秘密基地へようこそ
わたしたちが開発した新しい手帳『M365』は、荒唐無稽な夢を語っても笑わずに聞いてくれる、かけがえのない友人です。と、先日ご紹介したばかりですが、別の友人のことを思い出しました。あまり出会いのなかった2020年に知り合った数少ない新しい友人です。
彼は小さな胸に大きな夢を育み、本当に実現させてしまいました。年若く聡明で誰よりもアクティブな小学4年生。探求大好き少年のレウォン君です。
レウォン君は“元素”に魅せられました。美しい長周期表やさまざまな化合物のこと、スマホでなく、図書館や書店で手に入り限りのすべてを手にし、元素のことを徹底的に調べました。
そして、自分の好きになった元素の魅力をもっとたくさんの人たちに伝えたいと思って、一年がかりで手製の「元素カルタ」をつくりあげました。
それだけであればまあ、よくできた力作の自由研究で終わりになるわけですが、彼の眼は自分のまわりの小さな輪でなく、おそらく世界中に向けられていたのです。
自分のつくったおもしろいものを多くのみんなに知ってもらうために、かよっていた探求学舎というユニークな塾の先生たちにも協力してもらって、クラウドファンディングまでやって、東大CASTの監修のもと、プロのデザイナーがクリーンナップした製品版の「元素カルタ」の製品化に成功します。ふつう知育玩具は子供の好奇心を掻き立てるために、大人が考案するものであるのに対して、レウォン君の場合は子供の探求心が知育玩具を作ってしまったという、そんな話はいままで聞いたことがありません。彼のプランニングに用いられたのは、ノートに書かれたマンダラ型のメモでした。そんなことできっこないとまわりの大人が邪魔をせず、夢の実現に協力してくれる、本当に理想的な状況です。レウォン君が真剣だったからできたのであっても! 思いを形にする、思いを語り、受け継いでいく、わたしも見習いたいと思いました。
わたしの会社コンピュータリブはレウォン君にパソコンのレクチャーやホームページのためのプレゼン動画の撮影など、ささやかなお手伝いをさせてもらいました。レウォン君ありがとう、わたしも楽しかったよ。もし翻訳されて海外版が出るようなことになったら、またお手伝いしたい、そう思っています。
さて、すてきな友人レウォン君はコンピュータリブを「秘密基地」と呼んでくれました。こどものころ秘密基地あそびに熱中して、大人になってからもあのピクサー社のおもちゃがいっぱいのスタジオに憧れるわたしにとっては、最高のほめ言葉でした。
『M365』は秘密基地でもあります。会社のなかの自分、親としての自分、友人たちの中の自分、さまざまな役割によって姿を変える自分が、本来の自分に戻ってくつろげる場所。そこにではしがらみを気にせず、他人の目を意識せず、ありのままでいられる。それは自分だけの場所です。紙の手帳にはそんな不思議な力があるのです。