日日是好日〜ハレとケの境を紛らしたい
殿様の末裔で首相を務めたある文人は、白粉臭い場所でお茶など喫めないと言った
そこだけ切り取られたら炎上必至かもしれないが、女性用コスメアレルギーの自分には痛いほどわかる至言だ
着物、和装も子どもの頃から苦手で、理由として考えられるのは、祖父がしばしば芸者に両脇を抱えられ午前様だった、そのあと必ず大人が四人でちびくろサンボのようになることだ
おかげで日本髪イコール芸者さんという刷り込みになり、歳の離れた従姉の婚礼に出て、お嫁さんを指さして、あっ、芸者さんだと叫んだらしい
とにかく女の人が着飾ったハレの場がダメなのだ
自分たちの結婚式で文金高島忠夫もとい高島田の妻を横目に、正直普段着のほうがずっと素敵だと思ったものだ
そういった意味も含めて、間違って茶会に呼ばれたときの戸惑いと言ったらなかったが、この作品を見て少しは認識が変わった
女にせよ男にせよ、ライフスタイルとして和のものが板についている人たちはカッコいい、お茶を嗜むことで風を聴いたり人の心を押し測ったりできるのはすばらしい
だがしかし、お茶を習い続けるにはお金がかかる、数奇が高じて茶室を建てるなどとなったら数億かかるなどと知ると、別に習わなくてもよい、そもそも日本人はなにゆえそんなに習いたがるのかと首を傾げる
こうして私は何も習わずに死んでいくのだろうが、習わぬ経が読める人間でありたいと常に思う