シェアリングエコノミーと仕事復帰の関係
8年前から再就職セミナーやプログラムに関わっていますが、この数年の大きな変化が「家事サービスや子育て・介護のシェアサービス」の台頭です。
一昔前、久しぶりに仕事復帰しようと思うと、子育てや介護は家族内でなんとか回しながら、仕事と両立しつつ復帰することが一般的でした。けれども、ビジネススキルのキャッチアップや人間関係構築にもエネルギーを消耗する中、疲労がたまって仕事を中断しようとする方も少なくなかったのです。「実家が頼れない」「パートナーは頼れない」「兄弟は頼れない」等とおっしゃる方も多くいらっしゃいました。
この数年は、伝説の家政婦さんの紹介や家事代行サービスを職業にする主人公のTVドラマ等、メディアでも家事サービスが紹介されることが増えたことと、シェアリングエコノミーという考え方が日本でも浸透したこともあり、多様なサービスを活用しながら働く方が増えています。シェアリングエコノミーとは、個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスのことを言います。(総務省のホームページより)
スマートに活用する際の大切なポイントは、以下の2つではないでしょうか。
①頼まれた人にも、頼んだ人にも両方にメリットがあることに気づくこと。
②家族ですべて解決しなくてもよいことに気づくこと。
例えば、地域の子育てサポートであるファミリーサポートやシルバー人材センター、病児保育室等の活用を通して、依頼を受けた側には小さなお子さんに接する機会や仕事としての機会が生まれ、利用する側には相談できる方との出会いが生まれます。介護サービスや、介護をサポートしてくださる方も同様ですね。
また、家事をアウトソースしたり、宅配サービス等を利用することで、依頼を受けた側には仕事が生まれ、利用する側には「家事は誰がやるべきか」論争や体の負担から解放されて、時間や心身の余裕が生まれますね。
それらは、仕事に復帰した際に応用できることがあります。一人で抱えきれない負荷が大きい仕事を担当した際、誰に手伝ってもらうとよいか、手伝ってもらう方のメリットは何かという視点で考えられるのです。
先日の就職プログラムでも、これだけは自分でやりたいことは何か、それはなぜか、他者に頼んでもよいことは何か、その他者にどのような影響があるか、等を考えていただきました。特に「家族主義」とも言うべき、家族ですべてやるべき、迷惑をかけてはいけない、という考え方から解放されるのは時間がかかる場合もあります。けれども、全て抱えて体調を崩して倒れたとしたら、そちらの方が周囲に大きな迷惑をかけてしまうことに気づくと、腹落ちできる方が多いようです。
シェアの考え方、これからも伝えていきたいと思います。
参考
シェアエコ主義「シェアリングエコノミーサービス」
日経DUALより「ファミサポ 共働きの子育てを支える67歳ばあば」