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ハラスメントを減らすための考え方

現在、職場においてはパワーハラスメントについての措置が義務付けられています。働く⼈の能力発揮の妨げ、個⼈としての尊厳や⼈格を不当に傷つける等の⼈権に関わる許されない⾏為、と明記されているのです。けれども、働く人からの悩み相談では、ハラスメントに関わる内容は少なくありません。その背景として、「人権問題と認識されていない」現状があると感じています。例えば以下のようなケースです。


☑上司から人前で怒鳴る、人格を否定する発言をされた等の、ハラスメントを受けたという相談に対して、その上司にヒアリングすると、「その人材がスキル不足で成果を出していないから、そうされても仕方がない」という回答。


☑先輩から、ミスを人前で叱責される、人格を否定する発言をされるなどの、ハラスメントを受けたという相談に対して、その先輩にヒアリングすると、「その人材は、仕事が遅いため、そうされても仕方がない」という回答。


言い換えると、「仕事でミスをする」「仕事が遅い」等、業務の進め方や成果の出し方に関して課題があるため、そのような人材に対しては何を言っても問題がないであろう、という考え方が浸透している職場があるということなのです。


けれども、仕事内容のことと、人格を否定することとは別問題です。仕事内容について指摘し、どうしても仕事内容がフィットしない人材の場合は、配置転換や指導方法の変更等を進めるべきで、人格否定する発言を行ってよいということはありません。


最近話題となっている、ESG(環境・社会・ガバナンス)という指標においては、企業を評価する際に、従業員の労働条件や人権対策が行われているか等を判断材料とされています。児童労働や強制労働を行っているわけでもないし自分の職場は問題ない、と考える方も多いかもしれませんが、実際には個人の人権を脅かす事象が起きている可能性もあり、企業評価の低下につながるリスクもあるのです。

例えば、他人を人前で叱責し、配属になると次々に辞めていく部署があるという事象、他人の名誉を傷つける事柄を周囲にオープンにする人がいるという事象、一人だけ極端に業務量を増やしたり減らしたりする事象などです。


違和感を感じたら、そのままにせずに社内の専門部署や、社外の専門家へ相談することも大切です。そのままをしていることで、その環境を創り出すことに貢献しているかもしれないリスクがあるのです。


考え方をシフトする時期が来ていると感じています。


参考図書:「データでわかる2030年地球のすがた

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