フランツ・ボアズ『プリミティヴアート』
芸術は、社会の余剰ではない。余裕のある一部の人の手慰みではない。芸術は、むしろ人類という種の根源的な過剰性に根ざしている。いわば人類が人類であるのは、芸術に惹かれることによってなのである。
この芸術人類学の古典的著作で主張されるのは、何よりもまずそうした観点だ。だから、芸術は社会的にどんな機能を持つのか、という問いに対して、ボアズはそれについての学説を紹介しつつ、じつのところあまり興味を持っていないように感じられる。
芸術は何かの役に立つために生み出されるのではない。逆である