コラボのはじまり 醤油+かりんとう=?
MNHの小澤です。
東京・あきる野市。秋川渓谷の近くに、100年以上前からひっそりたたずむ「醤油蔵」があるのをご存知だろうか。
ぼくは、ここへある商談をしにきていた。
看板商品になったかりんとうが、高尾山で好調な売上をあげるなか、ぼくらは“新しい味”を考えていた。
商品の売上を伸ばすためには、「もっと買ってください」という以上に、関わる人を増やすのも大きなポイントだ。輪っかは輪っかでも、2つ交われば面積がぐっと増える。そのように関わる人(輪っか)が増えれば、その関係者が買ってくれるからだ。
つまり「2つのものを組み合わせる」という営業戦略を、ぼくはこの時真剣に考えていた。
そして思いついたのが「醤油味のかりんとう」。
多摩信用金庫に相談すると「東京で唯一の醤油屋さんがあるよ」と、キッコーゴ醤油をつくっているこの近藤醸造さん(*)を紹介してくれた。
この時、ぼくらは近藤醸造と中谷製菓のまん中にたち、単純にいえばこういったのだ。
「MNHがこの話の責任をもちます。だから近藤さんは、醤油を売ってください。中谷さんは、醤油味のかりんとうを試作してください。販促はぼくらもしますから」。
すでに高尾山でのかりんとう販売の実績もあったことから、近藤醸造と中谷製菓との商談はそれぞれスムーズに進み、早速醤油かりんとうの商品づくりがはじまった。
そして、中谷製菓があげてきた醤油かりんとうの試作品は…
…… これが本当においしかった!
基本的には甘じょっぱいのだが、それ以上に醤油のコクとうま味、香りが半端ない。
下手すると、定番の黒糖味よりおいしいんじゃないか?
とにかく想像をはるかに超えるおいしさに、しみじみと感動をしたのだった。
ちなみに、別の会社で売っている醤油かりんとうを取り寄せ、食べてもみたが、冗談抜きでおいしくない。
なぜか?
普通は生地のなかに醤油を入れる。それを揚げると水分がとび、香りも飛ぶ。味も薄れる。
いわれなければ、醤油と分からないかもしれない。
そんな「とりあえず醤油を入れました」というだけのシロモノだ。
しかし、中谷製菓は“蜜”に醤油を練り込む。
それは非常に手間と時間がかかる工程ゆえに、普通はやらない。
しかし中谷製菓はそれをやった。
だからこのかりんとうは、独特のコクと香りが口いっぱいに広がり、ぜいたくな余韻をも残す。
つまり、このおいしさは中谷製菓の技術力の賜物だった。
(*)近藤醸造:東京都あきる野市にある、1908年創業の老舗の醤油の醸造所。看板商品は「キッコーゴ丸大豆醤油」。
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