掛かる高レベルのスタッフロール。
なるほど、そりゃ「LUCKY?」と首をかしげたくなる。

この曲の出現は一瞬にしてHYPNOTICAを過去にした。
こんなに難しい曲があったなんて。
全員が一度「挫折」した瞬間だった。

友人たちが解散したあと、自主練習を始めた。
まずは自分も友人Sまで追い付かなければ。
そして、自分もあのスタッフたちを倒してみたい。
新しい目標を得た僕は黙々と練習を続け、
とうとう「JET WORLD」を解禁した。

そうか、もう150曲もクリアしたのか。

この曲も、でた瞬間はめちゃくちゃ難しかった。
でも新しい曲を渇望していた僕からすれば
これは最高のモチベーションとなった。
練習をするうちにこのJET WORLDもある程度
ミスを少なくしてクリア出来る程度まで上達していった。

「JET WORLD」を友人Sに捧げ、みんなでワイワイ練習する。
そしてみんなが帰れば、こんどはガッツリ自主練習。
そんな日々がまた数日続いた。

まだ誰もLUCKY?STAFFは討伐できない。
FREEには常駐しているが、練習してもまるで歯がたたないのだ。
しかし、通常モードにて挑戦権を得ることができる人は
少しずつ増えていった。
そして、自分もとうとう挑戦権を得ることができたあたりで、
新しい曲が「解禁」した。そう、これが300回クリアのご褒美。

「MAGIC MUSIC MAGIC」だった。

この曲をプレイした瞬間、
得体のしれないものが脳内を駆け巡った。
他の曲たちも「声」は入っていたが、
この曲のように「歌詞」ではなかったから。

そう、この曲は、
このゲームで初めて聴く「ヴォーカル付きの曲」だった。

色々な条件が重なり、
相乗効果でこの上なく新鮮に聞こえたから、というのもあるだろう。
しかし、それだけではない。
他の曲にない圧倒的なグルーヴ感、
情熱的な女性ヴォーカル、
熱いギターの掛け合い。

これは、本当にゲームの曲なのか?
全世界に知れ渡っている有名な曲とかじゃなくて?

ここまでの回数を重ねた苦労、
自分の上達が遅い苦しみ、
クリアできない曲の数々に対する絶望。
そんなものが全て吹き飛んでしまう「僥倖」

僕は、この曲そのものに恋をしたのだ。

〇解説:もやし親父の嫁曲について

もやし親父が初めて恋した曲、
「MAGIC MUSIC MAGIC」は
この家庭版1stでプレイできる数少ないヴォーカル曲でした。
(ちなみにもう一つは「KING G」)

そこまで300回もインスト曲ばっかりプレイしているわけですよ。
そこに突如として現れる情熱的なヴォーカル曲。度肝を抜かれましたよね。
当時、ギタフリ1st以外の音ゲー曲を知らなかった自分にとっては
あまりにも新しすぎる「世界」だったのは間違いありません。

歌詞もいいんですよね。
「ゲームを楽しみなよ、怠けてなんてないでさ。
 ゲームは怠惰にやるよりクレイジーにプレイするくらいが楽しいじゃない」
って感じ。温度が高い。情熱的。ゲーマー全員が聴くべき。好き。(好き。)

その歌詞にしても300曲もひたすら
修行のようにプレイしていた自分を
若干皮肉る感じになっちゃってるのがたまらないですよね。
おんどれはMかなんかですか?
アーケード2ndが初収録なので、
出現条件にそういう意図はないと思うけど。

昔のシリーズだけにあった
2P側との掛け合いパートギターも
めちゃくちゃかっこよくて好きなんですよね。
ギミックとしての良さも去ることながら、
とにかくグルーヴ感があって。好き。(好き。)
Melodie Sextonによるパワーのあるボーカルもたまらなく好き。(好き。)

XGで5ボタンになったときも、
初心に帰りこの曲のEXTをフルコン目指して
練習していたのも懐かしいです。
今でもドラム・ベース譜面追加を希望していますが…
まぁ、無理でしょうけどね…泉さんも退職されてますし…。

