そうだ、工房つくろう
MNHの小澤です。
「そうだ、工房つくろう」
どこかのCM(*1)のようだが、ぼくらの中で突如そんなアイデアがわいた。
2015年の1月だった。
それまでのぼくらのやってきた事業は、ソフトウェアに近い開発の仕方だった。
商品企画を立て、OEM(*2)先に製造を依頼し、バイヤーに提案して、売り場で売ってもらう。
つまり、それまでのMNHはハードウェアを持っていない、いわゆる「ファブレスメーカー(*3)」だった。
では、なぜ工房をつくろうと思ったのか?
答えはひとつ、OEM先を探すのがめちゃめちゃ大変だからだ。
ぼくらが商品企画をするとする。OEM先を探すと、たいてい断られる。
MNHの商品は基本的にニッチな路線だから、つくってくれる先も少ないのだ。
一方、「OEMやってます!」と高らかにうたっているメーカーもある。
だが、ぼくらにとってそこは魅力的ではない。
なぜなら、「ニッチ」が「二番煎じ」になってしまうからだ。
どういうことか?
せっかく他社の真似ができない(であろう)ニッチな商品企画を進めているのに、多くのOEMをたくさん宣伝して手掛けているメーカーに頼んでしまうと、例えばそこに頼んでいる他社から「うちもあんなニッチなものをつくりたい」と真似をされてしまう恐れもあるのだ。
だからこそ、ニッチなOEM先と組みたい。
工場で大量生産ができる規模でありながら、MNHのような小さな会社ともつき合ってくれる。そんなところだ(*4)。
だが、そういうニッチなOEM先は、当然ながらOEMを積極的に受けておらず、規模もすごく大きいか、小さくなる。だからこそ「交渉」がとても大変なのだ。
ロットの問題、こちらの要望を汲んだ上でのサンプル製造…
クリアしないといけない課題がたくさん出てくる。
キャパシティや前例がないゆえに、いちいち壁にぶつかるのだ。
もちろん、それを乗り越えてこそ、本当にニッチな商品ができあがることも多いのだが、その過程が、まぁ本当に大変なのだ。
一方、自分たちのアイデアを100%実現できなかったこともあるし、そもそも受けてくれるOEM先が見つからなかった時もある。そういう過去があり、限界も感じていた。
それならば、自分たちでつくれるようになったらいいんじゃないか?
いつもつまずいている、一番最初の「つくれる」という部分も、自分たちで担保できるようになりたい…
で、「工房つくろう」になる。
話が長くなったが、そういう発想だ。
(つづく)
(*1)まさに、JR東海の「そうた京都、行こう」キャンペーンのCMのようなノリ(笑)。会長の当時のブームのひとつだった。
(*2)OEM(Original Equipment Manufacturing)は委託者のブランドで製品を生産するメーカー。
(*3)ファブレス(fabless)とは、fab(fabrication facility、つまり「工場」)を持たない会社のこと。工場を持たずに(委託しながら)製造するメーカー。
(*4)かりんとうを頼んでいる中谷製菓さん、過去記事でも紹介した蔵王米菓さんなどがまさにそう。