
西田の論壇:「空間OS」に必要なものはなにか
知財、IT産業、ネット、放送にまつわる問題や社会現象を分析、考察します。
Apple Vision Proが発表され、「空間コンピューティング」という言葉が急に注目されるようになってきた。
だがその考え方は別に新しいものではない。VRのように「空間すべてを使う」形態が登場すれば、PCやスマートフォンの活躍する場所も、空間全体を生かしたディスプレイの中になるのが必然だ。アップルはゲームやコミュニケーションを狙ったのではないので、VR的な要素の中でも広い概念である「空間コンピューティング」という言葉を持ち出してきたに過ぎない、と考えている。
空間コンピューティング的なものは、MetaにしろPICOにしろ、コンシューマ向けのVRデバイスを作っているところなら大小それぞれアプローチしている。ただし、Vision Proが発表されるまで、もっとも積極的な開発を行なっていたMetaですら、「空間コンピューティング用のOS」としての実装はようやく始まったばかりだった。Vision Proの凄みは、初手から「空間OS」とでもいうべき要素をかなりの部分で備えてきたことにある。
では「空間OS」になるためにはどんな要素が必要なのだろうか? 半ば妄想めいた話になるが、少しその部分を、3のパートに分けて考察してみることにしよう。
■その1:空間を把握する能力
ここから先は
2,789字
この記事のみ
¥
100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?