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西田の論壇:Vision Proが出るから知っておきたい「解像度」と「解像感」の違い

知財、IT産業、ネット、放送にまつわる問題や社会現象を分析、考察します。


アップルの「Vision Pro」が発表になった。筆者は実機を体験している。現状、Vision Proを体験した人間は、アップル社員以外では日本全体で10人以下しかいないという、貴重な体験だった。

・Vision Pro。3500ドルとお高いが、それだけの価値ある体験だと感じた

いくつか記事も書いたが、Vision Proの体験は「すごい」。現実との境目が非常に曖昧だ。

過去の拡張現実(AR)デバイスは、現実を拡張するものとは言いつつも、現実とはずいぶん差のある表現しかできない。「現実と錯覚してしまう」ような自然さはなかった。だが、Vision Proはついに「自分が生成された映像を見ていることを忘れる瞬間がある」世界に到達した。

それはなぜだろう?

SNSなどの反応を見ると、「片眼4Kのパネルを使っているから」的な理解が多いように思う。

それはひとつの理由ではあるのだが、ちゃんと事情を反映していない。

Vision Proに限った話ではない。

ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)での「自然な見え方」を評価する上での仕組みやスペック表記については、ちゃんと知見が共有されていないように思う。

今回はその部分の基本について、ざっくりと解説してみたい。

■「解像感」=PPDとはなにか

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