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“つや姫団子”だって! おいしそ〜!!
MNHの小澤です。
商品企画とは、究極的には、売ってみないと分からないーー。
それをつくづく実感した例がこれだ。
ある時、調布市の産業振興課の人から、「テントを出してものを売れる機会があるよ」と誘われた。場所はFC東京のホームである、味の素スタジアムだ。
ぼくらは「じゃあやります」と請けおい、何を売ろうか考えた。
競技場はやはり、その場で食べられるフードがいいだろう、と。高尾山の権現茶屋で売られている、有名な三連の「三福団子」を思いついた。早速それをつくっているアーバン(*)さんに「売らせてほしい」と相談し、了解をえた。
ただし、この団子は高尾山だから売れるのであって、競技場でただ出すのには “売り”がない。
どうしようかと考えたときに、MNHの企画担当がいった。
「団子がちょうど3つだから、ハットトリック団子って名前にしたら、おもしろいんじゃないか?」
ついでにサッカーボールの“焼印”を押したら、さまになる。いいじゃん、おもしろいじゃん!と盛り上がり、つくることにした。
名づけて「勝利を目指せ!ハットトリック団子」。
サッカーの試合前の時間に1つ300円で売ったのだが、ざっと1000本くらいだろうか。結構売れたんじゃないかと思う。
そしてここからが本題だ。
同じ年に、今度は庄内町(*2)から「モンテディオ山形のサッカーの試合のときに、なにか売る?」と誘われた。
モンテディオ山形の試合の日には「市町村応援デー」があり、対象市町村の人がお得に観戦できたり、その町のブースが出たりする。“庄内町デー”のときに、代わりにお店を出さないか?ということだった。
ぼくらは最近手がけたハットトリック団子がそのままつかえると思い、「やります、行きます!」と二つ返事で引き受けた。
売ると決まったものの「庄内町を背負って売るのに、単にハットトリック団子だとおもしろくないよなぁ」と一呼吸おいた。その後「お米を変えたら町の宣伝になるのでは?」と思いつき、製造元のアーバンさんに相談すると、変更可能とのこと。
そしてぼくらは、山形県が誇る最高級米「つや姫」を起用することにしたのだ。つけダレには、山形のハナブサ醤油がつくる醤油と味噌を使うことにした。
かくして庄内町の名産で固めた開発品・ハットトリック団子を競技場で売ったのだが…
これが、まぁーー売れたのだ!
売れる以上に、何に驚いたかというと、お客さんの反応だ。
こちらは「ハットトリック団子でーす」と自信満々に売るのだが、店頭に集まる人々の視線は「つや姫」とかかれた看板へ一直線に向けられていた。
「つや姫だって!!」
「え!つや姫団子? おいしそう~!」
そういってお客さんは目を輝かせていた。
そこかーーーーー…!!!
つや姫だという、ただそれだけで、その団子は飛ぶように売れていったのだった。
(*1)MHNの高尾山かりんとうは、アーバンの運営する高尾山の「権現茶屋」でも販売している。
(*2)MNHは、2012年3月に、庄内町で「東北に若者の雇用をつくる株式会社」を設立していた。