フィードバックの極意⑩「自分一人じゃ気づけなかったことを気づかせてくれるギフト」
「とても有意義な時間だった」
会議やミーティング、コミュニティや勉強会。人と人とが集まる場において、「良い時間だった」と感じるときと「時間の無駄だった」と感じるとき。いったい何が違うのだろう?
様々な要因があるけれど、一つの仮説として浮かび上がってきたのが
「参加者のフィードバックの力」
「一人ひとりのフィードバック力が上がると、場の価値(時間的価値)が上がる」
「フィードバック力が高い人が集まる場は、良い場になりやすい」
「ではフィードバック力を上げるには、どうすれば良いのか?」
そんなことを思った著者が感じた、身近なフィードバックの達人にフィードバックの極意を教えてもらうこのコーナー。
第十回のゲストは現在シンガポール在住でさまざまな活動をされている奥野 雄貴さんです。
野見「奥ちゃんのフィードバックはとても物腰が柔らかくて、相手を受け入れますというオーラが全身から漂っている印象があります。奥ちゃんにとってフィードバックとは何ですか?」
奥野「僕にとってのフィードバックは、自分一人じゃ気づけなかったことを気づかせてくれるギフト、だと思っています」
野見「ほうほう、なるほど」
奥野「僕がフィードバックをする上で大切にしていることが3つあって。①相手が大事にしているであろうことを返す。②goodのあとにmoreを伝える。③アイメッセージに「今」を加えて伝える」
野見「一つずつ聞いても良いですか?」
奥野「はい。最初の①相手が大事にしているであろうことを返す、というのは、話をしている中でなんとなく相手が「こういうことを大切にしているんじゃないかな」と感じることに触れつつ、自分がフィードバックをするようにしています」
野見「すごい、分かる!」
奥野「二つ目のgoodのあとにmoreを伝えるのは、ものごとを改善するためのフィードバックのときに特に意識しています」
野見「moreというのがいいですね。普通はプラスマイナスとか、ポジティブネガティブとか言いますけど、moreというのが良い」
奥野「はい。その辺りの言葉も大切にしています。そして三つ目のアイメッセージに「今」を入れる。これは『僕は“今”こう感じています』という伝え方をします。過去や未来は分からないけれど、少なくとも“今”自分が感じていること。これをなるべくクリーンに返したいと思っています」
なるほど過ぎた。特に印象的だったのは、どちらかというと「フィードバックとは何か?」という問いに対して「する側」の話が出ることがこれまでは多かったのだけれど、奥ちゃんの場合は「受け取る側」の立場で考えていること。フィードバックには、する側とされる側と、両方ある気がしていて、どちらのスタンスで受け止めるのかは非常に興味深い。
また今回すごく感じたのは、言葉の選び方にセンスがあるなと。「goodのあとのmore」とか「クリーンに返す」とか。こうした一つ一つの言葉にこだわるのは、それだけ丁寧に相手に伝えたいという思いがあるからだろうと思った。そしてアイメッセージに“今”という時間軸を入れること。これにより、よりリアルに感じていることが相手に伝わる気がした。早速使っていこうと思う。
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