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マッチ工場の少女〜削いで削いで磨きに磨いた純米大吟醸殺鼠剤

全編69分のうち、冒頭4分がマッチ製造工事のマッチ製造工程、経てから天安門事件のニュース映像、両親が主人公から搾取、気晴らしの赤いドレス購入に継父激怒、19分30秒で放たれる売春婦め、返してきなが最初のセリフであった

続いて24分17秒で兄が働くバーで、あまりおいしそうには見えないプチトマトが無造作に載ったオープントーストのようなものを主人公が振る舞われ、両親と兄妹の複雑な関係が示される

そして赤いドレスの女となった主人公が長髪の禿頭で榎本俊二の漫画ばりに目つきの悪い男に引っかかり、小津安二郎監督『東京暮色』の有馬稲子状態に陥る

男から送られてきたのが古書の『海賊物語』で、一夜のお遊びだよ、これっぽっちも愛していない、忘れてくれという捨てゼリフがすこぶる秀逸だ

このあたりでタイムキーパーはやめておこうと思ったのだが、37分で心配ない、正常な妊娠だ、夢じゃないと産科医に告げる

目つきの悪い男は、始末してくれとにべもない

ついに51分:主人公、殺鼠剤購入、53分:男、殺鼠剤を誤飲、57分:主人公、バーで殺鼠剤混入、62分:主人公、実家で殺鼠剤混入(両親誤飲)、65分:主人公、刑事に連行というスピード解決に目を見張る

セリフは少ないほどいい、ナレーションやモノローグはできるだけ使わない、ひたすら画で見せる、ムダなカットは極力省く、印象に残るショットだけ描く

自分は一度も漫画をちゃんと描いたことがないのに、日ごろ漫画の学校で懸命に語っていることを最大級体現してくれる作品だ 

漫画家になりたい人にはぜひとも観てほしい、できれば授業の教材として使いたいのだが、興味を示す人はきっと少ない、やむを得まい





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