Misao M.

システムエンジニアでミドルマネージャ。文章を書くことそのものを趣味だと思っている。小説を書くには人間を知らない。専門記事を書くには技術を知らない。おおよそ、ものを知らない。それでもシェアすることで誰かに面白がられる記事を書こうと思っている。

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システムエンジニアでミドルマネージャ。文章を書くことそのものを趣味だと思っている。小説を書くには人間を知らない。専門記事を書くには技術を知らない。おおよそ、ものを知らない。それでもシェアすることで誰かに面白がられる記事を書こうと思っている。

マガジン

  • ただの趣味としての語学(トルコ語編)

    純粋な趣味として語学をする過程の雑感や学習の工夫を投稿します。週2-3回更新。トルコ語編は2025年3月までで一旦完結予定です。

  • 問いの形式の読書ノート

    人文学とソフトウェア工学の専門書/啓蒙書を中心とした読書ノートです。本文内容に基づく「問い」を主なコンテンツとします。週2-3回更新。

最近の記事

トルコ語編#4: 単語帳アプリの逆襲

ただの趣味としての語学 投稿概要 さて、仕事や何かでブランクができてしまったが、トルコ語を再開しよう。 それには良いとっかかりがある。スマホに入れた単語帳アプリから届けられる通知である。 他言語の単語を自分の母語の単語と対応させて理解する、という単語帳的な理解の仕方は、他言語の理解として不正確な部分がどうしても出てくるが、初学の段階ではとにかくそのような形ででも、たくさんの単語を覚えることが大事だ。 そういう思いもあって、またスタートダッシュの勢いもあって、2週間前の

    • 斎藤哲也編『哲学史入門II』(2024)

      先日読んだ第I巻の続き。私のバックグラウンドからは、上野修と戸田剛文の二人が、哲学者の議論を紹介するのに「プログラム」や「アプリケーション」といったIT用語を使っているのが興味深かった。それらの言葉の使い方は、エンジニアである私が見ても別に不自然なところはない。トピックが機械論あるいは機械論的な考え方なので連想が働きやすい、ということはあるだろうが、もし仮に同じような本が50年前に企画されていたとしたら、決してこういった言葉は使われなかっただろう。30年前でも難しかったかもし

      • 書くこととNoteで書くことと仕事について

        差し込みの重い仕事ですっかりペースを乱されてしまった。Noteで週2〜3回更新すると宣言している記事にも、この2週間ほど、全く手を付けられていない。 改めて考える。私にとって、Noteに何かを書くと言う行為はそもそも何を意味しているのか。それは無理してでも、例えば週2〜3回と宣言している目安を死守するようにやっていくべき重要性を私にとって持つのか。あるいは、公称するペースを落とすべきなのか。 Noteという媒体のことはさておき、書くことそのものは私の、ある種の趣味のような

        • トルコ語編#3: アルファベ歌がないときは

          ただの趣味としての語学 投稿概要 語学をするにあたって、まず覚えなければいけないのは「文字と発音」だ。文字を持たない言語もあるけれども、私はどちらかといえば書記言語に興味があるので文字は避けては通れない。 文字を覚えるというのは、形、発音(音価)、そして辞書順の配列を覚えることである。これを覚えるのに、色々なやり方があると思うが、私は最も強力なのは「歌」だと思う。 英語の学校教育で、「きらきら星」にアルファベット名を歌詞として当てた歌を聞かされた人も多いのではないだろう

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        • ただの趣味としての語学(トルコ語編)
          4本
        • 問いの形式の読書ノート
          8本

        記事

          斎藤哲也編『哲学史入門I』(2024)

          (西洋)哲学を半端にかじっただけの門外漢にとって、(西洋)哲学史をきちんと見通したいという渇望は馴染みのものである。本屋でこちらの新書を見かけて衝動買いしてしまった。 インタビュー形式というコンセプトは面白い。少なくとも読みやすい。「学術的な水準を落とすことなく、ワクワクするような入門書」という編者の意気込みは、結果として網羅性やバランスとのトレードオフを生んだが、私はこちらの方が好きだ。 問いの形式の読書ノート 投稿概要 書誌情報 千葉雅也・納富信留・山内志朗・伊藤博

          斎藤哲也編『哲学史入門I』(2024)

          趣味としての語学(トルコ語編)#2: アルファベットが"覚えやすい"のはどういうわけか

          趣味としての語学 投稿概要 言語の概説の次に来るのは「文字と発音」のセクションだ。 トルコ語のアルファベットは、a(アー)、b(べー)、c(ジェー)、ç(チェー)、d(デー)…と並ぶ。最後は、v(ヴェー)、y(イェー)、z(ゼー)である。多少の変形はあるものの、西欧の言語のアルファベットとほぼ同じ見た目、ほぼ同じ発音、ほぼ同じ並び順で、英語などの知識があれば比較的覚えやすい。 この"覚えやすさ"は、近代史の産物だ。 私はトルコ語の文字列を、世界地図の地名などで見かける

          趣味としての語学(トルコ語編)#2: アルファベットが"覚えやすい"のはどういうわけか

          駒木明義『ロシアから見える世界』(2024)

