頬に伝う

気づけば、遠くに見える街の光。雲の隙間から手を振る一番星。
何時間も座っている。
波の音だけは変わらず、私の心に寄り添うようにさざめきつづけていた。

…。

……。

………。

「がんばろう。」

「…何を...?」

「次の生活、全部かな。」

「あー。全部ね。」

「笑わないの?」

「うん。」

…。

落日に涼やかな風がなびいている。

「あなたなら心配ないって知ってるから。ほんとうに頑張っていくんだって、分かってるよ。」

私は心の底からそう思っているから。

…。

「ありがとう。」

…。

……。

………。

もう穏やかな残暑の夜だ。

だから、汗なんか滲まないはずなのにー。

…。

……。

………。

行ってほしくないな。

…。

……。

………。

「そろそろ帰る?出発の準備、しなきゃだし。結構やること残っててさ。」

…。

でも、送り出さなきゃな。

「うん、帰ろっか。」

…。

でもー。

…。

「…よし。……って。なんで歩かないの?」

「うん。」

「うん、じゃなくて。そんで、手も。…離して〜。」

…。

もしもこの夏がずっと続いてくれたら、あなたの手を掴んで離さない、なんてしなくてよかったのかな。

…。

「…はいっ。」

「どうしたのさ急に。…じゃ、帰ろうか。……。...…。」

…。

今年の夏も、そろそろ終わっちゃうな。


※当記事はkurayamisakaのフアンによる二次創作であり、架空の設定/物語です。楽曲製作者の意図は含まれておりません。