前立腺全摘後の再発①
前立腺のロボット手術で全摘後も、残念ながら再発はあり得ます。前立腺がんに限らず胃がん、大腸がん、肺がん、などどのがんでも手術して100%終わりではありません。前立腺の場合、前立腺からしか出ない血液のPSAの値が、手術後ゼロ近くになりますが、それが0.2を2回以上超えると再発と呼びます。20年以上前までは手術後のPSA再発の定義は0.4でした。現在では世界的に0.2が使用されていますが、厳しく0.1を使用しているところもあります。 ちなみにPSAはゼロという数字がなく、0.01未満、0.008未満という数字で表されます。通常は手術後1.5〜2ヶ月経つと身体に残っていたPSAが消え、0に近づきます。実際には0.01未満になる方だけでなく、0.02, 0.05, 0.10~など微妙な値で経過する方も多いです。日本だけでなく世界中から手術後の結果の報告がありますが、ほぼ共通しているのは手術後のPSA再発に約20%です。PSA再発に多くが手術後、2年以内が多いですが、その後も再発はあり得ますので、手術後8〜10年もの長期に渡り定期的にPSAを測定することになります(安定していれば6ヶ月に1回で済みます)。どういう方が再発しやすいかですが、手術前のPSAが高い(特に20以上)、手術検体のがんが大きい、がんが前立腺を包んでいる膜を超えて外に出ている、グリソンスコアが悪い(特に4+5、5+4、5+5など5を含む場合)、前立腺の後に付いている精嚢(せいのう)にがんが浸潤している、全摘標本の表面にがんが露出している(外科切除縁陽性)などです。どんな方でも再発の言葉を聞いてがっかりされます、特に手術後にPSAの下がりが悪く、まもなく再発と言われる方は手術を乗り越えたばかりで言われますので失望も大きいと思います。しかし、前立腺の場合は、再発がそのまますぐに生き死に直結するわけではありません。よく言われる5年生存率は前立腺の場合、99〜100%、10年で97〜98%と言われます。もちろん効果のある治療もあります。主治医・担当医と良く相談して相談をお願いします。次の回に主な治療方法についてお話しします。
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