泉さんも愛してます。
愛というか、もはやこれも信仰といってもいいかもしれん。

〇まだまだ全然へたっぴだけど。

憑りつかれたかのように、
ひたすらMAGIC MUSIC MAGICをプレイし続ける日々が続いた。

そうこうしているうちに、いつのまにかKing Gは解禁しており、
さらに知らないうちに「EDIT」というモードも解禁していた。
ものすごく練習したけれど、新しく解禁した2曲は段違いに難しすぎて、
通常のゲームレベルに戻すとすぐにゲームオーバーになりそうになる。

そんな自分を尻目に、
とうとう友人Sは通常モードで「LUCKY?STAFF」を討伐した。
友人Sはすごい。「オルタピッキング」とかいう
技を覚えた、といっていた。
みんなで友人Sを称えあう。
心の奥底のほんの少しだけ、
それが自分だったらよかったなと思ったりもした。

と思ったら、
なんとさらに続きがあった。現れた曲の名前は、

「J-STAFF」

嘘だろ、LUCKY?STAFFよりも難しい曲なんてあるのか?
などと思っていたが、
全員の想像をはるかに下回り、
中身はゆったりとした本当の意味でのエンディングっぽい曲だった。
なんだこれ、すごくいい曲じゃん…。

これをもって、1stの曲は全てFREEモードに常駐した。
俗にいう「全クリ」という感じだ。
この後、友人たちは新しく出現した「EDIT」モードにお熱となった。
EDITに詰まったら、今度はHIGH SPEED EDITIONで遊んで、またEDITを試して…を繰り返している。

自分は、
まだまだ練習したいと思った。

通常レベルでのMAGIC MUSIC MAGICで、
せめてBランクをとって曲に愛を伝えたい。
自分もLUCKY?STAFFを討伐できるようになりたい。
J-STAFFをフルコンボしてみたい。

友人Sや友人Kにはずっと追いつけないかもしれないけど、
こんなに出来ないのがもどかしくて、
でも出来るようになった瞬間が楽しくて、
そして「音楽」がこんなに楽しいゲームなんて、他にない。
大好きな曲にも会うことが出来た。
このゲームは一生大切にしたい。

などと思いながらぼけーっとEDITを楽しむ友人たちを眺める自分。
すると、友人Kはとんでもない爆弾発言をしたのだ。

「ギタフリって続編も出てるんだけど、
買う金がないんだよなぁ…
EDITは、2ndでも出来るらしいよ」

は?
続編?
こんな楽しいゲームに、なんと続編が、2があるのか?
ていうか、もうあるの?

何それ欲しい絶対買う何で早く教えてくれないんだ、と
友人Kにキラキラした目を浴びせる自分がそこにいた。
友人Kはニヤリと
「ハマってくれたようだな、もってきた甲斐があったよ」と
ほくそ笑んだ。
あっ、こいつ、僕に買わせるつもりで喋ったな。
ここまで来たら今日にでも買ってやろうじゃないか。

これが、音ゲーという沼に頭まで浸かったのを実感した瞬間だった。

〇解説:PS版1stの解禁要素について③

次に友人たちが遊びに来る時には、
すでにAPPEND 2ndともう一つのギターコントローラーを買ってました←

蛇足ですが、ギタフリ家庭版には1st、2nd共に
「HIGH SPEED EDITION」なる頭のおかしいモードが存在します。
単純に楽曲のBPMを2倍にするという
技術的に可能だからやってみたという暴力的実験モードです。


IMI(BPM291の16分オルタ)より
高速(BPM160×2の16分オルタ)なオルタ譜面が
「THE ENDLESS SUMMER」のハイスピ版で襲ってくるため、
すでに初代で最強のオルタ曲は完成していたといえるでしょう(暴論)


出来るかこんなモン(2022年7月の成績です)


あとはEDITモード。
DDRのEDITのように配置も返れるし、
なんなら音色まである程度自由に変えられるという。
しかも作成して保存データを当時はゲーセンでも
再生プレイできたそうです。めちゃくちゃ楽しそうだな…。
その分、作るためにはかなりの慣れと根性が必要で、
当時の自分含め友人全員、最後には飽きてました…。


〇おまけ

2000年7月頃のもやし親父のステータス

10000文字を超える自分語りに付き合っていただき
本当にありがとうございました。

次は気が向いたら。

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