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トルコ語編#9: 単語ひとつの文
林徹『トルコ語文法ハンドブック』(白水社、2023年)の第4章「単語ひとつの文」では、「トルコ語では、単語ひとつでも立派な文になる場合がある」として、1単語ないし1熟語のみから成る文の例を紹介している。
呼びかけ「ファトマさま!」Fatma Hanım!
返事「はい」Evet.
埋め草「えーっと…」Şey …
要求と確認「お茶を(ください)」Çay.
その他定型表現「ちょっと待って!」Bir dakika!
のような例である。そして、こういった「単語ひとつの文」の意味は、その時々の状況に依存して決まる、と説いている。
この文法書では、導入にあたる第1章で、トルコ語の「単語ひとつの持つ表現力」が高いことに注目し、単語ひとつでできる表現の幅を確認してから、組み合わせによる文について学ぶ、というアプローチを取ることを宣言している。
ただ、上記のような例は、他の言語でも大概は単語ひとつで済ませられる。トルコ語独自の表現だという感じはしない。むしろ第1章で引かれていた「彼/彼女は賢い。」"Akıllı."のような文こそ、トルコ語だからこそ単語ひとつに集約できるような場合だと思われる。後者のような事例にどんなパターンがあるのかを教えてほしい。
その詳細は、これから先の章で展開されるのかもしれない。先に期待である。
本日の単語帳シリーズ yeşil「緑」
yeşil ışık「青信号」イェシルシュク
ışık「明かり」ウシュク
yeşil oy「棄権票」イェシロイ
oy「投票」オイ
yeşil soğan「新鮮な玉ねぎ」イェシルソアン
soğan「玉ねぎ」ソアン
yeşil domates「青いトマト」イェシルドマテス
domates「トマト」ドマテス
yeşil çay「緑茶」イェシルチャイ
çay「お茶」チャイ
日本ではgreenの信号色を「青信号」と呼ぶ。「青いトマト」もblueではない。よく言われるように日本の「あお」はもともと、blueとgreenの色彩を含む色名称である。だから緑と青の色に関する外国語表現を学ぶときは日本語とのずれに注意する必要がある。
「新鮮な玉ねぎ」という表現は、辞書にも用例として載っていたし、iPhoneでもトルコ語キーボードでyeşilと打つと次の単語の予測でsoğan「玉ねぎ」を出してくる。してみると、yeşil soğan「新鮮な玉ねぎ」というのはトルコではかなりの頻度で使われる表現で、トルコ人はそれだけ玉ねぎの新鮮さを気にかける機会が多いのだろうか。トルコ料理には玉ねぎをよく使うのだろうか……などと考えていたら、トルコ料理が食べたくなった。