          昨今はフェイクニュースが飛び交い、伝統的なメディアの質も必ずしも信じられなくなっている。その中で、本書の内容はプロフェッショナリズムに裏打ちされた、確かな報道だと思えた。著者が無謬だと言いたいわけではない。表情や言葉遣いなどの些細なサインからも情報を読み取り、確かな事実と合わせて論理的に全体像を組み立て、簡明に説明する文体に、仕事に対する最大限の誠意を感じる。 ウクライナに平和が訪れることを心より願う。 問いの形式の読書ノート 投稿概要 書誌情報 駒木明義『ロシアから見

          駒木明義『ロシアから見える世界』(2024)

          趣味としての語学(トルコ語編)#1: チャガタイ語

          趣味としての語学 投稿概要 語学の入門書は、その言語の概説から始まることが多い。今から学ぼうとしている言語は、どの地域で話されている(あるいはいた)言語なのか。誰が話している(いた)のか。どのような言語学的な特徴を持っているか。歴史的にはどのような変遷を辿ってきたか。といったことである。 語学愛好者の端くれとしては既知の事柄も多く、「ふーん」とか「そうだね」とか思いながら流し読みするところであるが、トルコ語の出自である中央〜東アジアの言語の歴史には私は明るくなかったので、

          趣味としての語学(トルコ語編)#1: チャガタイ語

          Jeffery D. Smith『システム運用アンチパターン』

          私はとあるシステムの運用チームの長に就任して間もないが、短い経験から言ってもここに書かれていることは「あるある」ばかりだ。平均的な、真面目なエンジニアが集まって仕事しているのに何故かまずい形に入り込んでしまう、組織の微細なダイナミクスを捉えた分析もあまり類書がないように思う。 問いの形式の読書ノート 投稿概要 書誌情報 Jeffery D. Smith『システム運用アンチパターン エンジニアがDevOpsで解決する組織・自動化・コミュニケーション』田中裕一訳、オライリー

          Jeffery D. Smith『システム運用アンチパターン』

          カレン・アームストロング『イスラームの歴史』

          イスラームを理解するのは現代世界を理解するのに不可欠だと思う。良さそうな本だったので手に取った。 以下の問いのリストはほぼ表面的な知識を問うだけであるが、本書の真髄とも言える、著者がイスラームと向き合う姿勢については、池田美佐子氏の解題がうまく言葉にしてくれている。 問いの形式の読書ノート 投稿概要 書誌情報 カレン・アームストロング『イスラームの歴史』小林朋則訳、中公新書、2017年 問い(理解の確認) イスラームについて考える上で、「ムスリムたちの外面史を探るこ

          カレン・アームストロング『イスラームの歴史』

          深津貴之・岩元直久『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト』(問いの形式の読書ノート)

          私のこの読書ノートも、私の脳に対して、知識の復元を命じるためのプロンプトのようなものだ。それは私の知性の振る舞いを前提にフォーマットされている。生成AIもその振る舞いに傾向がある以上、振る舞いに即した適切なプロンプトの書式が存在することに何の不思議もない。実践的でタメになる本だ。 問いの形式の読書ノート 投稿概要 書誌情報 深津貴之・岩元直久『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト』日経BP、2024年 Questions ChatGPTの開発元はどこか。

          深津貴之・岩元直久『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト』(問いの形式の読書ノート)

          読書ノート: 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』

          問いの形式の読書ノート 投稿概要 書誌情報 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(Kindle版)新潮社、2022年 Questions ウサギ狩りの<欲望の対象>と<欲望の原因>はそれぞれ何か。(※パスカルの気晴らしdivertissementについての分析) ラッセルとスヴェンセンの退屈論について、著者はそれぞれどのような点を批判しているか。 著者は、「本書が取り組んでいる<暇と退屈の倫理学>は、一万年来の人類の課題に答えようとする大それた試みなのだ」と書いている。

          読書ノート: 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』

          読書ノート: ジェイムス・スーズマン『働き方全史』渡会圭子訳、東洋経済新報社、2024年

          投稿趣旨にも書いたように、以下はこの本についてのメモではあるが、全く網羅的な内容ではない(し、本書の核心的な部分にも必ずしも触れていない)。予めご了承願いたい。 チェックリスト 仕事がpurposefulであることと、仕事がpurposiveであることは、どう違うのか。 農耕は狩猟よりリスクが高い(と著者はいう)、それはなぜか。 人間と家畜が現在、地球上の哺乳類生物量に占める割合は何%ほどか。 ジェームズ・ウッドバーンは、ハッザ族の狩猟採集社会と、工業社会や農業社会

          読書ノート: ジェイムス・スーズマン『働き方全史』渡会圭子訳、東洋経済新報社、2024年

          投稿予定について(はじめてのNote)(継ぎ足し式)

          私自身について語ることはあまりない。投稿を読んでもらう上で、興を添えると思ったらここに書き足すこともあるだろう。とりあえずはプロフィールに書いたことだけで十分である。 以下、Noteで投稿しようと思っていることについて述べる。 I. 問いの形式の読書ノート (ver. 20241020)人文学系の書籍や、ソフトウェア工学関連の書籍について読書ノートを書いていこうと思う。ただしよくあるような、要約や、内容についての自分なりの感想や考察、といった形式は取らない。 そうではなく

          投稿予定について(はじめてのNote)(継ぎ足し式)