みどりいろの本。こそあどの森。

この森でもなければ
その森でもない
あの森でもなければ
どの森でもない
こそあどの森 こそあどの森

というフレーズが出てくるのが、岡田淳さんの「こそあどの森の物語① ふしぎな木の実の料理法」

小学生の頃に教室の本棚にあって、ずーっと繰り返し読んでいた作品で、「みどりいろの本」「家の断面図が出てくる」と何となく覚えてたんです。最近、ふと思い立ってインターネットで調べてみると、近くの本屋さんにあることが分かったので、学校帰りに買って久しぶりに読みました。

こそあどの森に住む、内気なスキッパーのもとにポアポアという木の実が送られる。がしかし、どうやって調理すればいいのか分からない。雪に濡れて滲んでしまった手紙を手掛かりに、スキッパーは他の住民達のもとを訪れるが……

改めて読み返すと登場人物の会話のやり取りが面白くて。

ポットさんとトマトさん夫婦の、何か嬉しいことがあったら「すてき!キスして!」のやり取りとか、郵便配達のドーモさんとポットさんのワタワタしたやり取りとか、思わず笑ってしまうような会話があって。

内気なスキッパーも最初の頃は会うたびに疲れてしまって「もう行くもんか」と思うんです。そのうち、人と会うために「今度はこうやって話そう」とか色々と考えるようになって、だんだん人と会うことが苦じゃなくなるんです。

今って、人と会わなくても平気というか、ひとりで出来ちゃうことはある。スキッパーみたいに家の中で本読んで空想したり、ひとりで過ごした方が楽だなーって思うときはある。

でも、ポアポアの調理法が分からない!みたいに、ひとりでは解決できないことがある。そういうときは嫌でも人に頼るしかない。会うたびに「こういう人なのか」と色々刺激を受けつつも、解決に向けてあれこれやってみる。それは昔から変わらないこと、だと今回読んで気付きました。

中学生の頃から、少しでもカッコつけたくて、児童書よりも文庫本・単行本を読んでたけど、改めて読んでみるとやっぱ面白い。

この本、挿絵(作者の岡田さんが描かれています)も素敵なので、興味ある方はぜひ。