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『多摩地域のマルシェ、やってください!』
MNHの小澤です。
2010年、JR中央線の三鷹駅から立川駅の、全線が高架化された。
それにともない、高架下に新たなスペースが生まれた。
今では、商業施設や創業支援施設、学生寮、公園などに変わっている。
中央線にゆかりがない人には、想像がつかないかもしないが、中央線はその昔、南北の文化をはっきりと分けるような「境界線」だった。
たとえば、ぼくが高校の通学時に使っていた、武蔵小金井駅。
当時の踏切は、“1時間”も開かなかった!
なかなか通過できないので、渋滞もひどかった。
線路というより、もはや「川」だった。
つまり、線路の下が自由に行き来できる高架化の動きは、街を一変させるような大きな、大きな出来事だった。
———2015年に入り、高架下のスペースを商業化して有効活用しようと、JRが動き出した。
そして「多摩地域の特産品を集めて、高架下でマルシェをやろう」という企画が持ち上がったのだ。「武蔵野の輪(ののわ)」をもじった、「nonowaマーケット」という企画だった。
担ったのは、駅前の商業施設などの開発を手掛ける、JRのグループ会社(今はない)。
そこが多摩信用金庫に相談をもちかけ、多摩信さんが「MNHに相談したら?」と。
それで、はからずも、MNHに白羽の矢が立ったという訳だ。
JR側から「マルシェをやって欲しい」と依頼されたのが、ゴールデンウィークの辺り。そして開催は7月。オープンまで1ヶ月半という短い中で、急ピッチで進めないとならなかった。
ちなみにこの時は、企画のすべてを、まるっと丸投げされた(笑)。
要件を少しくわしく言うと、武蔵小金井駅の高架下にできた商業施設の広場で、多摩地域の特産品を集めて、マルシェ(nonowaマーケット)を開催する。その商品選定から、その企業への依頼、商品搬入、当日の運営、ついでにポスターなどの宣伝も全部やって欲しい、とのことだった。
何より「多摩地域のため」ということだったので、ぼくらも一肌脱ぐことにした。
結論からいうと、7月の時点で、マルシェの体裁はきちんと整うことになる。
結構な大仕事ではあったが、やはりぼくらの「多摩地域に関する深い知見」が奏功した、と言える。
例えば、醤油かりんとうでお世話になった、あきる野市にある近藤醸造さん。
それ以外にも、多摩地域での商品開発の際に調べたところが浮かび、「あそこもあるよね」「ここもいいんじゃない?」などと割とスムーズに話を進めることができた。
何が良かったって、お酒の免許をとっていたことだ!
酒粕かりんとうでコラボした小澤酒造さんをはじめ、多摩地域にはたくさんの酒蔵がある(*)。酒免を持っていたお陰で、たくさんのお酒を売ることができた。
過去の失敗がこんなところで活きるとは…
そんな嬉しい誤算も含め、なんだかんだ「マルシェ風」に形づくることができたのだった。
(つづく)
(*)地ビール「多摩の恵」を作る石川酒造のほか、田村酒造、豊島屋酒造、中村酒造、野口酒造など。