ベトナムの、名前を呼んではいけない“例のあの人”
皆さんには名前を呼んではいけない人や動物っていますか?
日本ではよく、ゴキブリを嫌う人が、“G”と呼ぶことがありますが、同じ事象がベトナムでもあります。
あれは3年程前、ダナンの日系旅行会社で私が働いていた時のことです。
オフィスに異臭が漂い、スタッフみんなで大掃除をしました。
すると発見されたのが、ゴミ箱の裏にいたネズミの遺体。
皆さんネズミと言うと、小動物のイメージがあるかも知れませんが、ベトナムのネズミはその想像の3倍くらいの大きさです。
2ヶ月くらいの子猫、それ以上の大きさがあります。
かなり栄養満点な環境で育っているのです。
「あ〜ネズミが原因だったのか」
日本人支店長が言うと、
「シッ! 名前を呼んじゃダメ! 」
とベトナム人スタッフ達が言い出したのです。
何故か聞くと、ネズミは“ネズミ“と言う単語を聞くと、自分たちが呼ばれたと思い、どんどんその場所に集まってくると言われてるそう。
その為、ベトナムではネズミを指す時、ネズミという単語“Chuột”は使わず、“Ông Tý”と呼ぶのです。
“Ông“は日本語でいう、“〜様“、“Tý”は子年の“子”を意味します。
敬意を払った呼び方をしていればネズミはもうその場所・家に来ないそうです。
「“Ông”は日本語で“様“だね」
とスタッフに言うと、そこから我がオフィス内ではネズミを“Tý sama”と呼ぶようになりました。
迷信などを信じない支店長が“ネズミ”と言い続けたせいか、日本製のネズミ駆除剤を置いても、ネズミが減ることはなく(体の大きさが日本のネズミの規格外だったのかも知れませんが)、泣く泣くローカルのネズミ駆除業者を呼びました。
業者と言うくらいだから、何か薬物を撒いたりするのかな? と思っていたら、砕いたインスタントラーメンの様なものを、部屋の四隅や物陰に置くだけ・・
「本当にいなくなるのかな? いなくなっても、餌を食べてまたどこかにTý samaの遺体が放置されて、オフィスが臭くなるんじゃない? 」
とスタッフに言うと、
「この餌を食べたTý samaは消えて無くなるって業者の人が言ってる」
「え、消えるの・・? 」
半信半疑でしたが、その謎の即席ラーメンを置いたからか、支店長含めみんなが“Tý sama”と呼ぶ様になったからかわかりませんが、本当にネズミの被害はなくなりました。
皆さんも、ベトナムに来た際は名前を呼ばない様に気を付けてくださいね。
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